2024年法改正スケジュール
2024年(令和6年)には、企業法務に関連するさまざまな改正法・新法の施行が予定されています。
企業の法務担当者は、自社の事業に関連する法改正について、内容を正しく理解しておく必要があるでしょう。
本ページでは、2024年中の施行が予定されている主な法改正の概要を解説します。
四半期報告書制度の廃止に関する規定の施行に伴い、関係政令・内閣府令等の規定整備が行われます。
詳細を見る
改正内容
四半期報告書制度の廃止に伴う規定の整備
上場会社等が提出する半期報告書に関する規定を整備する。
以下の事項について、臨時報告書の提出事由に追加する(注2)。
・「企業・株主間のガバナンスに関する合意」の締結・変更
・「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」の締結・変更
以下の内閣府令を廃止し、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「財務諸表等規則」という。)及び「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」において、従前の四半期財務諸表を第1種中間財務諸表、従前の中間財務諸表を第2種中間財務諸表として中間財務諸表の作成方法等を含め規定する(注3)。
・中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
・四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
・中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
・四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
その他、関係政令、内閣府令等について所要の改正等を行う。
(注1)本改正案で用いている一部の名称は仮称であり、企業会計審議会等における議論の結果を踏まえ、名称を変更する可能性があります。
(注2)令和4(2022)年12月に公表された金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告で、四半期報告書において、直近の有価証券報告書の記載内容から重要な変更があった場合に開示が求められてきた事項については、臨時報告書の提出事由とすることが考えられるとされたことを踏まえ、改正を行うものです。
(注3)財務諸表等規則等の本改正案は、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(「上場企業の半期報告書については、現行と同様、第2四半期報告書と同程度の記載内容とする」)に基づき作成していますが、第1種中間財務諸表等に適用される会計基準については、現在、企業会計基準委員会において議論が行われているところであり、その基準案の内容を踏まえた修正を行う可能性があります。
参考:金融庁「令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表について」 https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20231208/20231208.html
会社は、労働者を雇用した際に労働条件を明示する義務があり、その際に労働者に交付する書面を通称、「労働条件通知書」といいます。2024年4月からは、「労働条件通知書」に記載する事項を加えることが義務付けられます。
<全ての労働者に対する明示事項>
①全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時、就業場所・業務の変更の範囲【改正労基則第5条第1項第1号の3)】
<有期契約労働者に対する明示事項>
②有期労働契約の締結時と更新時、更新上限の有無と内容(有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限)【改正労基則第5条第1項の2】+更新上限を新設・短縮しようとする場合、その理由をあらかじめ説明すること【改正雇止めに関する基準第1条】
③無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時、無期転換申込機会 無期転換後の労働条件【改正労基則第5条第5項・第6項】+無期転換後の労働条件を決定するに当たり、他の正社員等とのバランスを考慮した事項の説明に努めること【改正雇止めに関する基準第5条】
参考:厚生労働省 「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
厚生労働省 「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156050.pdf
労働基準法施行規則改正の解説
アルク社労士事務所
特定社会保険労務士・両立支援コーディネーター
香山 政人様 ①2024年4月施行の労働基準法施行規則改正の概要・ポイント
令和4年度労働政策審議会労働条件分科会報告を踏まえた労働契約法制の見直しを目的として、労働基準法施行規則の改正が2024年4月に実施されました
今回の改正は次のポイントとなります。
・労働条件の明示事項の追加
・裁量労働制に関する新たな要件の導入・対象業務の追加
・労働時間等設定改善委員会の決議に関する必要な配慮義務の追加
それぞれ改正のポイントが異なりますので、以下で各ポイントに分けて概要を説明いたします。… 続きを読む
2024年4月以降、新規または継続して裁量労働制を導入する場合には、裁量労働制を導入するすべての事業所で対応が必要です。
詳細を見る
改正内容
①専門業務型では裁量労働制の導入にあたり、本人の同意が必要になる。また同意を撤回する場合は、正当な手続きと記録の保存が求められる。(企画業務型ではすでに適用済)
②企画業務型のみ、会社側から労使委員会への説明が必要となり、6カ月以内ごとに労使委員会を開催することと、制度の実施状況を適正に把握することが追加。
③対象業務の追加(「専門型」に特有の変更点:対象業務にM&Aアドバイザリー業務の追加)
参考:厚生労働省「裁量労働制変更」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/sairyo.html
厚生労働省「裁量労働制の導入・継続には新たな手続きが必要です」 https://www.mhlw.go.jp/content/001080850.pdf
2024年4月1日施行
障害者差別解消法改正
労務・法務
2021年に障害者差別解消法が改正され、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されました。2024年4月1日より施行される改正障害者差別解消法では、事業者に対して障害者への合理的配慮の提供が義務付けられます。
①行政機関等、事業者ともに不当な差別的扱いは禁止
②行政機関等は、合理的配慮の提供は義務であり、事業者においては努力義務⇒義務へ
参考:内閣府「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」 https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/pdf/gouriteki_hairyo2/print.pdf
障害者差別解消法改正の解説
ロジットパートナーズ法律会計事務所 代表
弁護士、公認会計士、税理士
松田 康隆様 <障害者差別解消法の概要>
障害者差別解消法とは
障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」)は平成28年に施行された比較的新しい法律です。この法律は「障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資すること」(第1条)を目的としています… 続きを読む
2024年4月1日施行
障害者総合支援法改正
労務・法務
2024年4月の障害者総合支援法改正では、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための一部変更があります。
①障害者等の地域生活の支援体制の充実
②障害者の多様な就労ニーズに対する支援及び障害者雇用の質の向上の推進
③精神障害者の希望やニーズに応じた支援体制の整備
④難病患者及び小児慢性特定疾病児童等に対する適切な医療の充実及び療養生活支援の強化
⑤障害福祉サービス等、指定難病及び小児慢性特定疾病についてのデータベース(DB)に関する規定の整備
⑥その他
参考:厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要」 https://www.mhlw.go.jp/content/001000995.pdf
障害者総合支援法改正の解説
行政書士浅井事務所
行政書士浅井事務所 代表
浅井 順様 1.処遇改善臨時特例交付金、処遇改善支援補助金の支給額を決める
2月から5月まで、障がい福祉サービス事業については処遇改善臨時特例交付金、介護事業については処遇改善支援補助金が、処遇改善計画書(4月15日までに提出)を提出することで、4月利用5月請求6月入金分より支給されます。 2月分と3月分の改善額については、3月に一時金として支給して問題ありません。 4月以降は、毎月支払う基本報酬や手当等で支給が必要です… 続きを読む
2024年4月1日施行
労働安全衛生規則改正
労務・法務
化学物質管理者とは、事業場における化学物質の管理に係る技術的事項を管理する担当者を指し、従来はガイドラインによって位置づけられていました。2024年4月1日の労働安全衛生規則改正以降は、リスクアセスメント対象物を扱う全ての事業場において化学物質管理者の選任が義務付けられます。
1.労働安全衛生規則関係
①リスクアセスメントが義務付けられている化学物質(以下「リスクアセスメント対象物」という。)の製造、取扱い又は譲渡提供を行う事業場ごとに、化学物質管理者を選任し、化学物質の管理に係る技術的事項を担当させる等の事業場における化学物質に関する管理体制の強化
②化学物質のSDS(安全データシート)等による情報伝達について、通知事項である「人体に及ぼす作用」の内容の定期的な確認・見直しや、通知事項の拡充等による化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達の強化
③事業者が自ら選択して講ずるばく露措置により、労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される程度を最小限度にすること(加えて、一部物質については厚生労働大臣が定める濃度基準以下とすること)や、皮膚又は眼に障害を与える化学物質を取り扱う際に労働者に適切な保護具を使用させること等の化学物質の自律的な管理体制の整
④衛生委員会において化学物質の自律的な管理の実施状況の調査審議を行うことを義務付ける等の化学物質の管理状況に関する労使等のモニタリングの強化
⑤雇入れ時等の教育について、特定の業種で一部免除が認められていた教育項目について、全業種での実施を義務とする(教育の対象業種の拡大/教育の拡充)を全業種に拡大 2.有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、粉じん障害防止規則関係
①化学物質管理の水準が一定以上の事業場に対する個別規制の適用除外
②作業環境測定結果が第三管理区分の事業場に対する作業環境の改善措置の強化
③作業環境管理やばく露防止対策等が適切に実施されている場合における有機溶剤、鉛、四アルキル鉛、特定化学物質(特別管理物質等を除く。)に関する特殊健康診断の実施頻度の緩和
参考:厚生労働省「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
労働安全衛生規則改正の解説
牛島総合法律事務所
弁護士
猿倉 健司様 <2024年4月施行の労働安全衛生規則改正の概要について>
(1)なぜ今、労働安全衛生規則改正が必要だったのか
国内で輸入、製造、使用されている化学物質は数万種類にのぼりますが、化学物質を原因とする労働災害は年間約450件という高水準で推移しています。 こうした状況を踏まえ、新たな化学物質規制の制度の導入等を内容とする労働安全衛生法及び同規則(以下「安衛法」「安衛則」といいます。)等の改正が、令和4(2022)年5月31日に公布され、令和6(2024)年4月1日までに段階的に施行されています… 続きを読む
2024年4月1日より改正改善基準告示が施行され、ドライバーの労働時間に関する規制が厳格化されます。具体的には、ドライバーの拘束時間の上限が短縮されるほか、勤務間インターバルの確保などが求められます。
トラック運転者については、次のように拘束時間・休息期間が変更されます。
-
1年の拘束期間改正前(年換算)
3,516 時間
改正後
原則:3,300 時間
最大:33,400 時間 -
1か月の拘束期間改正前(年換算)
原則:293 時間
最大:320 時間
改正後
原則:284 時間
最大:310 時間 -
1か月の休息期間改正前(年換算)
継続 8 時間
改正後
継続 11 時間を原則とし、
継続 9 時間
バス運転者の場合、これまでは4週間を平均した1週間あたりの拘束時間が原則65時間(月281時間)、最大71.5時間(月309時間)が上限として定められていました。これが、2024年4月以降は、企業の労務管理の実態などに応じて、次のように「1ヵ月(1年)の拘束時間」と「4週平均1週間」から選択できるようになります。あわせて、年間の拘束時間は「3,300時間以内」(貸し切りバスなどの場合は例外が適用)に変更されます。
①②のいずれかを選択
1年:3,300 時間以内
1か月:3,281 時間以内
1年:3,400時間以内
1か月:294時間以内(年6か月まで)
281時間超は連続4か月まで
※1:貸切バス乗務者、乗合バス乗務者(一時的需要に応じて運行されるもの)、高速バス乗務者等
1年:3,300 時間以内
1か月:3,281 時間以内
52週:3,300 時間以内
4週平均1週:365 時間以内
281時間超は連続4か月まで
※1:貸切バス乗務者、乗合バス乗務者(一時的需要に応じて運行されるもの)、高速バス乗務者等
タクシー運転者は、日勤勤務者と隔日勤務者に分かれて基準が設けられていますが、2024年3月31日までと4月以降でそれぞれ次のように基準が変更されます。
日勤勤務者
隔日勤務者
参考:厚生労働省「タクシー・ハイヤー運転者の改善基準告示が改正されます!」 https://www.mhlw.go.jp/content/001161933.pdf「トラック運転者の改善基準告示が改正されます!」 https://www.mhlw.go.jp/content/T_0928_4c_kaizenkijyunkokuji_L_T02.pdf
「バス運転者の改善基準告示が改正されます!」 https://www.mhlw.go.jp/content/001161937.pdf
改善基準告示改正の解説
社会保険労務士法人 宮嶋社会保険労務士事務所
社会保険労務士
寺山 晋太郎様 2024年4月施行「改善基準告示」の改正内容ポイント
改正の全体像
改善基準告示の改正内容ポイントを一言で表すと、「より労働者を保護する方向での改正が進められた」という一点に尽きます。なぜこのような方向性になったかというと、大きく二つの要因があります。
一つ目は労働基準法の改正です。2019(令和元)年に行われた労働基準法改正において、それまで実質的に制限がなかった「時間外労働時間」に上限規制(最大で年960時間以内)が設けられたのですが、運送業・物流業には2024(令和6)年3月末まで適用が猶予されておりました。今回の改正は、この猶予解除タイミングに合わせる形となっております。… 続きを読む
2024年4月1日施行
商標法改正
知的財産・法務2024年4月の商標法改正により、企業のニーズや国際的な制度調和の観点を踏まえ、日本でもコンセント制度が導入されることになりました。
①コンセント制度導入
コンセント制度とは⇒先行登録商標と同一又は類似する商標であっても、先行登録商標権者の同意(コンセント)があれば後行の商標の併存登録を認める制度
②他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和
参考:特許庁「他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和されます」 https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/shimei.html
商標法改正の解説
弁護士
浜崎 晃様 商標法に関連した主な改正点について
知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の進展などの環境変化を踏まえ、スタートアップ・中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど、時代の要請に対応した知的財産制度の見直しを図ることを目的に、知的財産制度の大幅な見直しが行われました。
その内容は不正競争防止法、意匠法、商標法など多岐にわたりますが、ここでは、商標法に関連した制度改正について、その概要を簡単にご説明いたします。… 続きを読む
2024年4月の不正競争防止法改正では、デジタル技術の活用により、特に中小企業・スタートアップの事業活動が多様化していること等に対応するため、ブランド・デザイン等の保護強化、コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続の整備、国際的な事業展開に関する制度整備の観点から、不正競争防止法、商標法、意匠法、特許法、実用新案法、工業所有権特例法の改正があります。
令和5年第211回通常国会において、不正競争防止法の改正を含む「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(法律第51号)が可決成立しました。知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、主に以下の内容が含まれます。 ・デジタル空間における模倣行為の防止
商品形態の模倣行為について、デジタル空間における他人の商品形態を模倣した商品の提供行為も不正競争行為の対象とし、差止請求権等を行使できるようにします。
・営業秘密・限定提供データの保護の強化
不正競争防止法について、ビッグデータを他者に共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護し、侵害行為の差止め請求等を可能とします。また、損害賠償請求訴訟で被侵害者の生産能力等を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求を可能とするなど、営業秘密等の保護を強化します。
・外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充
OECD外国公務員贈賄防止条約をより高い水準で的確に実施するため、自然人及び法人に対する法定刑を引き上げるとともに、日本企業の外国人従業員による海外での単独贈賄行為も処罰対象とします。
・国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化
不正競争防止法について、国外において日本企業の営業秘密の侵害が発生した場合にも日本の裁判所に訴訟を提起でき、日本の不正競争防止法を適用することとします。
参考:特許庁「令和5年不正競争防止法等の一部を改正する法律」法改正説明会について」 https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/kaisetu/2023/fuseikyoso_setsumeikai.html
経済産業省「令和5年改正資料(デジタル空間における模倣行為の防止、営業秘密・限定提供データの保護の強化、外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充、国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化)」 https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/kaisei_archive.html#r5
不正競争防止法改正の解説
弁護士
森川 そのか様
弁護士
箕輪 洵様
(1)なぜ今、労働安全衛生規則改正が必要だったのか
産業・技術の発展等に伴って見直される不正競争防止法ですが、直近では令和5年に通常国会で不正競争防止法の改正を含む「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(法律第51号)可決され、令和6年4月1日から施行されています(以下「令和5年改正といいます。」)。ここでは、令和5年改正のうち、スタートアップにとって影響が大きいと思われる主な改正点について紹介します… 続きを読む
2023年4月に施行される民法改正は、近年問題となっている所有者不明土地の問題の解決を目的として、不動産登記法等の改正とともに行われます。
詳細を見る
改正内容
①嫡出推定制度の見直しのポイント
・婚姻の解消等の日から300日以内に子が生まれた場合であっても、母が前夫以外の男性と再婚した後に生まれた子は、再婚後の夫の子と推定することとしました。
・女性の再婚禁止期間を廃止しました。
・これまでは夫のみに認められていた嫡出否認権を、子及び母にも認めました。
・嫡出否認の訴えの出訴期間を1年から3年に伸長しました。
②懲戒権に関する規定等の見直しのポイント
・懲戒権に関する規定を削除しました。
・子の監護及び教育における親権者の行為規範として、子の人格の尊重等の義務及び体罰などの子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動の禁止を明記しました。
③その他の改正内容
・このほか、本法律では、子の地位の安定を図る観点から、事実に反する認知についてその効力を争うことができる期間に関する規定を設けるなどしています。
参考:法務省「民法等の一部を改正する法律について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00315.html
2024年4月1日施行
不動産登記法改正
法務
2024年4月施行の改正不動産登記法により、相続によって不動産の所有権を取得してから3年以内に相続登記の手続きを行うことが義務付けられます。
詳細を見る
改正内容
①相続登記が義務になる
・不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることを義務付ける。
・施行日前の相続でも、未登記であれば、義務化の対象(3年間の猶予期間あり)
・「正当な理由」がないのに申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用対象
・国民向けに新制度の運用方針を明らかにした「相続登記の申請義務の施行に向けたマスタープラン」を令和5年3月に公表
②外国にいる登記名義人についての国内連絡先が登記事項になる
③DVの被害者等を保護する特例措置が設けられる
参考:法務省「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」 https://www.moj.go.jp/content/001362336.pdf
2024年10月1日施行
厚生年金保険法・健康保険法改正
労務・法務
現行法上、短時間労働者を社会保険に加入させる義務が強制的に適用される「特定適用事業所」は、短時間労働者を除く被保険者の総数が常時100人を超える(101人以上の)事業所とされていますが、2024年10月1日以降は、短時間労働者を除く被保険者の総数が常時51人以上の事業所が特定適用事業所とされ、その範囲が大幅に拡大されます。
現在、厚生年金保険の被保険者数が101人以上の企業等で週20時間以上働く短時間労働者は、厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象となっています。この短時間労働者の加入要件がさらに拡大され、令和6年10月から厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等で働く短時間労働者の社会保険加入が義務化されます。
【厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業等とは】
1年のうち6月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数(※)が51人以上となることが見込まれる企業等のことです。なお、この企業等のことを「特定適用事業所」といいます。
※法人事業所の場合は、同一法人格に属する(法人番号が同一である)すべての適用事業所の被保険者の総数、個人事業所の場合は適用事業所単位の被保険者数となります。
参考:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html
厚生年金保険法・健康保険法改正の解説
イデアル社会保険労務士事務所
社会保険労務士
上見 知也様 <なぜ健康保険・厚生年金保険の適用拡大が必要だったのか>
「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分)」には、下記の通り回答されています。
政府においては、これまでも法律改正を通じて、短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大(以下「適用拡大」という)の取り組みを進めてきており、その意義については、以下の点があるとされています… 続きを読む
フリーランス保護新法は、資本金の多寡を問わず規制などを定め、取引におけるフリーランスの保護を図るもので、2024年11月までに施行予定です。
フリーランス保護新法とは、働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備することを目的とした法律です。
書面等で契約内容の明示が求められることに加え、報酬の60日以内の支払いや募集情報の的確な表示、ハラスメントへの対策などを含みます。
参考:「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
フリーランス保護新法の解説
弁護士
猿倉 健司様
弁護士
近藤 綾香様
「個人」たるフリーランスと発注事業者との間で交渉力及び情報収集力の格差が生じやすいことから、フリーランスが契約主体となる取引の適正化及び就業環境の整備を図るため、フリーランスに対して業務を委託する発注事業者を規制する必要があります。そこで、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「フリーランス保護法」といいます。)が令和5(2023)年4月28日に成立し、令和6(2024)年11月11日から施行されることになりました。… 続きを読む
2024年11月までに施行
景品表示法改正
知的財産・法務
2024年の景品表示法改正では、是正措置計画の認定を受けることで措置命令や課徴金納付命令を回避できる確約手続きや、優良誤認表示・有利誤認表示に対する直罰(100万円以下の罰金)が導入されます。
詳細を見る
改正内容
2023年5月10日、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案」が国会で可決されました。
改正景品表示法(「不当景品類及び不当表示防止法」)は、公布の日(2023年5月17日)から1年半を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
今回の改正では、事業者の自主的な取り組みの促進、違反行為に対する抑止力の強化等を目的に、以下のような事項について整備されます。
①事業者の自主的な取り組みの促進
・確約手続きの導入
・課徴金制度における返金措置の弾力化
②違反行為に対する抑止力の強化
・課徴金制度の見直し
・罰則規定の拡充
③円滑な法執行の実現に向けた各規定の整備等
・国際化の進展への対応
・適格消費者団体による開示要請規定の導入
2024年1月1日、4月1日施行
労働安全衛生規則改正
労務・法務
裾切値に関する規定の削除と、対象物質の個別列挙が行われます。
詳細を見る
改正内容
①ラベル・SDS対象物質の裾切値に係る規定の削除
→改正後労安法施行令にて裾切値を規定するため、従来の安衛則における裾切値を削除した
②ラベル・SDS対象物質の個別列挙
→ラベル・SDS対象物質を安衛則別表第2に列挙した
参考:厚生労働省 https://jsite.mhlw.go.jp/yamanashi-roudoukyoku/content/contents/001589819.pdf
2025年4月1日施行
雇用保険法施行規則改正
労務・法務
2025年4月1日、高年齢雇用継続給付に関する改正、教育訓練給付関係の様式の改正が予定されています。
詳細を見る
改正内容
①高年齢雇用継続給付の逓減給付率の修正
2025年度から新たに60歳となる労働者への同給付の給付率を10%に縮小
⇒60歳以降も働きやすい賃⾦制度‧評価制度に⾒直しすることで、有能な⼈材が⻑く働くことができ企業の活発化につなげる目的
②教育訓練給付関係の様式の改正
教育訓練給付及び教育訓練支援給付金に係る申請について、疾病又は負傷その他やむを得ない理由があると認められる場合以外にも郵送及び代理人による申請を可能とするため、各種様式を改正
※添付画像2つはそれぞれ①高年齢雇用継続給付の逓減給付率の修正(横長)➁教育訓練給付関係の様式の改正の2つの概要を指したものです!
参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000744250.pdf
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000268095
2025年4月1日施行
障害者雇用促進法施行令改正
労務・法務
障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則と施行令の段階施行があり、除外率設定業種の除外率引き下げや障害者雇用調整金の算定のための単位調整額の引き上げが行われます。
詳細を見る
改正内容
①障害者雇用調整金の算定のための単位調整額の引上げ
現行の2万7千円から2万9千円に引き上がる。
②除外率の引き下げ。
参考:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/001064502.pdf
除外率設定業種 除外率
・非鉄金属第一次製錬・精製業 ・貨物運送取扱業(集配利用運送業を除く) 5%
・建設業 ・鉄鋼業 ・道路貨物運送業 ・郵便業(信書便事業を含む) 10%
・港湾運送業 ・警備業 15%
・鉄道業 ・医療業 ・高等教育機関 ・介護老人保健施設 ・介護医療院 20%
・林業(狩猟業を除く) 25%
・金属鉱業 ・児童福祉事業 30%
・特別支援学校(専ら視覚障害者に対する教育を行う学校を除く) 35%
・石炭・亜炭鉱業 40%
・道路旅客運送業 ・小学校 45%
・幼稚園 ・幼保連携型認定こども園 50%
・船員等による船舶運航等の事業 70%
2025年4月1日施行
建築基準法改正
法務
2025年4月から新築の住宅や商業建築は、省エネ基準への適合が義務化。
詳細を見る
改正内容
①全建物で省エネ義務化
2025年4月以降に建築する建物は、原則として現行の省エネ基準(断熱等性能等級4)に適合する義務が発生します。
省エネ化に伴い、建築物の重量化に対応した建物構造のルールも強化される予定です。
②「4号特例」の見直し
建築基準法第6条第1項第4号に該当する小規模の建築物の範囲が変わることで、戸建て住宅の大規模修繕をする際に影響が出る可能性があります。
参考:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001576404.pdf