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「士業事務所こそリモートワークを導入すべき!」 利点と課題、使えるITツールを事務所経営者が大公開

公開日2024/11/09 更新日2024/11/22 ブックマーク数
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士業事務所こそリモートワークを導入すべき!

近年、一般企業にてリモートワークの導入が進められる中、税理士事務所・会計事務所はリモートワークの導入率が低いと言われています。しかし、人手不足が続く近年において、優秀な人材の確保と離職防止を実現するうえでリモートワークの導入は欠かせないという声も多く聞きます。

本記事では、リモートワークを本格的に導入し、超売り手市場の中でも経験者からの応募が多く安定した雇用実績と事業拡大を実現した会計事務所のトップに、導入メリットや課題、実際に利用しているITツールなどについてお話を伺いました。

■お話を伺った人

Takeoffer会計事務所
井上 剛夫先生(公認会計士・税理士)、齋藤 悠 さん

リモートワークで得られた働く環境改善と優秀な人材の安定雇用

――今回は、リモートワークの導入を検討している士業事務所、導入したいけれどなかなか踏み切れない士業事務所に向けて、参考になるお話を伺えればと思います。まず、貴所の事業内容、どのようなクライアント様を抱えているかなど含めお教えください。

井上氏: 私どもは2017年7月に開業し、今年(2024年)7年目に入った会計事務所です。クライアントは現在200弱ぐらいお取引があり、飲食店や美容室などの店舗から、スポーツ選手やモデルなど芸能関係の方々まで、幅広くお仕事をさせていただいています。取引先の約半数程度は会社の設立からサポートしている状態です。会計事務所ではありますが、社労士事務所も併設していて、会計以外にも給与計算や社会保険の手続きなどを行えますし、昨年からは法律事務所の併設により弁護士も所属して法務顧問も請け負う体制になりました。基本的に、中小企業に必要なバックオフィス関連業務をサポートできるのが、私たちの強みですね。クライアントはほとんど紹介によってご縁が生まれており、クライアントとお付き合いのある企業がお仕事を依頼してくださるなどの繋がりが多いです。

――貴所がリモートワーク制度を導入されたのはいつ頃ですか?

井上氏:本格的に導入したのは新型コロナが流行りだした2020年頃です。それ以前に2年ほどは2~3人ぐらいの社員がリモートワークで働いていましたが、業務負担の割合や出社でないとできない業務への課題があったんですよね。そこに新型コロナの流行がきて、それがきっかけでリモートワークが一気に進みました。

――現在、リモートワークで働いている方々は全体の何割ですか?

井上氏:7~8割程度の方々がリモートワークですね。全員がフルリモートワークというわけではなく、例えば週の半分はリモートワークで残り半分は出社といった働き方の人もいます。

――リモートワークを導入したことで得られたメリットについてお教えください。

井上氏:1つ目のメリットは離職が減ったことですね。例えば、パートの方が主婦の場合、旦那さんの転勤で海外や地方などの遠方に引っ越しされる方が結構いるのですが、リモートワークなら会社を辞めずにそのままお仕事を続けてもらえます。特に、業務のことをしっかりわかってくれている、仕事ができるスタッフが離職しないという状況は、事務所として安心に感じますし、大きなメリットですね。だから、なるべく働きやすい環境を作ることが大事だと思います。

2つ目のメリットは、臨機応変に働いてもらえることです。弊社でお仕事をする方の9割ぐらいは子育て中の主婦の方々なので、産休や育休に入る方が多いんですが、リモートワークだと臨機応変に働けます。産休直前までお仕事できますし、復帰後も育児をしながら1日3時間とか短時間でも働ける環境になっています。お子さんが熱を出してしまったようなときも、可能な範囲、例えば短時間でお仕事していただけるのがリモートワークの強みです。育児を理由にできなかったことに対する壁が低くなりました。

3つ目のメリットは、事務所のスペースで悩む必要がないこと。弊社のオフィスは今、20人程度なら座れるんですが、従業員が増えていくと移転を考える必要があります。リモートワークなら新たに大きな事務所を借りて、移転する必要がないので、コスト面で助かっています。

4つ目のメリットは、優秀な人材を採用できるようになったことですね。弊社はリモートワークかつフレックス制度にしているので、求人の応募人数が増えました。3か月で200人ぐらいの方々が応募してくださって、優秀な人材の確保ができるようになりました。業務経験があれば、たとえ地方在住でも採用できます。

特に、地方在住の方にとって、弊社がお支払いする東京水準の給与は魅力的なのではと考えています。会計事務所は、なるべく長く働き続けてくださる方を採用することが本当に重要だと思うので、リモートワークによって働く環境を整備することはとても大切なことです。弊社は、リモートワークを導入してサービス提供の幅が広がりました。

リモートワークの課題をITツールでカバー

――メリットが多いリモートワークですが、課題もあったかと思います。従業員の業務改善や、出社しなければならないような業務への対応などの課題についてはどのように取り組まれていますか?

oviceのサービス画面

出典:oviceのサービス画面より

井上氏:そうですね、やはり従業員間のコミュニケーションや情報共有をどうするのか、というのは大きな課題だったと思います。リモートワークの導入時に、どうやってコミュニケーションを取るのかというのは検討しました。

対策としては、ひとつは「ovice」を導入したことで、同じ作業スペースで働いているという一体感が生まれました。 あと、週に一度は全体ミーティングを実施していまして、そのミーティングにはなるべく参加してもらうようにしています。そこに全員で集まって、いま話題になっていることや課題としていることを共有してコミュニケーションをとることができていますね。

ほかにも、社内のメンバーのプロフィールをまとめた記事を書いて、SNSのようなツールで紹介しています。この人はどういう人で、どういう経歴で、いまどのような仕事をされているのか、などを紹介しているんです。そうやって、リモートワークで感じがちな疎外感をなくせるような仕組みを作っています。

事務所でしかできない作業、例えば書類の回収などは、多少コストがかかってもクラウドツールを導入してデータ化をしています。クライアントからもなるべくデータで送っていただくようにしています。ただし、現状はどうしても紙でやり取りしなければならない業務があるので、今後どのようにデジタル化していくかが課題ではありますね。

――紙の書類がネックになってリモートワークに踏み切れない会計事務所と貴所の違いは、やはりITツールを導入したり、書類をデジタル化したりといったところがポイントになっているのでしょうか? 

井上氏:はい。現状、クライアントとのやり取りはLINEやfacebook、Slackなどのコミュニケーションツールを中心に使っています。書類の原本は会社で保管していただいて、あとはデータでやり取りすることで対応できています。弊社のクライアントの担当者は、30~40代の方が全体の8割程度で、クライアント側に一定のITスキルがあるので、ご理解いただけています。そういう環境は大切だと思います。

クライアント約200社のうち、おそらく7割ぐらいは直接お会いしたことがないんですよ。でも、Zoomでミーティングをしてチャットでやり取りすることでだいたい完結できます。、場所に縛られることもなく、遠方のお客様もすぐにリモートでやり取りできるので効率が良く、大きなメリットになっていると考えています。

――コロナ禍前よりもあとの方が、やはりリモートによるやり取りは多いですか?

井上氏:コロナ禍前はだいたい40~50社ぐらいの方々と対面でお会いしていましたが、コロナの流行で「Webでミーティングをしましょう」という流れになり、ほとんどの取引先がWebミーティングになりました。Webでのやり取りがスタンダード化したのはよかったと思いますね。

Webでのミーティングなら、時間は調整しやすいですし、行き来する必要もありません。リモートによってレスポンスは対面よりも早くなりましたね。

――やはり、リモートによるメリットは大きいんですね。ところで、リモートで働く従業員の方々とのやり取りで工夫されていることはありますか?

リモートで働く従業員の方々とのやり取り

井上氏:まず、従業員を採用したとき、就業初日は出社してもらいます。やはり、1回会って話しているのとしていないのとでは、その後のやり取りや業務の進め方が変わると思うんです。だから、関東在住で出社できる従業員には、就業初日は来社してもらって社内メンバーとランチをしてもらったりしますね。

――最初にしっかり、人となりを知る?

井上氏:はい。ただ、この業界でのキャリアが浅い人はそういった顔合わせが結構大事かなと思いますが、例えば会計事務所でのキャリアが10年以上ある人の場合、ある程度のコミュニケーション能力があって業務ツールを使えるなら、顔合わせはそこまで重要ではないですね。各自のスキルによって、顔合わせの重要度も変わるのかなとは思います。

――ありがとうございます。 では、実際に貴所でご利用になっているITツールと、お選びになった理由を教えてください。

井上氏:まず「Google Workspace」は、企業の情報データや謄本といった重要書類をどこからでもクラウドで全部見られるかたちにするために導入しました(費用:10万円程度/月)。
申告書作成は税務申告ソフトの「達人シリーズ」を使っています。「達人」はもともと社内からアクセスする方法で利用していましたが、クラウドで使える製品にして、リモートワークでも外部アクセスで申告書作成や税務的な作業ができるようにしました。勤務時間が少ない人も含めて、作業に関わるすべての従業員に1アカウントずつ付与しています(費用:13万円程度/月)。

「kintone」は、各自のToDo管理や情報の一元化を促進するために入れました(費用:5万円程度/月)。

「ovice」は、社内で誰が何の業務をしているかを把握したり、職場全体で一体感を得たりするうえで役立っています(費用:5万円程度/月)。

「Slack」は、従業員数が増えてきたタイミングで他のチャットツールから変更しました。弊社に合っていると思います(費用:4万円程度/月)。

「LINE WORKS」は、クライアントとのやり取りが普通のLINEやfacebookとかを使っているので、データを残せるように、そしていろいろなところからアクセスできるように導入しました(費用:無料)。

パソコンをリモートアクセスできる「TeamViewer」は、税理士カードをそこに繋げて、遠隔で電子署名の付与と提出ができるようにしました(費用:2万円程度/月)。

「オフィスステーション」は、労務関連の申告をリモートで行えるので便利です(費用:2万円程度/月)。

上記の各費用は、弊社人員(25名程度)によるものですので、職員数が少ない場合は、月額費用も当然に低くなってきます。各ツールの初期費用も含めて、導入時にコスト面を含めて検討しています。

あとは、Googleのなかに社内ポータルサイトを作って従業員各自の自己紹介を行なったり、チャットスペースでさまざまなことを共有したりしています。

従業員をリモートワークで採用した際は、デュアルモニターやヘッドセットを送っています。なるべく働きやすい環境、快適な仕事環境を作ることが大事だと思っています。

こうして挙げてみると、いろいろなITツールにお金をかけているんですけど、必要なコストだと考えています。

――ITツールを利用するとコストはかかりますよね。でも、やはり必要経費ということなんでしょうか?

井上氏:そうですね、確かにコストはかかります。弊社はいま、従業員が25人ぐらいいるので、全部で25アカウントをまとめて導入することになりますから、月にかかるコストはそれなりに大きいです。でも、ITツールを導入することで、コミュニケーションが促進されたり業務が効率的に進められたりするなら、その方がよいかなとは思っています。出勤スタイルなら、事務所で同じ人数分の席を確保しないといけないので、その代替なのかなとは思いますね。

――コストがかかってもITツールを導入するメリットは大きそうですね。
ところで、今後ITツール導入を検討されている士業事務所に向けて、もし「これは最初に導入した方がよい」というITツールがありましたら教えてください。

井上氏:「Slack」はすでに導入されている事務所さんは多いと思いますが、まだ入れていないのであれば、最初に導入されるのをおすすめしたいですね。

もし、リモートワークで申告書を作成する人が1人とかしかいないのなら、申告書ソフトのクラウドツールは必要ないと思います。

――ちなみに、新しいITツールを導入していくときは、従業員の方々に課題をそのつど確認して対応されているのでしょうか?

井上氏:社内でIT関連に詳しかったり調べてくれたりするメンバーが2~3人いるので、力を借りています。例えば、仮想オフィスツールの「ovice」を導入したときは、リモートワークだと社内のことがわかりづらいという意見があり、MUSVI社のテレプレゼンスシステム「窓」を併せて導入してみよう、ということになりました。実際に業務を進めながら、「こういうのがあった方が便利だよね」という感じで取り入れていきました。今後も同じように、便利なITツールがあれば入れていきたいと考えています。

リモート対応は取引先にもよい影響がある

――公認会計士や税理士の業界でリモートワークを普及させるうえで、どんな影響が与えられるか、取り組むべき点なども含めてお教えください。

井上氏: ありがたいことに、弊社はいま、採用の応募数は多くて辞めていく人は少ないので、困っていることはありません。しかし、会計業界全体で言えば、採用や離職で困っているところは多いようですね。この業界は優秀な方が多いので、リモートワークが業界に広まれば、より働きやすくなると思います。もちろん、経験や業務・知識の共有など、出社スタイルで得られるメリットは大きくて、その点はリモートワークの課題ではありますね。しかし、基本的に作業自体はリモートワークで完結しますし、リモートワークで業務が成り立たないということはないと思います。

求人サイトでは、「リモート」「リモート可」「フレックス可」と検索している人が最近すごく多いと思います。フルリモートワークは難しくても「半分リモートワークできます」とか、「半分フレックス制度で働けます」という方が、働く側から選ばれるし、採用もうまくいくのかなとは思いますね。

社内をリモート可にすることで、クライアントもリモートになることへの抵抗がなくなって、それで全て完結できるようになるので、クライアントにもよい影響が与えられると思います。もちろん、なかには直接会わないといけないクライアントもいます。そういうときは対面にするなどうまく使い分けることで、会計事務所は運営しやすくなると考えています。

――ありがとうございました。
では、最後に貴所で実際にリモートワークをしている方にお話を伺いたいと思います。

井上氏:弊社で1年半ぐらい前からフルリモートで稼働していただいている齋藤さんです。会計事務所で10年働いた経歴をお持ちで、業務改善などを中心に、IT関連業務もやってくれています。「ovice」や「kintone」、「Google Workspace」の設定など、一緒にリモート化を推進してくれたメンバーです。

――齋藤さんはいま、フルリモートワークで働かれているとのことですが、Takeofferさんへ転職される際は、リモートワークができるという条件にこだわってお仕事を探されましたか?

齋藤氏:はい、私はフルリモートワークの案件に絞って探して、こちらにご縁がありました。実は、大学で通信の社会人学生として学んでいるので、時間を確保したいというのが就業条件の最優先だったんです。

――リモートワークでよかったと思う点は何でしょう?

齋藤氏:やっぱり時間が確保できるのは、非常にありがたいですね。通勤時間がないので。あとは、身だしなみもラフな格好が許可されているので、かなりラクに過ごさせていただいています。会社に通勤していたころは、スーツをバシッと着ていたので(笑)。

――リモートワークをしていて、もどかしいと思ったり、「ここはまだ難しいな」と感じたりすることはありますか?

齋藤氏:そうですね、私が入社した直後ぐらいは、やはり事務所の方々とコミュニケーションを取ることが難しいなと感じていたことはありました。でも、「ovice」を導入してからコミュニケーションが取りやすくなって、課題はかなり解決されたかなと思います。ただ、直接会うことと比べると、まだリモートワークは少し壁を感じるときもあります。

あとは、事務所でしかできない作業がどうしてもありますね。紙の書類の扱いや郵便物関連、事務所の掃除など、そういった業務に携われないのは申し訳なさを感じます。なので、なるべくオンラインでできることを増やして、みんなで分担していこうということですね。事務所の方もすごく協力的にネットの方にあげる意識で作業してくださっているので、うまく回っていると思います。

――会計事務所さんがリモートワークを導入することのメリットや課題など、さまざまなお話を伺えてよかったです。
井上先生、齋藤さん、本日はありがとうございました!

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Takeoffer会計事務所
〒152-0035
東京都目黒区自由が丘2-10-14青木ビル502
(公式HP)
https://takeoffer-ac.com/


Takeoffer会計事務所が活用しているITツール

Google Workspace:https://workspace.google.com/intl/ja/
達人シリーズ:https://www.tatsuzin.info/
ovice:https://www.ovice.com/ja
Slack:https://slack.com/intl/ja-jp/
LINE WORKS:https://line-works.com/
TeamViewer:https://www.teamviewer.com/ja/?coupon=CMP-PR-BF24
オフィスステーション:https://www.officestation.jp/


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