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答えのないゲームの先に見える会社の成長【CFOインタビュー : マテリアルグループ株式会社 吉田 和樹氏】

公開日2025/05/28 更新日2025/05/27 ブックマーク数
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マテリアルグループ吉田和樹様

今回は、マテリアルグループ株式会社でCFOを務める吉田 和樹氏に、キャリアのターニングポイント、仕事に対する価値観、現職の事業及び組織の魅力を伺いました。
CFOとして活躍する吉田 和樹氏の考えに触れることで、キャリア形成のヒントを得て頂ければ幸いです。

【プロフィール】

吉田 和樹(よしだ かずき)
マテリアルグループ株式会社 取締役CFO

慶應義塾大学商学部卒業。
有限責任あずさ監査法人を経てボストン・コンサルティング・グループに入社し、新規事業立案や全社改革支援等の業務を経たのち、2019年からマテリアルグループ株式会社CFOに就任。
コーポレート部門の管掌と、M&A含む事業開発等に従事。

憧れから始まった会計士のキャリア

ーー最初に、吉田さんが現職に至るまでのご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。

ファーストキャリアは、あずさ監査法人でした。
高校生の頃にビジネス系の資格の最高峰が公認会計士と知り、かっこいいなと憧れをいだきました。
そこで、会計士になるために、大学は商学部を選び、試験に向けた勉強を始め、在学中に会計士試験に合格しました。
その経緯で、卒業後は監査法人でのキャリアをスタートしました。

ーー高校時代に会計士に興味を持って、大学在学中に合格しているあたり、かなり計画的に将来を見据えて行動していますね。

実はそういうわけではないです。
少し恥ずかしいですが正確にお話すると、高校受験をする際に通っていた塾の先生から、「これからは英語のできる医者か、英語のできる弁護士か、英語のできる会計士だ」という話を真に受けて、会計士を目指そうと思いました(笑) 深く考えていたわけではなかったので、直ぐにはエンジンがかからず、大学1年生の時は普通にアルバイトや友達と遊ぶことに時間を使っていました。
資格の勉強を始めたのは、大学2年生からです。

あずさ監査法人には6年半ほど在籍して、上場企業の監査業務をこなしながら、財務DDなどのFAS系の仕事もしていました。
それはそれで非常に充実していたのですが、やはり監査という業務の提供価値として過去をどれだけ正確に評価できるかが問われるところがあり、クライアントの将来に向けた活動にはそこまで深く関与できない歯がゆさを感じてしまいました。
そこで、未来に向けた意思決定に携わる仕事をしようと思うようになり、28歳の時にボストン・コンサルティング・グループに転職しました。

BCGには3年ほど在籍し、色々なプロジェクトを担当させていただく中で、会計だけではなく事業や経営の領域にスキルを広げることができました。
監査法人時代は財務DDをやっていましたが、BCGでは、ビジネスDDを任せていただく機会もあり、アドバイザーサイドではありますがM&Aという軸も深く理解することができました。
そんな中、ご縁があり出会ったのが、現職のマテリアルグループです。

その時点では転職する意思があったわけではないのですが、仕事の繋がりで「投資先のCFOになりませんか」というお話をいただいて、代表の青﨑と話す場を設けてもらいました。
話をする中で、コンサルティングで経験した「意思決定」に携わるところに加えて、実行して結果に責任を持つところまで経験してみたいという気持ちになりました。
また、青﨑の想いに共感したこともあり、事業会社に転職するならこの会社が良いと考えて、マテリアルグループのCFOというキャリアを選びました。

ーーいつか事業会社に転職することは意識していましたか?

正直、監査法人にずっといようと思っていたわけではありませんでしたが、監査業務は楽しく充実していました。
ただ、いろいろな企業さんを担当させていただき監査業務に向き合う中で、なぜこの結果になったのかを考えるようになりました。
監査では結果を見ているだけですが、そこに至る企業活動とその活動のもとになる経営の意思決定はどのようになされたのかを考えると、さらに監査の面白さも感じられました。
それもあって、監査から単純に離れるのではなく、転職せずに意思決定に携わることを考えて、財務DDをやらせてもらいました。
実際には、財務DDをやる中で、もっといろいろな企業の意思決定に携わりたいと考えるようになっていきました。

ーー事業会社のCFOという選択は、現職と出会うまでは全く考えていなかったのでしょうか?

少なくともBCGに入社した時点では、まったく考えていませんでした。
入社後も会計士という資格があるとはいえ、経験は監査だけで経営やビジネスはわからなかったので、目の前の仕事を必死にこなして、食らいついていく感じでした。
ただ、経験を積んでいく中で、自分なりに絶対これをやった方がいいなと思ったり、合理的に考えたらこのように決断するはずだと思ったりしたことがあっても、企業はなかなかその通りには動かないという経験をしました。
決してコンサルを批判したいわけではなく、素晴らしい経験をさせてもらったし、すごく価値のある仕事だと思っていますが、どうしてもあくまで部外者として提言することの良し悪しがあることを感じていました。
今考えるとその気持ちがあったので、コンサルとしてそのまま経験を積み上げていくのではなく、ゆくゆくは事業会社に入って自分で責任を取る立場になることを選択していたと思います。

マテリアルグループ吉田和樹様

成長市場でできること

ーー他の企業と面接など比較することなく、事業会社に転職するなら現職のマテリアルグループが良いと考えたポイントを教えてください。

大きくは3つあります。

1つ目は、成長環境です。
成長市場にいて、伸び盛りの会社に入り、その会社が成長していく姿をみたいという思いがありました。
2つ目は、活気のある環境であったことです。
若くて勢いのある人たちが熱量を持って働いていたので、人のやる気を出させる環境なのだなと思いました。
3つ目は、フラットに意見が言える風土があったことです。

代表の青﨑は、私がジョインする少し前に内部昇格で代表に就任していますが、チーム経営を標榜して、周りの意見をしっかり聞くスタンスのある人物です。
当社のValueの一つに、Focus onというものがあるのですが、実際に誰が言ったかではなくて、何を言ったかを大事にしようという考え方を重視していますね。

ーー実際にその印象は入社してからも変わりませんでしたか?

そうですね。
私が入社後は、フラットに意見を交わせる風土をより活発にする取り組みもしています。
入社してすぐに本格的な中期経営計画の策定に取り組んだのですが、検討すべき施策を立てて、立候補制でプロジェクトリーダーを募って、プロジェクトチームを作る方法を取りました。
最終的に、リーダーが経営陣にプレゼンしながら提案していく仕組みです。
M&Aも含めてグループ会社が増えていますが、プロジェクトリーダーは部署横断で、会社の垣根を越えたチームを作りました。

最も重要なことは「誠実さ」

ーー監査法人やコンサルティングファームでの経験で、事業会社に入られて、ご経験が活かせているなと感じることはありますか?

そうですね。
監査法人で身につけた正しい会計の知見や多く企業の決算書を読み解く経験は、会計や財務の責任を負うCFOの基礎になっています。
それに加えて、コンサルとして、事業を分析して現実的な課題を解決していく経験は、単純に数字を見て判断するだけではない奥行きが持てたと感じています。
また、ビジネスパーソンとしては、戦闘力や仕事の進め方、チームマネジメントは、コンサルの経験が活きているという実感があります。

ーー仕事をする上で吉田さんが大事にしている価値観やスタンスはありますか?

あずさ監査法人のコアバリューの第一に「誠実性」というのがありました。
最初の会社で私のビジネスパーソンとしての基礎が築かれていることもあり、誠実性は一番大切にしています。
トラブルや苦しい局面は、仕事をする上で避けて通れないと思います。
その場ごとの利己的な判断ではなく、誠実に全体最適を考えて判断することが、自分の中で安定したパフォーマンスを出すための拠り所になっています。

答えのないゲームを戦うことの面白さ

ーー現職で管理部門のメンバーと共有している価値観や大切にしているルールなどはありますか?

管理部門のメンバーには「答えのないゲームで戦おう」と言っています。
例え話で、レンガを積んでいる人に、「何をしているのですか?」と聞いて、「レンガを積んでいます」と答える人より、「大聖堂作っています」と答える人の方が、仕事の生産性とかクオリティが良いという話がありますよね。
それと一緒で、管理部門ってタスクや、やらなきゃいけことが大量にある中で、ついレンガをただ積みがちになりますが、管理部門は会社を成長させるドライバーであるべきだと考えています。
「大聖堂を作る」と仕事だと考えると、「何をすべきで今この業務をしているのか」という目的を考えて仕事をすることが求められます。

M&Aも含めて、いろいろなコーポレートアクションを行っていく中で、管理部門の体制が追いついてないとどうしてもスピードが出なくなります。
管理部門がしっかりと成長することで、会社全体が成長するんだというポリシーを強く持っていますし、その思いをチームメンバーにも伝えています。

マテリアルグループ吉田和樹様

PR起点のマーケティング支援

ーー改めて貴社の事業について教えてください。

PRに軸足を置いてマーケティング全般のご支援をする会社です。
従来のPR会社はPR専業が大半なのですが、本来PRはマーケティングを見据えて戦略的に行う必要があると考えています。
そのため広報業務のアウトソーシングではなく、マーケティング課題解決に対してPR戦略を含めて解決します。

スマホデバイスが普及してSNSが発達した世の中において、時代が大きく変わっているなと思います。
過去は、 “多くの人に知らせればいいものが売れていく”という時代で、企業が言いたいことを広告という手段を使って、それなりの大きなコストをかけて伝えていくような時代でした。
15秒のCMで印象に残る統一的なメッセージ、尖ったクリエイティブのようないわゆる広告代理店のクリエイティブディレクターの方々が主戦場でした。

しかし、今のコミュニケーションは、目的をただ知らせるのではなく、世の中からリアクションをいただいて、さらに自分たちでも発話してもらうことが目的になっています。
企業が一方的に言いたいことではなくて、生活者、消費者、皆さんとの共通の興味、関心をちゃんと紡ぎ出して、小さな単位で丁寧に伝えていくことが手段として求められます。

そうなると、コストも広告と比較してしっかりレバレッジして成果を出そうという発想になりますし、PR発想という考え方も不可欠になります。
総合代理店がマーケティング、コミュニケーションの全てを担っていた時代から、SNSの進化等を踏まえて解放されてきた時代になり、我々のやっている領域も主戦場になっています。

ーーPRとマーケティングは別々の専門業者がいますし、企業側も別で組織を持っているケースが多いですよね。
もう少し詳しくサービスを教えてください。

具体的な事業セグメントとしては3つあります。
PRのコンサルティング、デジタルマーケティング、PRプラットフォームです。

コア事業はPRコンサルティング事業で、PRのさまざまな手法を使って、より良い認知を取っていくというところになるのですが、PRをやっていこうとすると、デジタルマーケティングの領域も施策として重要になってきますので、デジタルマーケティングの事業に関しても次のコア事業としていけるように取り組んでいます。
更にPRプラットフォームは、PR活動をDXしたようなもので、 まだコア事業というレベルではなく育成事業という形にはなりますが、この3種類の事業をやっています。

強みとしては3つあります。
1つ目は、グローバルにおいても賞が取れるような戦略設計、2つ目は採用力です。
今の若い世代のテレビ離れが起きている中で、テレビCMを見て購買行動を起こすのではなくて、我々のような手法を経て購買行動を取る経験が多いです。
なので、テレビCMを作る広告代理店よりもPR会社の方が、未来があるのではと、かなり人気の職種になってきています。
3つ目は経営管理もしっかり行っているところです。
手法としては、M&Aもガンガンやっていて、大小さまざまですが、これまでに6件の実績があります。

まだまだ成長フェーズと考えているので、積極的に採用して、伸びているデジタルマーケティング事業をしっかりコア事業に育てます。
事業成長を加速するためにM&Aによる規模拡大も視野に入れています。

ーー人員の確保という面では、マーケターやPRの方を採用するのは難しいと思うのですが、その点でもM&Aは有効な手段と考えていますか?

そうですね。
戦略部分を担う人は、当然中途で即戦力の採用もやりますが、基本的には社内で新卒から育てていくというスタイルです。
しっかりと新卒を採用して、コミュニケーションを取りながら、戦略も学んでいく。
そしてゆくゆくはプランナーや、プロデューサーにまで成長することを想定しています。

10年前から業界ではいち早くプランニングの専門部署を持っていました。
社内でPRプランナーとしてスペシャリスト育成をやってきたので、業界の中でも人材育成については一日の長があるかなと思います。

マテリアルグループ吉田和樹様

意味を持ってタスクに取組むことの大切さ

ーーキャリアや仕事のパフォーマンスといった観点で、これまでの経験でこれを経験していてよかったことや、今でも続けていることはありますか?

そうですね。
絶対に20代で欠かすべからずと思うのは、わからないことがあったときに、単に作業として受け取り、こなしただけで、完了としないことです。

これは何のためにやっているんだろうとか、本当にやる必要があるのかという目的を考えるようにしています。
そもそもの目的を考えて取り組むことで、改めてそのタスクの必要性を考えたり、目的に即したより最適なやり方やより効率的なやり方を思いついたりします。
「もっとこういう風にすべきかも」と考えながら仕事しているかどうかで、身につくスキルや自分の引き出しは増えますし、その積み上げが将来的に大きな差になると考えています。

「よくわからないけど、言われた通り作業をやっておこう」としてしまうと、せっかく時間を使ってその経験をしているのに、学びがありません。
立ち返ると、こういう理由でこういうタスクの手順になっているんだということを自分の学びとして吸収することで、成長の速度が速くなるので大事かなと思っています。

ーー目的の理解することや自分の意思を持って業務に臨むことで差がつくということですね。
他にも取り組んでいることはありますか。

まさしく、Manegyのようなインタビュー記事や本などで、自分以外の人の経験を参考にすることはやっています。
実は対人コミュニケーションは得意な方ではないのですが、これからはCFOや経営者が集まるような会にも顔を出して、お話を聞いてみたいと考えています。

ーー読者の方々がすぐに実践できることとして、おすすめの本をご紹介いただいています。

高松智史さんが書かれた「コンサルが最初の3年間で学ぶコト」です。
この方は私の師匠みたいな存在で、BCGに行く時に色々ご指導を賜った方なんです。
若いビジネスパーソン向けのようなタイトルですが、ある程度経験を積んだ人でも経験の体系化や言語化に役立つと思いますし、新しい発見もあると思います。

ーーありがとうございました。
キャリア形成において、誠実さと常に学ぶ意識と行動が重要だと感じました。
マテリアルグループの成長と吉田さんのご活躍にこれからも期待しております。

マテリアルグループ吉田和樹様

インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ 株式会社MS-Japan マーケティングDivision / 執行役員


2005年3月法政大学卒業後、株式会社MS-Japanに入社。
ベンチャー・IPO準備企業を中心とした法人営業を経験した後、キャリアアドバイザーとしてCFO、管理部長、会計士、税理士、弁護士を中心に延べ5000名のキャリア支援を経験。
現在はマーケティングDivision長および執行役員として、マーケティングと新規事業・新規サービスの開発を担当。


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