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勤怠改ざんはなぜ起こる?発覚時のリスクと企業が取るべき防止・対応策を徹底解説

公開日2025/08/22 更新日2025/08/21 ブックマーク数
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勤怠改ざんはなぜ起こる?発覚時のリスクと企業が取るべき防止・対応策を徹底解説

近年、勤怠改ざんに関するニュースや労働基準監督署による是正勧告が相次いでいます。
労働時間や残業時間の虚偽申告は、単なる「小さな不正」ではなく、企業の信用や存続に関わる重大なコンプライアンス違反です。
しかも、こうした行為は現場の一部だけでなく、組織全体の管理体制や文化の問題として発生するケースが少なくありません。

本記事では、勤怠改ざんがどのような行為を指すのか、どこから違法になるのかを正しく理解し、企業として適切に対応するための基礎知識を解説します。

[ 目次 ]

そもそも勤怠改ざんとは?どこからが違法になる?

勤怠改ざんの定義と、意図の有無にかかわらない違法性

勤怠改ざんとは、実際の労働時間や休憩時間の記録を意図的に変更し、事実と異なる勤怠情報を作成する行為を指します。
これは従業員本人による虚偽申告だけでなく、上司や管理職が修正を指示した場合も含まれます。
例えば、遅刻や早退を隠すために打刻時刻を変更したり、実際より短い休憩時間を記録したりする行為も勤怠改ざんに該当します。

重要なのは、意図の有無に関わらず、事実と異なる記録を作成すれば違法となり得る点です。
「業務の都合で少し調整しただけ」「本人が納得しているから大丈夫」という理由は、法的な免罪符にはなりません。

勤怠改ざんが該当しうる法律と罰則

勤怠改ざんは複数の法律に抵触する可能性があります。
代表的なものは以下の通りです。

  • 労働基準法
    労働時間の適正な把握は、労働基準法および労働安全衛生法に基づき企業に課された義務です。
    虚偽の勤怠記録に基づく未払い残業代が発覚した場合、最大で過去3年分の遡及支払いに加え、付加金の支払いを命じられることがあります。
  • 刑法(私文書偽造罪・同行使罪)
    勤怠記録は業務上重要な文書とされ、虚偽の記載を行うと私文書偽造罪(刑法第159条)に該当する可能性があります。
    有罪となれば、5年以下の懲役または罰金刑が科されることもあります。
  • 会社法・コンプライアンス規程違反
    内部統制の不備や取締役の監督責任が問われる場合があり、上場企業では特に株主や取引先からの信頼低下に直結します。

このように、勤怠改ざんは単なる内部的なルール違反ではなく、刑事罰・行政処分の対象になり得る重大な行為です。
企業としては「知らなかった」では済まされず、日頃から防止策を講じることが不可欠です。

なぜ勤怠改ざんが起きてしまうのか?発生パターンと原因

パターン①:従業員が自ら改ざんするケースとその背景

従業員本人が勤怠記録を不正に修正する背景には、個人的な利益や評価への不安があります。
代表的なのは、遅刻や早退を隠して評価への影響を避けるケース、または残業時間を多く見せかけて残業代を増やす「生活残業」のケースです。
特に、基本給が低く残業代で生活費を補っている従業員にとっては、残業時間の増加は収入増に直結します。
このような状況は、給与体系や評価制度の見直しといった構造的な改革がなければ根本的な解決は難しいでしょう。

パターン②:上司・管理職が改ざんを指示・黙認するケースとその背景

もう一つ深刻なのが、管理職側による改ざんです。
部署全体の残業時間を少なく見せかけて「働き方改革に成功している」とアピールしたり、人件費予算の超過を隠したりするために、上司が部下に勤怠修正を指示する事例が後を絶ちません。
背景には、管理職自身が過度な成果主義や人件費抑制のプレッシャーを受けていることが多く、数字上の帳尻を合わせることで短期的な評価を守ろうとする傾向があります。
しかし、こうした行為は長期的に見れば企業の信用を大きく損ない、組織全体のモラル低下を招きます。

勤怠改ざんを放置する企業が直面する、取り返しのつかない4大リスク

リスク①:刑事罰・行政処分

勤怠改ざんは、労働基準法や刑法など複数の法律に抵触する可能性があり、発覚すれば刑事罰や行政処分を受けるリスクがあります。
例えば、労働基準法第120条では罰金刑が規定されており、刑法の私文書偽造罪が適用される場合もあります。
さらに、労働基準監督署による是正勧告や企業名の公表といった行政的措置が取られることもあり、これらは企業の社会的信用に直結します。

リスク②:金銭的損失

勤怠改ざんが発覚すると、未払い残業代の遡及支払い義務が生じます。
2020年の法改正により、請求可能期間は最大3年に延びており、その間の未払い賃金や付加金(最大で同額)を支払う必要があります。
企業規模によっては数百万円から数千万円規模の負担となり、予算やキャッシュフローに深刻な影響を及ぼします。

リスク③:信用の失墜

勤怠改ざんが報道やSNSで拡散されれば、「ブラック企業」というレッテルを貼られ、取引先や金融機関からの信用低下を招きます。
また、採用活動においても応募者の減少や内定辞退の増加につながり、優秀な人材確保が難しくなります。
信用の回復には長い時間と多大な労力が必要です。

リスク④:組織の崩壊

勤怠改ざんは、従業員間の不公平感や不信感を助長します。
真面目に勤務時間を申告している社員ほどモチベーションが低下し、離職を選ぶケースが増えます。
結果として、優秀な人材が流出し、業務負荷が残ったメンバーに集中する悪循環に陥ります。
このような組織の崩壊は、企業存続にも直結しかねません。

不正を「させない」「許さない」ための具体的な防止策

【制度面の対策】客観性と透明性のあるルール作り

勤怠改ざんを防ぐには、まず制度面の整備が欠かせません。
勤怠管理規程を明文化し、全社員に周知徹底することで、曖昧な運用を防ぎます。
残業は必ず事前申請制とし、承認プロセスを明確化することで、不正が入り込む余地を減らします。
承認者の責任範囲を定めることも重要で、管理職が恣意的に勤怠を修正することを防ぐ仕組みづくりが求められます。

【IT面の対策】正確な労働時間を客観的に記録する仕組み

紙や自己申告ベースのタイムカードは改ざんの温床となります。
ICカード、生体認証、GPS打刻など、客観的かつ改ざんが困難な勤怠管理システムを導入することが有効です。
さらに、PCのログイン・ログアウト時間と勤怠データを突き合わせることで、実際の労働時間を精緻に把握できます。
こうしたIT活用は、管理部門の負担軽減にもつながります。

【運用面の対策】不正を許さない意識と文化の醸成

制度やシステムを整えても、それを運用する組織の意識が伴わなければ形骸化します。
定期的なコンプライアンス研修で「勤怠改ざんは重大な違法行為」という認識を全社員に浸透させましょう。
内部通報制度(ヘルプライン)を設け、匿名で通報できる環境を整えることも有効です。
さらに、勤怠データの定期監査を実施し、不正の兆候を早期に発見できる体制を構築します。

もし勤怠改ざんが発覚したら?人事部門が取るべき対応フロー

勤怠改ざんが発覚した際、企業は迅速かつ適切な対応を取らなければ、法的リスクや信頼失墜を招きかねません。
以下は人事部門が取るべき基本的なステップです。

ステップ①:事実関係の調査と証拠の確保

まずは、改ざんが事実かどうかを確認します。
勤怠記録、PCログ、入退館履歴など、客観的なデータを収集し、改ざんの有無や規模を把握します。
この段階で証拠を確保しておくことは、その後の処分や労基署対応において非常に重要です。

ステップ②:関係者へのヒアリングと弁明の機会の付与

事実確認と並行して、関与が疑われる従業員や管理職への聞き取りを行います。
ヒアリングでは、一方的な断定は避け、相手に十分な説明・弁明の機会を与えることが必要です。
改ざんの動機や背景を把握することで、再発防止策の方向性も見えてきます。

ステップ③:懲戒処分の検討と、未払い賃金の支払い

事実が確認された場合、就業規則に基づき懲戒処分の可否と内容を検討します。
併せて、未払いとなっていた残業代や賃金を遡及して支払う必要があります。
遅延損害金や付加金の支払い義務が生じる場合もあるため、法務部門や社会保険労務士と連携しながら慎重に進めます。

ステップ④:労働基準監督署への報告と再発防止策の策定

重大な違反が確認された場合、労働基準監督署への報告が必要となります。
同時に、今回の事案で明らかになった制度や運用の不備を洗い出し、再発防止策を策定・実行します。
例えば、勤怠管理システムの強化や承認プロセスの見直し、管理職研修の追加実施などが考えられます。

まとめ

勤怠改ざんは、単なる個人の不正行為ではなく、企業文化や管理体制の問題が背景にあることが少なくありません。
放置すれば、法的リスクや経済的損失、企業の信用失墜といった深刻な影響をもたらします。

企業が持続的に成長していくためには、制度面・IT面・運用面での多角的な防止策を講じるとともに、改ざんを「させない」「許さない」風土を醸成することが不可欠です。
さらに、万が一発覚した場合でも、迅速かつ適切な対応フローを整備しておくことで、被害の拡大を防ぎ、従業員の信頼を維持できます。

勤怠管理は単なる労務作業ではなく、企業の信用と生産性を守る重要な経営課題です。
管理部門は日々の運用を通じて透明性と公平性を高め、従業員が安心して働ける職場環境の実現を目指すべきでしょう。

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