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認知度がいまいちでも人が集まる!「採用マーケティング」の始め方【前編】

公開日2025/04/03 更新日2025/04/08 ブックマーク数
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認知度がいまいちでも人が集まる!「採用マーケティング」の始め方

認知度に劣る中小企業が採用活動に採り入れたいのが、ターゲットとなる人材を顧客と見なし、彼らにどのような価値を提供できるかを掘り下げる「採用マーケティング」の手法です。その導入のポイントを解説します。

▼この記事を書いた人

株式会社ユアウィル

木下 亮雄
代表取締役 マーケティングコンサルタント

  

なぜ求人情報に人が集まらないのか

「求人情報を発信すれば、応募が来るはずだ」と思ってはいませんか? 1つ事例を紹介します。ある歯科医院の運営に携わる企業が受付スタッフを募集するために、求人情報サイトに求人情報を掲載しました。しかし、半年間、採用が決まることはありませんでした。

この状況を受け、筆者はマーケティングの視点から情報を分析し、掲載している写真を1枚変更することを勧めました。この変更の後、わずか1週間で5件の問合せがあり、翌週には新しいスタッフの採用が決まりました。

ここで伝えたいことは「写真が重要」ということではありません。採用プロセスにおいても、マーケティングの視点で分析し、適切な改善策を実行することの重要性を伝えたいのです。今回は写真の変更が奏功しましたが、取るべき手段は状況に応じて異なります。 求人情報を発信する際には、候補者のニーズや自社の強みを分析し、これらを踏まえたメッセージを発信する必要があります。

これらの手法は採用活動に限定されたものではなく、マーケティングでよく使用されています。近年、このような採用のプロセスにマーケティングの概念を採り入れた「採用マーケティング」が注目されています。

採用マーケティングとは

⑴ マーケティングの本質を採用活動に応用する

「採用マーケティング」という概念は、マーケティングの考え方や手法を人材採用の分野に応用することを意味しています。

ここで強調したいのは、これが単に「SNSやデジタル広告を駆使する手法」を指すわけではないということです。マーケティングの世界におけるSNSやデジタル広告の使用は、数あるマーケティング手法の1つに過ぎず、これらはマーケティングの本質を示すものではありません。

⑵ マーケティングの本質とは

マーケティングの本質は、市場や競争の状況を「分析」し、どの顧客層を狙うか「戦略」を練り、そしてその戦略に基づいた「施策」を展開することにあります。この「分析」→「戦略」→「施策」という一連の流れが繋がっていることが重要です。

たとえば、あなたが弁当屋を経営しているとします。市場調査を行なった結果、周辺地域には一人暮らしの高齢者が多く、日々の食事の準備に困難を抱えていることが判明しました(分析)。そこで、あなたは高齢者を主なターゲットに設定し、彼らのニーズに合わせて塩分控えめで栄養バランスを考えた弁当をつくり(戦略)、地域の集会所や病院、クリニックにチラシを配布しました(施策)。これが「分析」「戦略」「施策」が繋がっている例です(図表1)。

図表1

この例では弁当を高齢者向けに販売する際に、SNSやデジタル広告を使っても成果をもたらさないのは明白です。その理由は「施策」が「分析」「戦略」と繋がっていないためです。

このようにマーケティングの本質とは、SNSやデジタル広告の使用の有無ではなく、「分析」「戦略」「施策」が一貫して繋がっているかどうかにあります。これを採用に応用することが根本的な考え方となります。

選ばれる理由は 何か(分析と戦略)

⑴ ペルソナ分析で候補者のことを理解する

候補者に関心を持ってもらうためには、彼らの優先順位、長期目標、求める変化なども含めて理解することが大切です。

マーケティングでも採用でも、成果が出ない主な原因は、顧客や候補者を十分に理解していないことにあります。候補者を深く理解するための方法として、マーケティング領域で頻繁に使用されるのがペルソナ分析です。

ペルソナとは、具体的な候補者をイメージするためにつくり上げられる架空の人物のことを指します(図表2)。このペルソナを採用に応用することにより、候補者が追求する理想や価値観を詳細に理解することができるようになります。

図表2

ペルソナを作成する際には、図表3の情報を書き出します。

図表3

ペルソナは架空の人物ですので、最初は想像力を駆使して記載しても構いません。ただし、情報を完全に憶測で記載するのではなく、できるだけ事実に基づいて書き出すことが求められます。ペルソナに近い実際の人物を思い描きながら記述すると、よりスムーズに進めることができます。

⑵ キーメッセージとターゲットを導き出す

ペルソナ分析により、候補者を深く理解することができました。 次に、候補者に伝えるべきメッセージを導き出しましょう。これまでに洗い出した内容を基に、候補者のニーズを満たし、自社の特徴が活かせることを見つけます。

たとえば、前述の歯科医院の受付の事例では、候補者のニーズとしては「楽しく、働きやすい職場を求めている」ことがわかりました。また、自社の特徴としては「院長が優しい」「若いスタッフが多く明るい雰囲気」が挙げられました。そのため、候補者へのキーメッセージとして「院長が温厚で、若いスタッフが多く、和気あいあいとしていて働きやすい」という特徴を採り入れたのです。

また、ターゲットについては、導き出したメッセージに共感する層の人々が効果的なターゲットとなります。 歯科医院の事例では、「若くて和気あいあいと働きたい人」がターゲットとなりました。

⑶ 事例:写真1枚の変更で採用が決定した理由

冒頭で紹介した1枚の写真を変更することで採用が決定した理由についても触れておきます。最初、経営者は真面目な雰囲気を伝える目的で、仕事中の医師が真剣な表情をしている写真をメインに使用していました。しかし、候補者のペルソナ分析を進めた結果、今回のターゲットは「楽しく、働きやすい職場を求めていて、真剣な表情は本ターゲット層に怖いと受け取られる可能性がある」ことがわかりました。

そこで前述のキーメッセージ「院長が温厚で、若いスタッフが多く、和気あいあいとしていて働きやすい」を採り入れて、女性スタッフが楽しそうに仕事をしている写真に変更したところ、半年間悩んだ採用の課題がたった2週間で解決しました。

記事提供元

『企業実務』は、経理・総務・労務で直面する課題を解決できる記事を凝縮した月刊誌。税制改正・新法令への対応・社会保険事務など、具体的な処理方法を毎月お届けしています。
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