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人事や管理職にあたる方は、従業員の勤怠状況や日々の行動変化にも気を配られていることと存じます。
「最近、あの社員の遅刻や欠勤が増えているな...」「以前より会議での発言が減って元気がなさそうだ...」。
こうした勤怠の乱れや些細な様子の変化を、つい「本人の甘え」や「社会人としての意識不足」として片付けてしまってはいないでしょうか。
その背景には、見過ごせない心身の不調が隠れている可能性があります。
また、最近SNSなどで目にする「風呂キャンセル界隈」「外出キャンセル界隈」といった言葉。
これらは一見、個人のライフスタイルのように見えるかもしれません。
しかし、その背景には、現代社会のストレスの中で心身が疲弊し、以前は当たり前にできていた日常行動さえ困難になっている人々の姿が透けて見えることがあります。
この記事では、従業員の遅刻や欠勤といった勤怠の乱れや些細な行動変化に潜む心身の不調のサイン、そしてその具体的な理由について、臨床心理士の視点から解説します。
さらに、企業としてこれらのサインにどのように気づき、従業員のケアに繋げていくべきか、その具体的な方策についてもご紹介します。
従業員一人ひとりの心身の健康を守り、誰もがいきいきとパフォーマンスを発揮できる職場環境を整備することは、人材の採用・定着が経営課題となる現代において、企業の持続的な成長にも不可欠です。
本記事が、皆様の職場におけるメンタルヘルス対策を一層推進するための一助となれば幸いです。
▼この記事を書いた人
四方 陽裕(しかた あきひろ)
株式会社Smart相談室
臨床心理士
心理学の修士号を取得後、臨床心理士として精神科やリワーク施設で勤務。
うつ病や不安症の認知行動療法、メンタル不調による休職者の復職支援、企業内のカウンセリングやコンサルテーションに従事。その後、医療系企業の経営企画として、NPOと連携したうつ病予防事業の共創、オンライン診療事業の立ち上げ、医院経営領域を担当。「不調になる前に予防する」Smart相談室のプロダクトに共感し参画。
従業員に以下のような勤怠の乱れや行動変化が見られた場合、それは本人の怠けではなく、心身の不調によってそれまで当たり前にできていた生活が困難になっている可能性があります。
以前はそのような傾向が見られなかった従業員にこれらの変化が見られた場合、心身の不調を抱えている可能性を考慮し、企業としての対応を検討する必要があります。
初めは見過ごしやすい些細な変化も、放置すれば次第に深刻化し本人の回復が遅れるだけでなく、長期休職や離職、さらにはそれによって生じる職場全体の士気低下といった、組織全体の問題へと発展するリスクを孕んでいます。
従業員が心の不調に陥ると、「朝、起き上がることができない」「出勤しようとすると、頭痛、腹痛、めまい、吐き気などの身体症状が現れる」「仕事中も思考がまとまらず、作業が全く進まない」といった形で、遅刻や欠勤として現れます。
こうした症状を引き起こす代表的な心の不調には、以下のようなものがあります。
■ 気分障害(うつ病、双極性障害など):うつ病では脳の機能が低下し、集中力や判断力の低下、気分の落ち込み、興味や喜びの喪失、慢性的な疲労感や倦怠感、焦燥感、睡眠障害や食欲不振などが生じ、業務の遂行が困難になります。
双極性障害では、このような抑うつ症状に加えて、過活動や多弁、人間関係でのトラブル、浪費などの衝動的な行動が増えたり、睡眠時間が極端に短くなるなどの「躁状態」が現れます。
この躁状態と抑うつ状態を繰り返すことで、社会生活は著しく困難になります。
■ 適応障害:特定のストレスフルな状況や出来事(職場の人間関係やハラスメント、過重労働など)に対する強いストレス反応として、抑うつ気分、不安感、焦燥感、さまざまな身体症状(頭痛、腹痛、倦怠感など)が現れます。
職場のストレスから離れている休日などには症状が軽減することがあり、周囲からは「詐病なのでは?」「甘えているだけでは?」と誤解されやすい点に特に注意が必要です。
■ 睡眠障害:「なかなか寝付けない」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」など、安定した睡眠が取れない状態が続きます。
これにより、日中の強烈な眠気、集中力や記憶力の低下、異常な疲れやすさなどが生じ、業務に深刻な支障をきたします。
これらの不調の背景には、職場におけるさまざまなストレスが関与している可能性があります。
例えば、人間関係の悩み(ハラスメントを含む)、過度な業務負荷や長時間労働、達成困難な目標設定、仕事内容と本人の能力・適性のミスマッチ、不公平だと感じる評価制度、企業文化や価値観との不適合などが挙げられます。
これらの職場のストレス要因を把握し職場環境改善を含めた対策を講じること、そして従業員が心身ともに健康に働ける環境を提供することは、安全配慮義務の観点からも企業にとって不可欠な取り組みだと言えるでしょう。
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