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日々の業務に慣れ、自身の成長や次のキャリアを考え始めた30〜40代の経理職に向けて、意識しておきたい経験やスキルを具体的に紹介します。
30代では実務力と柔軟性を軸に信頼を築くことが求められ、40代では管理や戦略視点が重要になります。
本記事では、それぞれの年代で「求められる人物像」「企業の視点」「実践のポイント」を軸に、計6項目を具体的に解説していきます。
30代は経理としての基本スキルを確実に定着させるとともに、「この人に任せておけば安心」と思われる信頼を築く時期です。
特に、決算業務や他部門との連携、業務効率化などにおいて、実務力と視野の広さを兼ね備えた人材が評価されます。
単に業務を遂行するだけでなく、突発的な事象や判断を要する局面で、主体的に行動しながらも正確性とスピードを両立できる人材が求められます。
たとえば、以下のような人が該当します。
企業においては、業務を任せられる人材の存在が業務の安定運営に直結します。
特に月次・年次決算のような業務は、納期が厳しく、外部(監査法人・税務署など)との連携も求められるため、責任を持ってやり遂げられる人材は非常に貴重です。
また、経営層にとっては、「安心して任せられる人がいる」ことが、数字をもとにした判断を迅速に下すための前提になります。
そのため、決算処理をリードできる存在は、単なる業務担当者ではなく、経営基盤を支える中核として期待されているのです。
こうした積み重ねが、結果として「この人なら任せても大丈夫」と信頼される礎になります。
経理部門の枠を超え、営業・人事・製造・ITなど他部門と協力しながら課題を解決していける人材です。
たとえば、各部門から集まる予算案を取りまとめ、全社の経営計画に整合する形で提案・調整ができるなど、数字と現場の双方を理解した調整役の役割が求められます。
「経理としての正しさ」に固執するのではなく、相手の事情や視点も踏まえた提案ができることが評価されます。
経理には単なる集計業務ではなく、全社のビジネス状況を把握し、数字の意味を他部門に翻訳できるスキルが求められています。
事業部のKPI設計や原価管理、プロジェクト予実の策定など、経理が現場に入り込むシーンが増加しており、他部門と信頼関係を築ける経理は、組織全体の意思決定の質を高めるつなぎ役として不可欠です。
こうした取り組みを続けることで、「経理部門の外にも信頼関係を築ける人材」として、社内での存在感が高まっていきます。
単に会計ソフトを使いこなすだけではなく、業務フロー全体を見渡し、「どこに非効率があるか」「どうすれば全体最適になるか」を考えられる人です。
たとえば、以下のような人の需要があります。
企業はDX推進を進める中で、経理部門にもその波が及んでいます。
単に自動化ツールを導入するだけではなく、業務の可視化・標準化を進めていける実務目線の担当者が不可欠です。
成長企業やリソースの限られた中小企業では、現場に詳しい経理が“業務改善の旗振り役”となるケースも多く、DX対応スキルのある人材はその中心人物となります。
IT部門と現場部門を橋渡しする「通訳役」としての存在が強く求められているのです。
このような取り組みを積み重ねることで、単なる業務担当者ではなく「組織を前に進める人材」として評価されるようになります。
40代は、個人のスキルをさらに磨きつつ、組織や経営全体に視野を広げていくタイミングです。
マネジメント、経営計画、外部対応といった領域に関与することで、自らの影響範囲を拡大し、企業にとって不可欠な存在へと成長することができます。
メンバーの業務を把握・配分し、業務改善や育成を通じてチーム全体のパフォーマンスを最大化できる人材です。
単にリーダーシップを取るだけでなく、課題を共有し、チームで成果を出すための仕組みやコミュニケーション設計ができることが求められています。
属人化の排除、業務の標準化、若手育成、KPIマネジメントなどを実践しつつ、自らもプレイヤーとしての成果も維持できる“プレイングマネージャー”型の人材が、現場では重宝されています。
企業は40代の経理人材に対し、個人スキルの高さだけでなく、「人を動かす力」や「仕組みで成果を出す力」を重視します。
特に組織が拡大期にある企業では、業務を管理しながら、人材の育成と定着を支えるマネジメント人材が不可欠です。
経理部門における安定運用・若手育成・業務効率化を任せられる中間管理職の育成は、多くの企業にとって最優先課題となっており、「マネジメントできる経理」は引く手あまたです。
こうした意識と行動を積み重ねることで、「現場の信頼を得て組織を動かすマネージャー」としての存在感を発揮できるようになります。
経営の意思決定に必要な情報を数値面から提供し、自らも意思決定プロセスに参画できる人です。
単に予算を集計するだけでなく、事業戦略や市場動向を踏まえた分析・提案ができる視座の高さが求められています。
たとえば、中期経営計画の策定時に、売上・コスト構造の見通しを部門とすり合わせたうえで、経営層に対して複数のシナリオ提案ができるような人材は、企業の将来を数字で支える存在として重宝されます。
不確実性の高い環境下で中長期の戦略を描くには、経理が現場と経営をつなぎ、数字を根拠とした意思決定の土台を築くことが必要です。
計数管理と戦略立案を架橋できる人材は、CFO候補としても評価されます。
また、予算管理と予実分析の精度が経営判断に直結する場面も増えており、数値に強く、かつ現場との対話ができる経理人材は、業種や規模を問わずニーズが高まっています。
こうした視座を持って経営計画に関与することで、「戦略に強い経理」として社内外から信頼される存在になることができます。
監査法人・税務署・金融機関など外部関係者と対話できるスキルを持ち、自社の立場や判断を説明・交渉できる人材です。
求められるのは単なる会計知識ではなく、根拠に基づいた説明力、論理的な対話力、そして冷静な対応力です。
たとえば、監査の場で処理方針に対して根拠をもとに明確に説明し、指摘に適切に応じられる人は、外部からの信頼も得やすい存在となります。
コンプライアンスやガバナンス強化が求められる今、外部対応の質は企業の信頼性に直結します。
経理部門が企業の“顔”となる場面で、適切な説明と交渉ができる人材は、経営にとって信頼できる存在として重視されます。
特にIPO準備やグローバル展開を見据える企業においては、会計基準・税制への理解を備えたうえで、外部対応経験のある経理は重要な戦力です。
日頃からこうした対応力を磨いておくことで、監査法人や税務署との信頼関係を築きやすくなり、企業の“顔”として安心して任せられる存在になることができます。
| 比較項目 | 30代 | 40代 | 
|---|---|---|
| キャリアフェーズ | 実務深化・経験の広がり | 管理・経営視点への移行 | 
| 重視されるスキル | 任せられる実務力、横断的な視野、DX対応 | マネジメント力、経営視点、外部対応力 | 
| 企業が求める役割 | 業務の中核を担う存在 | 部門を統括する責任者 | 
30代では「実務を正確にこなす」ことに加えて、「任せても安心」と思われる責任感や、他部門と連携する柔軟性が評価されます。
自分の業務領域を広げていくことが、将来的なマネジメントや経営層との接点を持つうえで重要な布石となります。
一方で40代は、経験やスキルを“自分だけのもの”にせず、チームや会社の成長にどう還元できるかが問われます。
若手の育成や経営戦略への貢献など、「組織全体を見渡す視点」で行動できる人材が求められる段階に入っています。
年齢によって「何が求められているか」が大きく変わるからこそ、早めにその違いを理解し、今の自分に何が足りないかを意識することが、着実なキャリア構築の第一歩となるのです。
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