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固定資産税の勘定科目・仕訳処理を完全解説|法人・個人事業主の経費計上ポイントと家事按分の注意点もカバー

公開日2025/06/13 更新日2026/02/02 ブックマーク数
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固定資産税の勘定科目・仕訳処理を完全解説

企業の経理担当や個人事業主にとって、固定資産税の適切な経費計上は節税対策の重要なポイントです。
本記事では、固定資産税の基本から勘定科目の選び方、家事按分の計算方法、仕訳例、確定申告時の注意点まで、実務に即した内容を網羅的に解説します。
この記事を参考に、固定資産税の適切な処理で確実な節税を実現しましょう。

固定資産税とは?経費計上の全体像を3分で整理

固定資産税の勘定科目は「租税公課」で処理するのが基本です。
この税金は土地・建物などの固定資産に対して課される地方税で、正しく経費計上することで節税効果が期待できます。
ただし、特に個人事業主の場合は家事按分の必要性など、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

固定資産税は、土地や建物などの「固定資産」を保有していることに対して毎年課される地方税です。
対象は事業用・居住用を問わず、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。

ポイント

✔ 固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税される
✔ 勘定科目は「租税公課」が基本
✔ 事業利用部分のみ経費計上可能(個人事業主は家事按分が必要)
✔ 法人は事業用資産の固定資産税を全額経費計上できる

固定資産税の勘定科目は"租税公課"でOK?

固定資産税の勘定科目は、法人、個人事業主ともに「租税公課」として処理します。
「租税公課」とは、税金や公的な負担金を計上するための勘定科目です。

区分 適切な勘定科目 備考
法人 租税公課 全額経費計上可
(事業用資産の場合)
個人事業主 租税公課 事業用部分のみ計上可
(家事按分が必要)

【誤った勘定科目の例】

  • 支払手数料(税金ではなく手数料を計上する科目)
  • 雑費(明確な性質の費用は雑費にすべきでない)
  • 減価償却費(固定資産税と減価償却は全く別物)
  • 建物費用(資産の取得費ではない)
  • 修繕費(課税対象であり、修繕とは別物)
  • 地代家賃(土地の使用料と混同しないこと)

租税公課を使うことで、税務上も説明がつきやすく、帳簿の整合性を保つことができます。
また、税務調査の際にも正確な処理であると判断されやすくなります。

仕訳パターン2択:納付日計上と賦課決定日計上

固定資産税の仕訳には、「納付日基準」と「賦課決定日基準」の2通りの方法があります。
どちらを採用するかは会計処理の一貫性を保つため、継続して同じ方法を使うことが重要です。

1. 納付日基準(実際に支払った日に計上)

借方 貸方 摘要
租税公課 XXX円 普通預金 XXX円 令和7年度固定資産税
(第1期分)

納付日基準は、分割で支払う場合に各支払い時点で経費計上する方法です。
中小企業や個人事業主によく採用されています。
実際のキャッシュフローに基づく処理のため、シンプルで分かりやすい方法といえます。

2. 賦課決定日基準(納税通知書到着時に全額計上)

借方 貸方 摘要
租税公課 XXX円 未払金 XXX円 令和7年度固定資産税
(全期分)

※実際に支払う際には、

借方 貸方 摘要
未払金 XXX円 普通預金 XXX円 令和7年度固定資産税
(第X期分)支払

賦課決定日基準は、通知書を受け取った時点で費用計上し、未払金処理を併用する方法です。
決算月が納付月以前の法人などで使われます。
発生主義に基づいているため、会計基準への適合性が高い処理方法です。

納付日計上(現金主義)を選ぶ場合でも、年度ごとに処理方法を変えると「重要な会計方針の変更」とみなされるため注記が必要になる点に注意してください。

個人事業主が自宅の固定資産税を経費化する条件

個人事業主が自宅の固定資産税を経費として計上するには、「事業用として使用している部分」のみを計上できます。
全額を経費化することはできないため、家事按分を適切に行う必要があります。

【経費計上の判定フローチャート】

注意:白色申告でも、業務使用割合が50%以下でも「事業の用に供されていることが明らかに区分できる」なら経費算入が認められます(所得税基本通達45-2)。
ただし按分根拠の資料が曖昧なままでは否認リスクが高まるため、面積図・利用ログなど客観資料を必ず保管しましょう。
参照:国税庁

家事按分の基本:対象費用・計算ステップ

家事按分とは、事業と家事で共通して使用する費用を、事業使用割合に応じて経費計上するための計算方法です。
固定資産税についても、事業利用部分のみを経費計上するために適切な按分が必要です。

按分比率の決め方

面積基準(最も一般的)

事業専用面積 ÷ 建物全体面積 = 事業利用率

例:自宅80㎡中、事業専用部分が20㎡の場合 → 20㎡÷80㎡=25%

利用時間基準(兼用スペースの場合)

(事業利用時間 ÷ 24時間) × 面積比率 = 事業利用率

例:リビング30㎡を1日8時間事業に使用 → (8時間÷24時間)×(30㎡÷80㎡)=約12.5%

国税庁の見解によれば、「事業の用に供されていることが明らかに区分できる」ことが重要であり、按分計算の根拠資料を保存しておくことが推奨されています。
具体的には、自宅の間取り図や写真、事業使用スペースの使用実態記録などが有効です。

家事按分が適用可能な主な経費

  • 固定資産税・都市計画税
  • 家賃・管理費
  • 水道光熱費(電気・ガス・水道)
  • インターネット回線費
  • 住宅ローンの金利(元本は対象外)
  • 修繕費
  • 減価償却費(建物・設備)

【ステップ別】固定資産税 家事按分 仕訳の書き方

固定資産税の家事按分を含めた仕訳処理を、ステップごとに解説します。

〈実践例〉固定資産税 120,000円、事業利用率 25%の場合

Step 1: 按分比率の計算

事業利用率を算出(例:面積比25%)

Step 2: 経費計上額の計算

固定資産税年額 × 事業利用率 = 経費計上額
例:固定資産税120,000円 × 25% = 30,000円

Step 3: 仕訳の作成

借方 貸方 摘要
租税公課 30,000円 普通預金 120,000円 令和7年度固定資産税
(家事按分75%)
事業主貸 90,000円

Step 4: 帳簿への記録

青色申告決算書または収支内訳書の「租税公課」欄に経費部分のみ記載

上記の例では、固定資産税 120,000円のうち、事業使用分25%(30,000円)のみを「租税公課」として経費計上し、残りの75%(90,000円)は「事業主貸」として処理しています。
これにより、事業と家事の区分が明確になります。

持ち家の固定資産税と確定申告|忘れがちなチェックポイント

持ち家の固定資産税を確定申告で経費として計上する際には、いくつかの重要なポイントがあります。

まず、申告の際は、

  • 固定資産税納税通知書(課税明細がわかるもの)
  • 固定資産評価証明書(按分計算の根拠として)
  • 家事按分計算書(自作でOK)

の書類が必要になります。

確定申告書Bの記載においては、第一表の「所得の内訳」欄にある事業所得の計算部分で、経費欄の「租税公課」に按分後の金額を記入します。
青色申告の場合には、青色申告決算書の同じ項目に金額を記入する形となります。

記入の際には、いくつかの注意点があります。
按分計算の根拠資料は確定申告書に添付する必要はありませんが、5年間の保管が義務付けられています。
また、e-Taxを利用して申告を行う場合でも、按分の根拠となる資料は必ず手元に残しておく必要があります。
さらに、複数年分の固定資産税をまとめて支払った場合には、それぞれの対象年度ごとに金額を分けて計上する必要があるため、年度別の明確な管理が求められます。

都市計画税・償却資産税はどう処理する?

固定資産税と一緒に請求されることが多い都市計画税や、事業用資産に課される償却資産税も同様に「租税公課」として処理します。

都市計画税の仕訳例

借方 貸方 摘要
租税公課 XX,XXX円 普通預金 XX,XXX円 令和7年度都市計画税

償却資産税の仕訳例

借方 貸方 摘要
租税公課 XX,XXX円 普通預金 XX,XXX円 令和7年度償却資産税

固定資産税と都市計画税がまとめて請求される場合

借方 貸方 摘要
租税公課 XX,XXX円 普通預金 XX,XXX円 令和7年度固定資産税・都市計画税

償却資産税の注意点:償却資産税は、機械設備や器具備品などの事業用償却資産に対してかかる税金です。
法人だけでなく個人事業主も課税対象となるため、毎年1月末までの申告を忘れないようにしましょう。

ケーススタディ:NG→OK修正仕訳

よくある誤った仕訳とその修正例を3つ紹介します。

ケース1:家事按分せずに全額経費計上

【NG仕訳】

借方 貸方 摘要
租税公課 120,000円 普通預金 120,000円 固定資産税

【OK仕訳】(事業利用率25%の場合)

借方 貸方 摘要
租税公課 30,000円 普通預金 120,000円 固定資産税(家事按分75%)
事業主貸 90,000円

ケース2:誤った勘定科目を使用

【NG仕訳】

借方 貸方 摘要
雑費 30,000円 普通預金 30,000円 固定資産税(事業分)

【OK仕訳】

借方 貸方 摘要
租税公課 30,000円 普通預金 30,000円 固定資産税(事業分)

ケース3:期中の按分率変更を反映していない

【NG仕訳】(年間を同じ按分率で処理)

借方 貸方 摘要
租税公課 30,000円 普通預金 120,000円 固定資産税(家事按分75%)
事業主貸 90,000円

【OK仕訳】
年の途中で事業利用率が変化した場合、期間ごとに分けて計算します。
例えば年の前半(1月~6月)は事業利用率25%、後半(7月~12月)は50%の場合

年間固定資産税:120,000円の場合

前半6ヶ月(60,000円)×25%=15,000円
後半6ヶ月(60,000円)×50%=30,000円
合計:45,000円(事業分)

借方 貸方 摘要
租税公課 45,000円 普通預金 120,000円 固定資産税
(家事按分 前半25%、後半50%)
事業主貸 75,000円

固定資産税の勘定科目・家事按分に関するよくある質問

Q1: 固定資産税は前払費用として処理すべき?

A:固定資産税は、原則として納付時または賦課決定時に「租税公課」として処理します。
​法人会計では「発生主義」により、納付義務が確定した時点で費用計上します。
​一方、個人事業主の場合は「現金主義」により、実際の支払時に費用計上することが一般的です。
​ただし、継続的に発生主義を採用している場合は、納付義務が確定した時点で未払金として計上し、支払時に未払金を取り崩す処理も可能です。

Q2: マンションの管理費と一緒に支払う固定資産税はどう処理する?

A: 管理費とは分けて記帳します。
明細書から固定資産税部分を抽出し、租税公課として別途計上してください。
管理費は「支払手数料」などの適切な科目で処理します。

Q3: フリーランスが自宅の固定資産税を全額経費計上できる条件はある?

A: 自宅を100%事業専用として使用している場合のみ全額計上可能です。
寝室や家族共用スペースがある限り、家事按分は必須となります。

Q4: 固定資産税の支払いが翌年にずれ込んだ場合の処理は?

A: 現金主義の場合は実際の支払い時に計上、発生主義の場合は未払金として当年度に計上し、翌年支払い時に未払金を取り崩します。
一貫した方法を採用しましょう。

Q5: オフィス兼自宅の場合、エアコンなどの設備費用も按分必要?

A: はい。
固定資産税だけでなく、減価償却費や修繕費なども同様に家事按分が必要です。
同じ按分率を適用すると税務調査でも説明しやすくなります。

Q6: 事業用の駐車場に対する固定資産税は全額経費になる?

A: 事業専用の駐車場であれば全額経費計上可能です。
ただし、自家用車の駐車にも使用する場合は使用実態に応じた按分が必要です。

Q7: 家事按分の比率に制限はありますか?

A: 家事按分の比率に明確な上限はありませんが、国税庁の法令解釈通達45-2では、白色申告の場合「業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうか」を基本としています。
ただし、事業用部分が明確に区分できれば50%以下でも経費計上が可能です。

2025年度税制改正と固定資産税の最新動向

2025年度の税制改正では、固定資産税に関する以下の重要な改正が行われました。
​最新情報を把握し、適切な経費計上と節税対策を行いましょう。

新築住宅の固定資産税軽減措置の延長

新築住宅に対する固定資産税の軽減措置が、2026年(令和8年)3月31日まで延長されました。
​ これにより、一般的な新築住宅では3年間、3階建以上の耐火構造・準耐火構造の住宅では5年間、固定資産税が半額になります。

中小企業向け固定資産税の特例措置の延長と拡充

中小企業が生産性向上や賃上げを目的とした設備投資を行う場合、固定資産税の課税標準を軽減する特例措置が2年間延長され、2027年(令和9年)3月31日まで適用されます。
​賃上げ率に応じて、最大で5年間、課税標準が1/4に軽減されます。

マンション大規模修繕に関する特例措置の延長と手続きの簡素化

管理計画認定マンション等において、長寿命化に資する大規模修繕工事を実施した場合、翌年度の固定資産税が減額される特例措置が2年間延長され、2027年(令和9年)3月31日まで適用されます。
​ 減額率は市町村の条例で定められ、1/6~1/2の範囲内となります。
​また、申告手続きが簡素化され、マンション管理組合の管理者等からの必要書類の提出で特例の適用が可能となりました。

空き家の固定資産税に関する注意点

「特定空き家」または「管理不全空き家」に指定されると、住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が最大6倍に増額される可能性があります。
​空き家を所有している場合は、定期的な管理や適切な対応が求められます。

まとめ|固定資産税仕訳チェックリスト

固定資産税は、法人・個人事業主ともに「租税公課」で処理するのが基本です。
法人は全額、個人事業主は家事按分を行って事業利用分のみ経費計上する必要があります。
仕訳方法には納付日基準と賦課決定日基準があり、会計方針に応じて選択・継続することが重要です。
誤った勘定科目の使用や按分ミスは税務リスクにつながるため、実務に沿った処理と根拠資料の保管を徹底しましょう。


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