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労災とは、仕事または通勤が原因となって従業員が負傷したり、病気になったりすることです。労災に対する補償は、事業主に加入が義務付けられている労災保険によって定められた範囲で行われます。
今回は、労災の仕組みと労災保険の概要、給付内容について、見ていきましょう。
労災とは、労働災害のこと。仕事または通勤が原因で従業員が負傷したり、病気になったりすることを指します。
厚生労働省の発表によれば、平成29年には12万460人の方が労災の被災を受け、そのうち978人が死亡しました。
平成23年には、労災は精神障害についても、認定基準が新たに定められました。長時間労働やパワハラなどによりうつ病などの精神障害になった人の人数は年々増加しており、平成29年には506人が労災認定されました。
労災は、原因により「業務災害」と「通勤災害」に分類されます。
労災が発生した場合には、事業主が補償責任を負わなければならないことが労働基準法により定められています。ただし、労災保険に加入している場合には、事業主は補償責任を免れ、労災保険による給付が行われることとなります。
また、労働基準法による補償責任とは別に、不法行為や安全配慮義務違反などにより、労災の被災者や遺族から民法上の損害賠償請求を事業主が受けることがあります。その場合には、労災保険の給付分については、事業主は賠償責任を免れることとなります。
労災保険(労働者災害補償保険)とは、労働者が仕事(業務)や通勤が原因で負傷したり、病気になったり、死亡したりした際に、被災した労働者や遺族に対して補償金を給付するものです。雇用保険と合わせて「労働保険」と総称されます。
労災保険は、正社員のみならずパートやアルバイトなど、すべての労働者が対象となります。労働者を1人でも雇っていれば、事業主には労災保険への加入義務が生じます。労災保険の保険料は、全額が事業主の負担となります。
労災保険への加入手続きを怠った場合には、
・政府により強制的に加入手続きが行われ、過去にさかのぼって保険料が徴収されるうえ追徴金も徴収される。保険料や追徴金を支払わない場合には、事業主の財産が差押えされる。
・未加入期間中に労災が発生した場合には、補償費用の全額または一部が事業主から徴収される。
・雇用調整助成金や特定求職者雇用開発助成金などの助成金を受けられなくなる。
などになることがあります。
労災保険の給付内容は、
・労災の被災者本人に対する補償
・労災で死亡した被災者の遺族に対する補償
・労災保険の給付を受けている場合に追加される補償
・会社の健康診断で異常が見つかった場合の補償
の大きく4種類に分けられます。
療養(補償)給付 | 労災病院、または労災保険指定医療機関において、無料で治療を受けることができる。 その他の病院で治療を受けた場合は、一旦治療費を自己負担し、 後に全額が支給される。通院の際の交通費も支給される。 |
休業(補償)給付 | 療養のために仕事を休み、賃金を受けられなくなった場合に、 休業の4日目から、1日につき給付基礎日額(=平均賃金日額)の80%が支給される。 |
※ 業務災害に対する給付は「療養補償給付」「休業補償給付」、通勤災害に対する給付は「療養給付」「休業給付」となります。以下同様です。
遺族(補償)給付 | 遺族に対し、一時金として300万円が支払われるほか、 遺族の数などに応じて最大490日分の年金が支払われる。 | |
葬祭料(葬祭給付) | 31万5,000円+給付基礎日額30日分の葬祭料が支給される。 | |
労災就学援護費 | 参照:厚生労働省 - 労災就学等援護費支給要綱の改正について | |
労災就労保育援護費 | 参照:厚生労働省 - 労災就学等援護費支給要綱の改正について |
傷病(補償)年金 | 療養を開始して1年6か月が経っても治癒しておらず、 障害が重い場合には、一時金と年金を支給。 |
障害(補償)給付 | 治療後に重い障害が残った場合は、障害の程度に応じて一時金と年金を支給。 |
介護(補償)給付 | 治療後に重い障害が残ったために介護を受けることになった場合に、 介護に要した費用を一定の範囲で支給。 |
会社の健康診断で異常が見つかった場合には、「二次健康診断等給付」として、従業員は二次健康診断と特定保健指導を、自己負担なしで受けることができます。
労災は、いつ起きてもおかしくはありません。企業は、労災保険に適切に加入し、補償に対する責任に備える必要があるでしょう。
労災保険給付金の請求は、労災の被災者や遺族本人が指定病院や労働基準監督署に対して行うこととなっています。ただし、請求を行う際には、請求書に必要な証明をはじめとし、事業主が積極的に支援することも重要です。
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