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去る10月29日、企業会計基準委員会は、第535回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議事項は次のとおり。
四半期報告書制度の見直しに関連する課題として挙げられていた、四半期会計基準等と中間会計基準等を統合した会計基準等の開発の要否について審議が行われた。
事務局からは、中間決算と四半期決算で同じ会計基準等に基づき決算をすることができるよう、中間会計基準等と四半期会計基準等を統合した期中財務諸表に関する会計基準等(「(仮称)期中会計基準等」)の開発を行う案が示された。
また、当基準等の開発を行うにあたり、企業の報告の頻度(年次、半期、または四半期)によって、年次の経営成績の測定が左右されてはならないとする原則を採用するとともに、中間会計基準等において定められた経過措置の適用について次の案が示された。
・一般債権の貸倒見積高の算定、未実現損益の消去における簡便的な会計処理→認める
・有価証券の減損処理、棚卸資産の簿価切下げに係る切放し法→従前から期中会計期間末において切放し法を採用している場合には、例外的に継続適用を認め、期中会計期間末において切放し法を採用している場合には、その旨を注記する。
委員からは、方向性に異論は聞かれなかった。
第227回金融商品専門委員会(2024年11月10日号(№1726)情報ダイジェスト参照)に引き続き、主に次の審議が行われた。
⑴オプションの開示
企業が個別に選択可能なオプションを適用した際の開示に関して、企業が企業会計原則注解および企業会計基準24号に照らして重要な会計方針に該当すると判断したオプションについて、重要な会計方針として注記する等の事務局案が示された。
委員から、「利用者として有用な開示」と賛成意見が聞かれた。
⑵今後の審議の進め方
事務局より、減損に関するIFRS9号「金融商品」、IFRS7号「金融商品:開示」の規定を金融商品会計基準等に取り込むにあたって、金融商品会計基準に取り込むもの、新たに開発する適用指針に取り込むもの、いずれにも取り込まないものに峻別を行う等の審議の進め方が提案された。
委員から反対意見は聞かれなかった。
第162回実務対応専門委員会(2024年11月10日号(№1726)情報ダイジェスト参照)に引き続き、主に次の審議が行われた。
⑴会計処理に関する基本的な考え方
バーチャルPPAにおいて差金決済のみに着目してデリバティブの該否の検討を行うのではなく、需要家にとって契約の主たる目的である非化石証書の取得について、非化石証書や契約の特徴を踏まえてどのような会計処理が経済実態を表すのかの検討を行うなどの考え方が示された。
委員からは、賛意が聞かれた。
⑵会計処理の検討
事務局より、①対価の支払義務に関する負債の認識時点、②負債の認識時点の会計処理、③追加的な論点について、分析がなされ、そのうち①について、次の事務局提案が示された。
・負債の認識時点について、(i)発電時、(ii)一般送配電事業者における発電量の通知時点、(iii)発電量の認定時点が考えられる。
・(i)の時点から需要家は対価に対する実質的な支払義務を負っていると考えられるが、本プロジェクトが対象とする取引の目的が非化石証書の取得であることを踏まえると、非化石価値が認定され、需要家の支払義務が確定した(iii)で負債を認識する。
委員からは、「今後、(i)で認識したいニーズが出てきた場合の対処も考慮してほしい」との意見が聞かれた。
去る10月30日、SSBJは第42回サステナビリティ基準委員会を開催した。
3月29日に公表されたサステナビリティ開示ユニバーサル基準案およびサステナビリティ開示テーマ別基準案(以下、テーマ別基準のうち気候関連開示基準案を「気候基準案」という)に寄せられたコメントへの対応案について、審議が行われた。
主な審議事項は次のとおり。
⑴気候基準案53項および54項の取扱い
本公開草案では、「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)」(以下、「GHGプロトコル」という)に従って温室効果ガス(GHG)排出を測定しなければならないと提案している。ただし、法域の当局または企業が上場する取引所が、GHG排出を測定するうえでGHGプロトコルとは異なる方法を用いることを要求している場合、当該方法を用いることができることとされている(気候基準案51項)。
また、わが国においては、温対法におけるGHG排出量の報告のための算定期間と当該企業のサステナビリティ関連財務開示(および関連する財務諸表)の報告期間に差異が生じる場合が認められたことから、温対法に関する追加の定めとして、サステナビリティ関連財務開示の公表承認日において、すでに当局に提出したGHG排出量のデータのうち、直近のものを用いなければならないとされている(気候基準案53項)。
さらに、算定期間と報告期間の差異が1年を超える場合、追加の開示事項が気候基準案54項にて定められている。
これに対し、当局に提出した温対法に基づく排出量を用いることで得られるコスト低減の便益よりも、サステナビリティ関連財務開示の報告期間とGHG排出量の算定期間に差異が生じることにより、関連情報のつながりが希薄となり、情報の有用性が低下する可能性があるとして、強い懸念が聞かれていた。
事務局は、このような強い懸念を受け、気候基準案53項・54項の温対法に関する定めを削除し、用いる測定方法にかかわらず、報告期間に係る排出量を算定することを提案した。
委員からは、「大きな方針転換となり、作成者に非常にコストがかかる」(作成者)という反対意見や「公開草案では、利用者から反対意見が多く聞かれていたため、この変更に賛同したい」(利用者)などの意見が聞かれた。
⑵期間調整に関する取扱い
⑴に関する検討に続いて、GHG排出量の算定期間が報告期間に一致しない場合、報告期間に係る排出量を算定するにあたっては報告期間と同一の調整をすることが必要になるが、どのように調整するのかが問題になると考えられる。
この点、調整方法についてはさまざまな方法が考えられるため、SSBJ基準においては「合理的な方法により調整しなければならない」と定め、その具体的な方法は解説記事によって調整計算の事例を提供するとの提案が示された。
委員からは、「解説記事を作成する前に、合理的な方法での調整の実例やそれが実行可能なのかどうかを共有しなければ、基準を確定するのも困難なのでは」との懸念の声も聞かれた。
事務局は「いくつかの企業の実例を皆さんにご確認いただいてから進めていく」と回答した。
⑶再公開草案の要否の検討
事務局は、⑴および⑵において、本公開草案の一部の提案を取り下げて新たな提案を行っているため、公開草案を再度公表しコメントを募集することも考えられるが、すでに公開草案において賛否両論のコメントが寄せられているため、追加的な情報が入手できる蓋然性が低いとも考えられることから、公開草案を公表せず、基準を確定することに注力すべきと提案した。
委員からはおおむね賛同する意見が聞かれたが、作成者の委員からは、再公開草案を行わないことに対して強い懸念が聞かれた。
事務局は、前記の懸念を受け、企業にとってサプライズとなることを避けることや成案となる前に広く意見を募る必要があるとして、当該部分に限定した再公開草案を行うと回答した。なお、本基準の3月公表予定に変わりはないとしている。
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