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決算は、企業の財務状況を正確かつ迅速に把握するために重要です。しかし、書類の多さやチェック作業の煩雑さによって、負担が大きくなっている経理担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、決算作業の各プロセスや効率化によるメリットを整理したうえで、具体的な効率化の手法をご紹介します。
決算業務は、企業が一定期間の収支を整理し、財政状態や経営成績を「正しく」示すための重要なプロセスの一つです。
社内では経営判断や戦略策定に役立ち、社外では投資家や取引先が企業の信頼性を判断する材料となります。
ここでは、決算業務の流れについて詳しくご紹介します。
決算業務をスムーズに進めるためには、日々の経理処理の精度を高めておくことが重要です。
月次・四半期などの区切りで、仕訳データや証憑類、在庫・固定資産の管理状況などを確認し、不備や漏れがないかをチェックします。
決算期を迎えたら、日常処理だけでは計上しきれない評価替えや経過勘定などの「決算整理仕訳」を行います。
主な作業は以下の通りです。
・売掛金・買掛金の修正:決算日に合わせて売掛金と買掛金の金額を修正します。
・固定資産の減価償却:取得額や耐用年数に基づき減価償却費を計上し、固定資産の帳簿価額を修正します。
・棚卸資産の評価:期末在庫の実地棚卸を実施し、評価損があれば計上します。
・引当金の設定:貸倒引当金や賞与引当金など、今後の費用を当期中に計上し、正確な損益を把握します。
決算残高が一切の数値と一致していることを確認したら、「勘定科目内訳明細書」を作成します。法人税申告書の添付書類であるため、必ず作成しなければいけません。
決算整理仕訳は企業規模や業界によって作業量が異なるため、なるべく早めに準備を進めておくと良いでしょう。
修正後の利益や売上をもとに、各種税金を正しく算出します。 年次決算では、消費税と法人税の計算を行います。
消費税は、売り上げに含まれる消費税額から仕入れ・経費にかかる消費税額を差し引き、帳簿上の消費税の金額との差異を修正し、未払い消費税として計上します。
法人税の計算においては、課税所得の金額によって法人税率が異なるため、注意が必要です。また、法人住民税も地方によって基準に差があります。
税金計算の誤りは追徴課税のリスクにつながるため、計算根拠や書類をしっかり管理しておきましょう。
決算書が確定したら、法定期限内に各種税務申告を行い、納付手続きを完了させる必要があります。
期限に遅れると加算税や延滞税が発生する可能性があるため、スケジュール管理が大切です。
決算整理仕訳や税金の計算結果を踏まえ、正式な決算書を作成します。
決算書は以下の5つの書類が挙げられます。
・貸借対照表(B/S):企業の資産・負債・純資産における状況を一覧化した書類
・損益計算書(P/L):当期の売り上げや費用、利益の内訳を記載した書類
・株主資本等変動計算書:資本金や利益剰余金など、資本の増減や配当処理をまとめた書類
・キャッシュ・フロー計算書:現金収支の動きを把握できる書類(上場企業のみ作成義務あり)
・個別注記表:上記書類の注記事項をまとめた書類(処理方法の変更など)
特に貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュ・フロー計算書は「財務三表」と呼ばれ、重要な書類です。
作成した決算書を社内外で承認し、正式な決算を確定させます。手続きは以下の通り会社の体制によって異なります。
会計監査人による会計監査(適正意見の表明など)を受けた後、取締役会で承認を行い、株主総会に報告するケースが一般的です。
会社の規模や定款の定めによっては、決算書類を株主総会の承認事項とせず、取締役会の承認のみで確定とすることも認められています。
監査役が決算内容を監査した後、株主総会で最終的な承認を得ます。
会計監査人を置いていないため、監査役による「適法性の監査」がメインとなりますが、株主総会の承認を経て決算が正式に確定します。
取締役会で決算内容を確認・承認したうえで、原則として株主総会の承認を受ける必要があります。
ただし、一定要件を満たす場合には、株主総会では報告のみとし、取締役会での承認をもって決算を確定できるケースもあります。
会社法上では、定めがありません。合同会社の社員(出資者)が複数いる場合は、定款の定めなどに基づき、社員全員または業務執行社員の合意によって決算内容を承認します。
社員が1名のみであれば、その社員が決算を確定させることになります。
決算業務は作業を効率化し、早期に完了できる体制を整えることが極めて重要となります。
以下では、決算業務を効率化させるメリットを5つご紹介します。
決算期になると、経理担当者に業務が集中し、残業時間が増えるケースも珍しくありません。
効率化を図り、普段から月次レベルでの集計や書類整理などを徹底しておけば、決算期末の突発的な残業や人件費コストを大幅に削減できます。
決算業務における作業や承認フローの過程で、時間的な余裕がないとミスが発生しがちです。余計な確認や修正を繰り返すと、その分だけ完了時期が遅れる悪循環に陥ります。
効率化によってワークフローを整備すると、担当者間でのスムーズな連携や自動チェック機能の導入が可能になり、ミスのリスクが軽減されるでしょう。
決算業務は特定のベテラン経理担当者にしかわからない手作業やExcel管理が多いケースが見受けられます。
しかし、効率化を進めながらマニュアルの整備やツールの活用をすることで、「この人しかわからない」という属人化状態を解消し、チーム全体で業務を分担できるようになります。
これにより、引き継ぎリスクや担当者の急な離脱に備えられる体制を構築することが可能です。
早期に決算が確定し、正確な財務指標をすばやく確認できると、経営陣や管理者は企業の現状をタイムリーに把握できるようになります。
迅速な意思決定が求められる現代のビジネス環境では、経理部門が迅速に数字を示す意義は大きいといえるでしょう。
上場企業は、決算短信や有価証券報告書など外部公表のために厳格な開示スケジュールが求められます。
東証では決算期末後30日以内の開示を要請しており、50日を過ぎる場合は、遅延の理由や次の決算期末での開示予定を表明する必要があります。
決算業務を効率化すれば、余裕をもって開示資料を作成し、監査対応や内部統制の確認なども十分な時間を確保することが可能です。これにより、投資家や市場からの信頼を一層高められるでしょう。
決算業務の効率化は、経理担当者の負担軽減だけでなく、経営判断のスピードアップやミス防止、コスト削減など多くのメリットをもたらします。
以下では、具体的な方法をポイントごとに整理しました。
決算期に作業が集中するとミスや残業が増えがちです。月次決算の段階で仕訳や在庫・固定資産の状況を細かく確認しておけば、決算直前の突貫作業を減らすことができます。
日常的なマニュアルの整備やテンプレート導入によって、経理ルールのばらつきを抑え、担当者間の引き継ぎも円滑に行えます。
決算業務は、経理部門だけで完結するものではありません。他部署からの資料提出や取引先との情報共有がスムーズに進まないと、締め切りに間に合わずに残業が増えてしまいます。
ワークフローシステムを導入して電子承認を活用したり、部署間の連携ルールを定めたりすることで、承認の遅延や情報漏れを防ぎ、トラブルを最小限に抑えられます。
紙ベースやExcelへの手入力は、どうしてもミスが起こりやすく、時間もかかります。
クラウド会計ソフトやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを活用すれば、請求書や経費精算のデータを自動連携して仕訳を生成し、人為的な作業を大幅に削減可能です。
リアルタイムで経営指標を確認できるため、経理担当者に細かい問い合わせを行う手間も減り、企業全体での意思決定がスピーディに行えるようになります。
税務関連の高度な知識や、大量のデータ入力が必要な作業は、必ずしも社内だけで抱える必要はありません。
税理士や公認会計士に早めに相談しておけば、複雑な処理の対応や法改正への対策も余裕をもって進められます。
また、アウトソーシングを活用すれば、経理担当者は付加価値の高い業務に集中できるようになり、最終的に決算の品質向上やスピードアップにつながります。
決算業務は、正確かつ早期に完了させることで、企業の信頼性向上や経営判断の迅速化が期待できる一方、業務負荷も生じがちです。
月次段階からのフロー整備やデジタルツールの活用などを進めることで、ヒューマンエラーの軽減や属人化の防止につながります。
こうした改善を継続的に行うことで、コスト削減と業務品質向上の両立を図りましょう。
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