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今回は、株式会社タイミーで取締役CFOを務める八木 智昭 氏に、キャリアの中でのターニングポイント、仕事に対する価値観、現職の事業及び組織の魅力を伺いました。経営管理の領域で活躍する八木氏の考えに触れることで、キャリア形成のヒントを得て頂ければ幸いです。
八木 智昭 (やぎ ともあき)
株式会社タイミー 取締役CFO
東京証券取引所グロース市場(2024年11月現在)
最終学歴中央大学法学部卒業。
三菱UFJ銀行での勤務を経たのち、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資銀行本部にて上場・非上場企業のIPO、M&A等の投資銀行業務に従事。2020年12月からタイミーにジョインし、現在はCFOとして活躍。
【インタビュアー】
清水 悠太(しみず ゆうた)
株式会社MS-Japan(エムエスジャパン) マーケティングDivision 執行役員
MS-Japanは、会計士や経理など会計・財務領域に特化した転職サポートを行う転職エージェントを運営しています。
創業35年の人材業界のリーディングカンパニーとして、資格・職種に精通したキャリアアドバイザーが専門的に転職やキャリアに関してサポートをしています。
またWebサイトでは転職・キャリアに関する有益な情報を発信しています。
――これまでのご経歴についてお伺いできますでしょうか。
中央大学の法学部で、資格の勉強をしていたため法律の道もありましたが、民間企業に行くと決めて就職活動をしていました。その時はいわゆる売り手市場だったこともあり、さまざまな業界が新卒採用をしていたので、まずは業界上位企業を幅広く受ける就職活動をしていました。
就職活動中は、どの業界も面白そうだと感じていましたが、銀行であれば引き続きいろいろな業界に関われるし、経営者やトッププレイヤーにお会いできて面白そうだと考えて、三菱UFJ銀行に決めました。
三菱UFJ銀行には6年半在籍し、始めは東京の支社で営業担当、転勤で名古屋の方へ行き営業本部で大企業向けの部署に所属しました。入行時はまさに景気の変わり目でサブプライムローン問題に端を発したリーマンショックがあった時期で、業績悪化で資金が必要というお客様が多い時期でした。 そこで、これは力をつけるチャンスだと感じて、自ら手を挙げて新規開拓営業をやることになりました。振り返るとそれが今のルーツにも繋がっているなと感じます。
一般的には、先輩から引継ぎを受けて担当先を30社ほど持ち、その範囲で目標達成に向けて営業活動をするのですが、新規開拓営業だと基本は飛び込み営業になります。そのため「融資はどうですか」という銀行のサービスを使ってもらう前提ではなく、「経営や事業面でなにかしら貢献できないか?課題解決を一緒にできないか?」というアングルで営業をしていました。
自分なりに業界や企業の分析をして提案資料を作成して、それを企業のポストに入れたり、受付の人に渡したりしていました。1回訪問しただけではなかなか会ってもらえないので、10回訪問してようやく会えるような活動をしていました。この経験から事業面をどうやって一緒に伸ばすか、という営業スタイルを、1~2年目にかけて身につけることができました。
ーー事業提案をするとなると普通に会社が提供してくれる教育プログラムやOJTでは身につかない知識やノウハウが必要だと思いますが、どのように学んでいましたか?
当時、運良く銀行の営業担当者向けに定期的に勉強会をやってくれている方がいて、その会の延長線上で、取引先企業に事業戦略コンサルティングのサービスを提供するプロジェクトが立ち上がり、そこに私も関わりたいですと立候補しました。 小さいプロジェクトではあったのですが、そこで勉強ができて、新規開拓営業ではただ名刺を配るのではなくてお客さんの事業戦略を想像しながら、レポートでまとめてポストに投函するという実践が良いサイクルで経験できました。通常の営業担当でも社長に会う経験はできると思いますが、自分のアイデアとか事業戦略をぶつけて、フィードバックをもらうことは本当に刺激的でした。
この経験のおかげもあって、その後、名古屋の営業本部へ異動となり、大手企業を担当するようになっても、単純なサービスの提案ではなく事業戦略にも関わることができました。
ーーいろいろな経験をされた中で、現職であるタイミーへ入社をする決め手になった点やエピソードはありますか?
銀行での経験から事業会社で働きたいと考えて転職活動をしました。
ただ、当時はタイミングが悪く新型コロナウイルスの影響で求人市場が悪化している状況でした。そんな中で、タイミーがコロナ禍の影響を受けて解雇されてしまったアルバイトの方に対して業界問わず働く場を作り出し、労働市場のセーフティーネットになっているように感じました。
いろいろな企業を見てきた中で、当事者として事業会社に勤めるなら社会的意義がある企業に入りたいと考えていました。それと、一貫して経営や事業に対する提案をしてきたので、せっかくなら経営者に近いところで裁量権を持って働きたいと考えていたので、スタートアップやベンチャーに興味がありました。 タイミーはまさにぴったりだなと感じて応募しました。
ーー入社後に主に取り組まれたことは何ですか?
入社当時は管理部門が2、3人ぐらいだったので、一から管理部門を立ち上げるところから始まりましたね。まずは採用が必要で、並行して社内規程の作り直しと各種チェック体制を見直し、統制が効く組織にすることにも取り組みました。それとは別に、私の本来の強みを活かして、ファイナンス面で攻めの体制を取るために、エクイティの調達などにすぐ動きました。
ーー守りも攻めも全方位にご活躍されているようですね。仕事上で大事にしている考えや価値観はありますか?
私は攻めに強みがあると思っているのですが、基本的には会社成長をドライブさせるようなコーポレートにしたいと思っています。コーポレートって結構、守りとか、何かの歯止めみたいな形で使われることが多いなと思っていますが、それだと組織にいるメンバーも、自分たちが何のためにやっているのかがわからなくなってくることがあると思います。
しっかりとお客様に物事を届けるということが受け入れられて売上になっていくというところにコーポレートも関わりたいなと。攻めというか、成長をむしろコーポレートからドライブさせるみたいなことを重視しています。
具体的なもので言うと、稟議フローであれば、今まで諸々マニュアルでやっていたことを全部自動化させるとか。なるべく営業に負荷がかからないようにするというのも間接的にはありますけど、売上に貢献できると思っています。
財務で言うと、企業の与信管理をしているのですよね。与信を管理する中で、厳格にしすぎると、守りみたいな形になってしまうので、むしろこの企業だったらもっと与信が取れるのじゃないですか?だからお客さんにそれを言って、もうちょっと攻めましょうと、こちらから促進させることが大事だと考えています。 コーポレート発信で、事業拡大や新しいチャレンジに貢献できるような組織にしたいと考えています。
これはタイミーが掲げる「理想ファースト」というバリューとも一致しています。
理想から逆算して考えるみたいなものがあるのですね。理想はこうだけど常識的には難しいから諦めようではなく、理想を叶えるために個人もチームも知恵を絞る風土があります。
ーー株式会社タイミーで働く魅力って改めて何ですか?
端的に「成長」だと思います。
これまでになかったサービスを作り出している中で、上場したこともあり、コーポレートも自然と新しい知見を身に着ける必要があります。加えて理想ファーストの精神で、今あ
るものを磨き込むだけでなく、新しいやり方に挑戦することが求められます。
その他に、タイミーで働くメリットみたいなところで言うと、自分から手を挙げたら、任せられるということが多いのですごくやりやすい。かつ、他部署も領域別に壁があるわけではないので、他の部署を巻き込んで色々やっていく上での環境は整っているのかなと思います。
ーー社員が活躍しやすい風土ですね。そのような状態を作り出すための仕組みや制度はありますか?
個人の能力開発や適性を見つける観点で、ローテーション制度を取り入れています。 いろいろ経験を積んでもらうことで、みんなが他の人の仕事を知っている状態が作れるメリットもありますし、なるべく幅広い経験を積むことで社員の能力も総合的に上がっていくと考えています。
ーーいろいろなチャレンジができる環境に魅力を感じますが、その反面評価が難しそうですね。管理部門の人事評価で工夫していることはありますか?
成果とバリューという考え方で、人事評価制度を設計しています。
成果は定量的なものもあれば、能力的なものもありますが、いずれも何らかの基準で計測するようにしています。一方で、バリューのところでいうと、「理想ファースト」もそうですし、他にも「バトンツナギ」「オールスクラム」「やっていき」というものもあって、それらが体現できているかを評価しています。
単純に実力主義や個人主義にならないように、バリューで基本的な価値観を統一するようにしています。
ーー過去を振り返ってやっていて良かったこと、もっとやっておけば良かったことはありますか?
自分で決めて自分でキャリアを作るということは意図的にやってきました。 一度きりの人生なので自分がやりたいことや関わりたい事業・人と一緒にキャリアを作っていけるように、自分が主体となって行動することを心がけていました。
性格的に逆算をしっかりした上で目標設定を1日ベースで決めることを心掛けてきたので、それを達成するためにどういう行動をしなくてはいけないのかということは戦略的に考えていました。
その中でも経営や事業の戦略に関わる経験を積んできたことが役立っています。それがなかったら、多分今もないですし、意思決定とかも多分できてなく、パフォーマンスにも影響が出てたかなと思いますね。もっとやっておけば良かったというのとは少し違いますが、もうちょっと早く事業会社にキャリアチェンジしても良かったかなとは思います。
ーー最後にManegy読者の方のキャリア形成のヒントとして、八木さんがやっている自己研鑽や仕事外の活動はありますか?
NPOとか国際協力系のところに一部関わったり、今やっている事業や仕事とは全く違う分野に取り組んだりしています。
同じ界隈のことや同じ頭の使い方でできてしまうことばかりをやっていると、視野が狭くなり、思考が凝り固まってしまうと考えています。全く土俵が違うところの経験をすることで、考え方のバイアスを自分で取り除いていくことが大事だと考えています。
ーー貴重なお話をいただきありがとうございました。これまで世の中になかった新しいサービスに取組むタイミーと、その組織の成長を主体的に促進するコーポレート部門の活躍に今後とも期待しております。
近年CFOの活躍の場が広がっており、キャリアパスも多様化しています。
FASや投資銀行を経由するのか、IPO準備から関わるのかなど、CFOを目指した中長期的なキャリアを考えるには、特化型エージェントの活用がおすすめです。
会計士や経理など会計・財務領域に特化した転職エージェント「MS-Japan」は、非公開求人として取り扱われやすいCFOやハイクラス求人を多く取り揃えており、専任のキャリアアドバイザーがひとりひとりの経歴やスキルに合わせて、納得できる転職をサポートさせていただきます。
CFOを目指すためのキャリアや、最新の転職市場に関しても、ぜひお気軽にキャリアアドバイザーにご相談ください。
インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ マーケティングDivision / 執行役員
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