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今回は、株式会社アズパートナーズで取締役兼上席執行役員を務める松尾 篤人氏に、キャリアの中でのターニングポイント、仕事に対する価値観、現職の事業及び組織の魅力を伺いました。経営管理の領域で活躍する松尾氏の考えに触れることで、キャリア形成のヒントを得て頂ければ幸いです。
松尾 篤人(まつお あつんど)
株式会社アズパートナーズ 取締役 兼 上席執行役員(経営管理部 管掌)
中央大学商学部卒業。
東証マザーズ上場会社にて経理財務業務及び営業譲受・MBO等の事業再編業務の経験を経て、2010年に株式会社アズパートナーズの経理財務部門のマネージャーに就任。管理部門に加え、営業やシニア事業の責任者も務めるなど幅広く経験。IPO準備に伴い管理部門に専念し、2024年4月に新規上場を達成。現在は取締役兼上席執行役員として活躍。
――まず松尾さんのご経歴を教えてください。
商学部の出身で普通の学生でしたね。商売が面白そうだなと思って商学部に進学しましたが、他の大学生と同じようにサークル活動中心で、サークルは英会話のサークルに入って英語劇などを楽しんでました。
3年生になったとき、周囲が一斉に始める就職活動の流れに違和感を抱いたんですよね。別の道がないか考えて、興味を持ったのが、公認会計士の資格でした。自分は就職活動をせずに会計士を目指して違う道をいくんだと決意しました。 ただ、実際は大学生活のモラトリアムを延長したいという気持ちとアルバイトでも商売を勉強したいという思いがあって、コンビニやカフェなど色々なアルバイトをしていました。実際にアルバイトした中では、スターバックスのブランド構築や人事評価制度に触発されて、良い会社、良い組織を作る仕事をしたいという希望を持つようになりました。 因みに、公認会計士試験は何度か受験しましたが、残念ながら短答式合格までしか至りませんでした。試験に合格する人は軽やかに結果を出すのを目の当たりにして、これは自分には向いていないと断念しました。
断念したというと潔い言い方かもしれませんが、実際は本当に楽しくてイキイキしていた学生時代から一転して、友達は就職して大企業で活躍しているのに、自分だけ孤独に受験勉強とバイトをしている状況が長く続いたので、私の中ではセピア色の暗黒時代と呼んでいます(笑)。
就職すると決心したのが二十代後半だったので、中途採用枠に応募していましたが、試験勉強を通じて会計の基礎知識が身についていたので、何とか上場しているベンチャー企業に採用してもらうことができました。
――迷い回り道をする期間だったんですね。最終的に勉強してきたことが厳しい就職活動の助けになったことは、難関資格に挑む人にとっては救いですね。
実際には完全にモラトリアムですよね(笑)。今思うと人生を甘く見ていて、漠然と会計士も続けていれば受かると思っていました。合格率を冷静に考えたら、一生懸命勉強しても受からない人がたくさんいる試験ですからね。でも、真剣に取り組んだことは、間違いなく人生経験として力にはなっています。今、会計士試験の勉強中の方には、前向きな気持ちでぜひ頑張ってほしいなと思いますね。
――1社目の東証マザーズの上場企業では、どのような経験をしましたか?
私が入社した当時は非常に勢いにのって様々な企業を買収し、事業拡大して右肩上がりで成長していた時期でした。ただ、その数年後には状況は一変して業績が急激に悪化し、次々と買った子会社を売却するような状況に追い込まれました。
――ベンチャー企業の浮き沈みを経験していますね。仕事もハードだったのではないですか?
経理財務部門に配属されましたが、最初はまったく仕事ができず、役立たずの状態でした。Excelも実務で使ったことがないので、関数もまともに知らず、さらに「マクロってなに?」という状態でしたので、本当に見よう見まねで覚えていきました。
でも、そうやって一から仕事を覚えていくうちにインテリア事業を行う会社の事業譲受の業務や、その後、一緒にスピンアウトする際にもその会社の管理部門全体をまかされることになりました。
ハードでしたがすごく鍛えられましたね。実務スキルもかなり上がりました。
――その後の転職では、引く手あまただったのではないですか?
いろいろありましたが上場ベンチャーで経理経験を積めていたことに加えて、M&AやPMI、スピンアウトなど経営企画的な経験も積んでいたので、複数の上場会社から内定をいただけましたが、当時、創業6年目の現職の株式会社アズパートナーズに入社を決めました。
友人たちは経理としてのキャリアを考えたら上場会社に転職した方がいいと言いましたが、代表の植村に魅力を感じて、経理のキャリアよりも、良い会社、良い組織を作る経営の仕事をしたいと思いました。植村が掲げる「いい仲間といい仕事をする」という理念にも共感していました。
経理としての入社でしたが、入社から数か月で管理部門全体を見るようになりました。 2021年に執行役員になったときには、シニア事業部門の責任者を任せていただき、管理と兼務で事業にも携われました。その後、上場準備に伴い事業部との兼務ができないため、管理部門に専念するようになりました。
――現職に入られて14年ですが、組織が大きくなっていく中での課題やその解決策としての取組みは何かありますか?
今は従業員が1600人いますから、日々いろいろなことが起こります。入社したときは400人程度でしたが、事業所を増やすたびに50〜60人の従業員が増えるので、どんどん組織の課題が変わっていきます。
その中で、常に大事にしていることは、コミュニケーションの垣根をなくすことです。毎年、全社総会を開催したり、サークル制度やボウリング大会など社員が交流できる機会を作っています。また、キャリア意向調査というものを実施して、社員の希望を定期的に把握する環境を整えています。部署での縦の関係は重要ですが、部署を超えた横とか斜めの連携も意識してコミュニケーションを取り、悩みの解消に向けて取り組んでいます。
――社員は若い方が多いようですが、密すぎるコミュニケーションを好まない方もいそうですが工夫していることはありますか?
試行錯誤ですね。新卒採用の面談で「どんな会社ですか?」って聞かれると、会社なので遊びではないですが、人間関係はサークルみたいな会社ですって言っています。やりたいことが実現できる共同空間だと思っています。ただ、サークルだとお金はもらえないけど、会社だとお金もらえますからね(笑)。他の介護会社と比べると、勢いがあって楽しそうと言ってもらえますね。
――松尾さん自身が、今後挑戦していきたいことはありますか?
未来に向けていいサービスを生み出していきたい、良い組織をつくっていきたいという思いは昔から変わらないですね。このビジョンを掲げて、社会に貢献していきたいという気持ちは常に持っています。あとは、仕事も含めて同じ志を持つ仲間と人生を楽しみたいです。
仲間にはとても恵まれていると思います。実は上場予定日が、娘の出産予定日と重なっていたんですよ。その際に上場プロジェクトのネーミングが「PJ birthday」に決まりました。プロジェクト名は、外部の専門家とのやりとりでも頻繁に使います。このネーミングの由来は、上場しても僕たちはそこがゴールではなくてスタートだという意味を込めて、みんなでつけました。でも同時に、うちの娘が生まれるっていう意味もあったんです(笑)。結果的に娘は少し早い日程で生まれて、予定通りに上場も達成しました。
いい仲間と未来にむけていいサービスを提供していく、これが一番ですね。会社の若い方も世の中の変化に対してしっかり自分で意思決定をして行動していってほしいと願います。いい世の中を作っていける人を育てながら、一緒に盛り上げていけると人生は楽しいかなと思いますね。
――仕事をする上でモットーや重視して取り組んでいる点はありますか?
その瞬間瞬間、一生懸命取り組むということがすべてだと思います。たとえ、その時に上手くいかなかったとしても、結果として自分の力になっていくからです。その瞬間は苦しくても、モチベーションを高く保ちながら、今を楽しもうと明るく取り組んでいけば、未来につながると思います。
僕は二十代の時は気持ち的にはどん底にいて、三十代も仕事ができるようになるのに必死で、すごく苦しかったです。直近だと、上場前は厳しいスケジュールの中「本当に大丈夫か?」と不安も多くありました。でも、その瞬間は大変ですけど目の前のことに全力で取り組めば、1つのことが終わった時には必ず何かが残ります。
仕事に関するモットーというよりは、シンプルにいい仲間といい仕事をして、この瞬間を大切にしながら、新しいものが生み出せれば幸せなのかなと思います。今、この瞬間のインタビューも楽しいですよ!
――シンプルで良いですね。Manegy読者の皆さんの参考にしていただきたくて、CFOの皆さんにおすすめの書籍を伺っています。何かございますか?
「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」をおすすめします。「今のこの経験が時間の経過とともに高まってきて将来の福利の効果を生む」という内容で、笑い話や楽しかった体験が、将来でも思い出としてさらに福利の効果を生みながら人生を豊かにするという考えです。これは、僕の価値観ともリンクします。今に集中して自分のやりたいことに挑戦することで、上手くいかなくても、その時の経験が財産となって、将来さらに新しいチャレンジや経験に繋がる福利の効果や配当につながるのかなと思います。
実際に二十代の頃は会計士の試験には受かりませんでしたが、直近で経験した上場準備の過程で、内部統制準備や監査法人ともやりとりをする中で、会計士の試験勉強で学んだ知識がすごく活きました。仕事でもプライベートでも、あらゆる経験が将来の価値を生むというのは身を持って体験しましたし、この本はとても共感できるのでおすすめです。
それから、「7つの習慣」も好きです。最後の第7の習慣の「刃を研ぐ」というところが気に入っていて、何事にもバランスが重要だということが分かります。肉体や精神、知性、社会性なども偏らないことが大切です。自分の人生の時間の中で、できるだけバランスを上手くとることが、心身ともに健康でいられるポイントだと思います。
最後にあげるとすると、「ビリギャル」著者の坪田先生の「才能の正体」という本の中にある考え方で、「才能は生まれ持った能力ではなくて、誰でも努力によって能力は上がって、それが才能になる」という考え方が好きです。
今の自分も上場して未経験なこと知らないことが沢山ありますが、これからも楽しみながら努力して成長し続けていければと思っています。
――貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。今後も、日本の少子高齢化社会を支える株式会社アズパートナーズ様で、お仲間と楽しくご活躍されるのを楽しみにしています。
インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ 株式会社MS-Japan マーケティングDivision / 執行役員
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