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ヘッジ会計とは?経済面の不確実性が高まる中、企業には財務上のリスクを回避するための努力が求められています。もし財務リスクの管理に注力しなければ、重大な財務問題に直面しやすくなり、企業経営そのものを揺るがすような事態も起きかねません。そのような中で近年、リスク回避の方法として注目されているのが、ヘッジ会計です。
そこで今回は、ヘッジ会計に関する基本的な知識、処理方法、適用条件などについて解説します。
ヘッジ会計とは、ヘッジ取引を対象に行われる会計処理のことです。
ヘッジ取引とは、企業が事業活動の中で直面する価格変動、金利変動、為替変動といった相場変動リスクを回避するために行われる取引を指します。
「ヘッジ(hedge)」を日本語に直すと「回避」という意味で、その名の通り、リスクを避けるために行う取引がヘッジ取引です。相場変動リスクの対象となっている取引と、まったく逆の動きをする取引を同時に行うことで、リスクを相殺してしまおうというのが基本的な方法になります。
そしてこのヘッジ取引手段として用いられるのが、デリバティブ取引です。デリバティブとは日本語に直すと「派生的」という意味をもち、その名の通りもともとは金融商品から派生して誕生した取引手法です。代表的なものとして、以下の3つがあります。
・先物取引・・・現時点で取り決めた価格にて、将来の売買取引を約束する取引です。商品先物、為替予約などが該当します。
・オプション取引・・・「現時点で取り決めた価格で、将来売買取引を行う」ことを条件として、「購入する権利」や「売却する権利」を取引することです。金利オプション、株価オプションなどが該当します。
・スワップ取引・・・経済価値が同じ通貨を一定期間にわたって、あらかじめ取り決めた条件にしたがって、お互いに交換する取引のことです。金利スワップ(固定金利と変動金利など、異なる金利の支払い・受取を交換する取引)や通貨スワップ(ドル・円といった異なる通貨での元金利の支払い・受取を交換する取引)が該当します。
これらデリバティブ取引の会計処理は、決算日に時価評価を実施し、その内容をその期の損益に反映するのが原則です。
しかし、「決算日に時価評価する」という方法で会計処理をすると「相場変動リスクの対象となっている取引」=ヘッジ対象と「リスクヘッジのために行う、それとはまったく逆の動きをする取引」=ヘッジ手段の損益認識時期に、ズレが生じる恐れがあります。つまり、リスクヘッジとしてうまく機能しない恐れがあるのす。
そこでそのような損益認識のズレを回避するためには、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益を同じ会計期間に認識する必要があります。同じ会計期間のものとして扱うことで、リスクヘッジが可能になり、そのために行う会計処理が「ヘッジ会計」です。
ヘッジ会計の処理方法には「繰延ヘッジ」と「時価ヘッジ」の2種類があります。
・繰延ヘッジ・・・ヘッジ手段に生じた損益を貸借対照表の純資産の部に繰り延べて、ヘッジ対象における損益が認識された時点に合わせて、損益計算書に計上する手法です。
・時価ヘッジ・・・ヘッジ手段の損益が生じた時期に合わせて、ヘッジ対象の損益も一緒に損益計算書に計上する方法です。
ヘッジ会計については、具体例を挙げて考えるとわかりやすいです。たとえば商社Aが、製造業者に製品の原材料である金属Xを100キロ調達して、1年後に納入するケースを考えてみましょう。
金属Xの相場は現時点で、1キロあたり100円です。製造業者への納入価格は1キロあたり110円で、もし今すぐに金属Xを購入すれば、1キロあたり10円分の利益を得られます。合計で10円×100キロ=1,000円の利益を商社Aは得られるのです。
しかし、商社Aが金属Xを製造業者に納入するのは1年後です。もし今100キロ分の金属Xを購入すると、それを保管しなければならず、そのための保管費用が発生してしまいます。しかも今購入すると、100円×100キロ=10,000円の資金を、1年間まったく運用・活用できないことも意味します。
かといって、購入時期を納入直前の時期にすると、金属Xの値段が1年後に高騰している可能性もあるのです。もし1年後に値段が上がり、たとえば1キロあたり150円くらいになったら、商社Aは損失が生じてしまいます。
そこで商社Aはリスクヘッジのために、1キロあたり100円で100キロ分、金属Xの先物取引の契約を締結することを決断します(先物買いのポジション)。
納入時期である1年後、金属Xの値段は1キロあたり200円まで高騰したとしましょう。商社Aは先物契約によって、1キロあたり100円で取引していたので、価格高騰の影響を受けずに、納入価格1キロあたり110円で製造業者に納入することで、10円×100キロ=1,000円の利益を得られます。
一方、先物取引で1キロあたり100円にて100キロ分購入したのに、1年後に金属Xが1キロあたり50円まで暴落した状況も考えてみましょう。この場合、商社Aは先物取引において50円×100キロ=5,000円分の損失が生じます。
しかし、製造業者への納入は先述の通り、1キロあたり110円で100キロ=11,000円と取り決められています。その時点での価格で金属Xを現物購入すると、50円×100キロ=5000円で購入が可能です。この場合、現物取引では11,000円-5,000円=6,000円もの利益が出るため、先物取引で生じた損失を埋められ、さらに1,000円分の利益を確保できます。
つまり先物取引というヘッジ取引を行うことで、金属Xが高騰した場合でも、下落した場合でも商社Aは損失を受けることは回避でき、1,000円の利益を確保できるのです。
しかし商社Aが損失の会計処理を回避するには、先物取引と現物取引の会計次期が同じである必要があります。上記の例だと、1年後に価格が50円まで下落した状況において、現物取引だと利益は出ていますが、先物取引では損失が発生しています。先物取引だけを別の会計時期に処理すると、大きな損失が出ていることを会計上明記する必要が出てくるのです。
そこで、損失が出るような会計処理にならないために行うのがヘッジ会計です。先述の繰延ヘッジ、時価ヘッジなどのヘッジ会計の手法を用いることで、リスクヘッジの成果を財務諸表の内容に反映できます。
ヘッジ会計は、企業のリスク行動を財務諸表に反映させられるという点で、極めて重要な会計手法です。しかしそのような会計処理を無条件で認めると、企業が意図的に損益の計上時期を操作し、本来の財務実態が財務諸表に現れない危険性も生じます。
そのためヘッジ会計を行うには、厳格な条件が定められています。具体的にはヘッジ取引を開始する際に行う「事前テスト」、ヘッジ期間中の「事後テスト」の両方をクリアしなければなりません。
・事前テスト・・・ヘッジ取引を行う際に、ヘッジ対象とヘッジ手段を前もって明確に指定しておくことが求められます。また、ヘッジ取引の目的やヘッジの効果の評価方法なども文書化が必要です
・事後テスト・・・ヘッジ取引の開始後に、ヘッジの効果を定期的に評価することが求められます。事後テストは一般的に、四半期ごとや半期ごとなど、定期的に実施され、決算期末にも必ず行われます。事後テストでヘッジの効果がまったく見られない場合、ヘッジ会計の適用を中止して、通常の会計処理(決算日に時価評価する)へと戻す必要があります。
近年、ヘッジ取引が複雑化しつつあり、それに合わせてヘッジ会計も難解なものに変化しつつあります。しかしヘッジ会計を適切に行うことは、その企業が事業活動においてリスクヘッジを適切に行っていることの証明にもつながり、投資家からの評価も向上します。
とくに経理・会計部門で勤務している人は、ヘッジ会計の基本を抑えつつ、知識の幅を広げていく必要があるでしょう。ヘッジ会計への対応を効率よく確実に行うために、クラウド会計システム・会計システムの活用もおすすめです。
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