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企業が何らかの業務を外注する際には、「業務委託契約書」を作成すべきです。
きちんと契約書を作成しておかないと、後々外注先とトラブルになる高いリスクが発生してしまいます。
今回は業務委託契約書の書き方のポイントや作成手順、注意点などの基礎知識を弁護士がお伝えします。そのまま使えるテンプレートもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
契約書を作成する際には、ビジネスに特化した弁護士などの専門家による契約審査を受けておくと安心です。自社では契約書の作成に対応しにくい場合には、検討してみるとよいでしょう。
業務委託契約書は、発注者が受注者に対して何らかの業務を委託する際に作成する契約書です。
民法上「業務委託契約」という契約類型は規定されておらず、多くの業務委託契約は「請負契約」や「委任契約」、あるいは両者が混じった性質を持ちます。
業務委託契約書を作成する目的や雇用契約との違い、種類など確認しましょう。
トラブル防止と契約内容の明確化
業務委託契約書を作成する重要な目的の1つは、トラブルの防止と契約内容の明確化です。
契約書がなかったら、委託する業務内容や報酬額、支払時期、契約期間などの重要な要素が明らかになりません。また相手方と認識の齟齬が発生したとき、大きなトラブルに発展してしまいます。
業務委託契約書を作成していたら、お互いに契約書に定めたとおりに行動するのでトラブルに発展しにくくなる効果があります。
トラブル解決の指針
契約書はトラブル解決の指針となる役割も果たします。
たとえば著作権などの知的財産権の帰属が問題となったとき、契約書にきちんと知的財産権の帰属先や移転時期が明らかにされていたら、その内容に従って解決できるでしょう。
万一裁判になったときにも、契約書を証拠として提出すれば相手方の間違った言い分を崩す根拠となります。
契約内容を明らかにしてトラブルを防止し、万一の際の解決指針とするためにも、外注時には必ず業務委託契約書を作成しましょう。
業務委託契約と雇用契約はまったく異なります。
一番の違いは「誰が仕事に関する裁量権を持つか」という点です。労働者に該当するのは「使用者従属性」のあるケースです。
業務委託契約の場合、受託者(外注先)が自分の裁量で仕事を進めるため、使用者従属性は認められません。業務の開始時間や終了時間、進捗や具体的な進め方については受注者が自分で決定します。
一方雇用契約の場合には、雇用主が被用者へ仕事の進め方について指揮監督します。
始業時間や終業時間、具体的な業務の進め方について定めたり、適宜報告を求めたりもできます。
業務委託契約では労働関係法令が適用されませんが、雇用契約には適用されるので、労働者は強く保護されるという違いもあります。
このため悪質な事例では労働法の適用を逃れるため、本来は雇用契約とすべきところをあえて「業務委託契約」として、脱法行為をはかろうとするケースも稀にあります。
企業が仕事を外注する際には、個別に指揮監督する内容を入れてはなりません。あくまで受注者の裁量に任せましょう。
業務委託契約にはいくつかの種類があります。分類方法はさまざまですが、ここでは「報酬の定め方」や「継続性の有無」によって分類します。
報酬の定め方
業務委託契約では、発注する仕事や個別事情によって報酬の支払い方法が変わります。
たとえばコンサルタントなどの継続的な契約であれば、月額報酬制やタイムチャージ式にするケースが多数です。
一方、イラストや写真、文章などの納品物を要する場合には、納品ごとの検収として業務ごとに個別に報酬を定めるのが一般的です。
継続か単発か
契約が継続的か単発の依頼かによる分類も可能です。
たとえばウェブサイトのディレクション、SEO対策やコンサルタント等の場合には通常継続的な契約となるでしょう。
一方で、ライティングや写真、イラストやHP制作などであれば単発にするケースも多々あります。
業務の外注時には状況に応じて最適な業務委託契約の形態を選ぶ必要があります。せっかく契約書を作成しても、……
◆WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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