会計事務所からの転職先は？経験を活かせる選択肢やおすすめなど

会計事務所からの転職先として、まず検討されるのは、同じく会計事務所への転職です。
しかし、会計事務所以外でもこれまでの経験を活かせる選択肢はあります。
会計事務所での経験を活かして転職を成功させるには、希望する職種の仕事内容や年収水準、評価されるスキルを把握することが重要です。
この記事では、おすすめの転職先も含めて、会計事務所での経験を活かせる選択肢を詳しく解説します。

会計事務所からの転職先は？

会計事務所での経験は、どのような分野で活かすことができるのでしょうか。
転職先として主な3つの選択肢を見ていきましょう。

他の会計事務所

転職理由次第では、他の会計事務所や税理士法人へ転職する選択肢もあります。
働きやすさや待遇改善だけでなく、専門性を高めたいなど、転職理由はさまざまですが、現職の会計事務所で積んできた経験は新しい事務所でも即戦力になります。

一方、転職先の業務スタイルや得意分野が異なる場合、これまでにない経験を積める可能性があります。
より大規模なクライアントを担当して業務の幅が広がったり、コンサルティング業務に携わる機会が得られたりすることもあります。
会計事務所から会計事務所への転職によって、自身の専門性を深めながらキャリアの成長を目指すことも可能です。

一般企業

会計事務所以外で、経験を活かせる転職先は一般企業が挙げられます。
会計事務所で培った税務・会計の知識は、経理や財務の転職先で即戦力として活かせるため、企業からの評価も高い傾向にあります。
例えば、月次決算や財務報告、税務申告といった業務が代表的です。

特に経理部門では、企業の経営状況を分析し、経営層へ報告する役割を担う場合もあります。
会計事務所で複数のクライアントを担当して磨かれた視点や対人スキルは、経理業務だけでなく、経営企画や内部監査といった関連部門でも重宝されるでしょう。
一方で、一般企業への転職は業種や企業規模によって求められるスキルが異なるため、自分の経験と強みを活かせる企業を選ぶことがポイントです。

コンサルティングファーム

会計事務所で培った専門的な知識と経験は、コンサルティングファームで活かすことも可能です。
税務や会計分野におけるコンサルティングは、会計事務所出身者の得意分野と言えるでしょう。

コンサルティングファームによっては、経営戦略やM&A支援など、会計業務を超えた領域に携われる場合もあります。
クライアント企業の経営改善や事業戦略の策定を支援する役割が求められ、幅広い分野でのスキル習得も期待できます。
将来的に独立を目指す方や、より専門的な知識を習得したい方にとっては魅力的な選択肢です。

ただし、コンサルティングファームでは高度な分析力と問題解決能力が求められるため、会計事務所での経験に加え、論理的思考や提案力を磨く必要があるでしょう。

会計事務所以外で経験が活かしやすいのは「一般企業の経理」

会計事務所からの転職先として特におすすめなのは「一般企業の経理」です。
実際に、会計事務所の経験者が一般企業の経理へ転職するケースは少なくありません。
その理由を以下に挙げます。

会計事務所での経験を活かしやすい

会計事務所では、税務申告や決算業務、資金管理といった経理の基礎となるスキルが身につきます。
これらの経験は、一般企業の経理業務にそのまま応用しやすく、採用担当者からも「経理経験者」として認識されることがあります。
特に決算や税務対応においては、会計事務所出身者の知識と実務能力が評価される傾向です。

会計事務所で複数のクライアントを担当した経験も、企業経理においては大きな強みとなります。
さまざまな業界の経営実態や会計処理に触れており、転職先の企業でも状況に応じて柔軟に対応可能です。
会計事務所で培った経験を活かせる多様さが、経理への転職者の多さにつながっているのでしょう。

求人数が多く、希望に合う条件を見つけやすい

経理は、経営企画や財務といった他のポジションに比べて求人数が多く、希望に合う条件を見つけやすいことも転職先に選ばれる理由の一つです。
前述のとおりコンサルティングファームも候補として考えられますが、求人数や応募条件の幅広さを比較すると、経理を現実的な選択肢とするケースが多いです。

また、一般企業の経理部門では、会計業務にとどまらず、経営資料の作成や財務戦略への関与など、業務範囲が広がることも少なくありません。
会計事務所での専門知識を基盤に、新たなスキルや経験を積み重ねる機会が期待できます。
管理職や幹部候補として採用されるケースもあるため、将来的なキャリアアップを希望する方にも適した選択肢です。

キャリアを有効に活かしながら、新たな環境でさらなる成長を目指せる場として、多くの会計事務所経験者が経理職を選ぶ理由がここにあります。

会計事務所と一般企業の経理との違い

会計事務所と一般企業の経理では、仕事内容や年収、働き方などに違いがあります。
ここでは、それぞれの特徴を踏まえながら、異なる点に着目します。
現職が会計事務所の方は現状をあらためて整理しましょう。

仕事内容の違い

会計事務所では、顧客企業の税務・会計をサポートすることが主な業務になります。
税務申告や帳簿作成、財務状況の分析などが中心となり、複数のクライアント企業を並行して担当することが一般的です。
そのため、業務の幅が広く、業種や企業規模ごとに求められる内容も異なります。

一方、一般企業の経理は、自社の経理業務に専念する点が特徴です。
日常の仕訳や入出金管理、給与計算、決算業務など、特定の企業に特化した経理業務を深く掘り下げることができます。
社内の他部署との連携が欠かせない点も、会計事務所との違いと言えるでしょう。

働き方の違い

働き方にも両者に明確な違いが見られます。
会計事務所では、クライアント企業の決算期に合わせて業務が集中し、繁忙期には深夜残業や休日出勤が発生することが少なくありません。
複数のクライアントを抱えることも多く、スケジュール管理が難しい側面もあります。

対して、一般企業の経理は、自社の決算期に業務が偏るものの、就業規則の観点から会計事務所ほどの繁閑差は発生しにくいと言えます。
一般企業の経理では業務が比較的安定しており、残業時間を抑えやすいため、ワークライフバランスを重視する方にも適しています。

会計事務所から一般企業の経理へ転職する際のポイント

続いて、会計事務所から一般企業の経理へ転職する際のポイントに注目してみましょう。

転職の目的や希望条件を整理する

転職活動を始める前に、目的や希望条件を明確にしておくことの重要性は、経理への転職においても例外ではありません。
会計事務所から経理へ転職する理由は人それぞれですが、具体的な目的を持つことで説得力のある転職活動が行えます。

例えば、経理として将来的にマネジメント業務を担いたい、会計事務所で得た知識やスキルを事業会社の経営基盤に役立てたいなど、目的が明確であれば方向性が明確になります。
希望条件については、譲れない条件と妥協できる条件を整理しておくと良いでしょう。
給与や勤務地、働き方などの優先順位を決めておくことで、ミスマッチのリスクを減らせます。

応募先が求めていることを知る

一般企業の経理では、会計事務所とは異なる業務を任されることが珍しくありません。
財務会計や管理会計のほか、企業によっては総務、人事などを兼務するケースも見られます。
経理部門は社内の各部署と関わる機会が多いため、業務を円滑に進めるための調整力や協調性も重視されます。

こうした役割は、企業の規模や事業方針によっても変わります。
自身の経験とスキルがどのように役立つのかを把握するためにも、応募先企業が求めていることを事前に調査しておくことが大切です。

業界専門の転職エージェントを利用する

効率良く転職活動を進めるためには、転職エージェントの活用が有効です。
特に経理をはじめとする管理部門や士業に特化したエージェントであれば、転職支援において業界専門のノウハウを有しているため、自身の希望に沿った求人を紹介してもらいやすくなります。
エージェントによっては独自ルートの非公開求人を扱っており、一般の求人サイトでは見つけにくい優良企業の求人に触れられる可能性もあります。

応募書類の添削や面接対策などのサポートを受けられることも、転職エージェントを利用する大きなメリットです。
ただし、エージェントに頼りきりになるのではなく、自身でも企業の情報収集やアピールポイントの整理を進めることが肝要です。

会計事務所経験者がアピールすべき経験・スキル

一般企業の経理へ転職を目指す際、どのような経験やスキルをアピールすべきなのでしょうか。
会計事務所で働くポジションごとに確認しておきましょう。

税理士の場合

税理士資格保有者は、資格そのものも含めて、専門性の高い業務経験が強力なアピール材料になります。
一般企業では、税務申告業務や税務調査への対応、節税対策など、税務のプロフェッショナルとしての役割が期待されるでしょう。

特に法人税や所得税などの税法に関する実務経験を積んでいれば、即戦力として評価されやすいです。
加えて、経営者に向けた税務コンサルティング経験があれば、経理だけでなく経営管理や財務戦略にも携われる可能性が広がります。
ポイントは、単に経験してきたというのではなく、税理士業務を通じた「実績」として伝えることが重要です。

税理士科目合格者の場合

税理士試験の科目合格者は、資格取得に向けた専門知識と会計事務所での実務経験が評価対象となります。

特に簿記論や財務諸表論などの科目に合格している場合、企業経理に直結するスキルとしてアピール可能です。
会計事務所で月次・年次決算、申告書作成などに携わっていた経験も企業経理では重宝されるでしょう。

税理士資格の取得を目指す意欲も考慮されるため、1科目の合格でも向上心がある人材として採用担当者に好印象を与えやすくなります。
将来的に税理士になる想定で、経理部門における重要なポジションを任せられる可能性も視野に入ります。

税理士・科目合格者以外の場合

税理士補助や無資格の会計スタッフであっても、会計事務所での実務経験は企業経理において十分に評価される可能性があります。
例えば、日常の仕訳入力や総勘定元帳の作成、給与計算、顧客との折衝経験が挙げられます。
中小企業の経理代行業務などで幅広い業務を担当していた場合、企業経理でも柔軟に対応できるスキルとして評価されるでしょう。
業務経験は、面接官がイメージしやすいよう、具体的に伝えることが望ましいです。
例えば、担当していた企業の規模感や業界、担当企業数、業務の進め方などを簡潔にまとめましょう。

また、会計ソフトの操作スキルや、社風に合った人物像なども無資格者にとっては訴求ポイントです。
他部署との連携が求められる企業経理では、顧客対応で培ったコミュニケーション力も強みとして評価されます。

まとめ

会計事務所の経験者が転職を成功させるためには、どの業界で自身の経験とスキルを活かすかをしっかりと見極めることが重要です。
特に一般企業の経理は、会計事務所で培ったスキルを活かしやすく、即戦力として評価されやすいため、非常におすすめの転職先です。
税理士資格を持っていると優位に立てますが、科目合格者や無資格者でも企業経理で働くことは十分可能です。

転職活動にあたっては、自身の希望条件に合った求人を探し出す必要があります。
その際、「MS Agent」のような業界に精通した転職エージェントのサポートを受けることで、経験を活かせる選択肢が見つけやすくなるでしょう。