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9月は中途採用者の入社が集中しやすい時期です。
人事担当者にとっては、受け入れ体制の整備や配属先との調整など、オンボーディングに最も手間がかかる時期とも言えます。
せっかく採用した人材が、入社後すぐに「思っていたのと違った」と感じ、早期離職してしまう――そんな事態を防ぐためには、入社初日からの丁寧な関わりと、業務の段階的な引き継ぎ、現場との連携が不可欠です。
本記事では、「オンボーディング」とは何かを改めて解説したうえで、中途社員の特性を踏まえた実務ポイントを整理します。
後半では、人事担当者がそのまま使えるチェックリストテンプレートもご紹介しますので、是非最後までご確認ください。
「オンボーディング(Onboarding)」とは、新しく組織に加わった社員が、業務に必要な知識やスキルを習得し、組織に適応・定着するまでを支援する一連のプロセスを指します。
採用後の「受け入れ支援」や「初期教育」に加えて、配属先との関係構築、会社文化への理解促進、早期戦力化までを含めた広い意味合いで使われる言葉です。
オンボーディングは「OJT(On the Job Training)」や「研修」と混同されることもありますが、意味合いは異なります。
一方でオンボーディングは、これらを含みつつも、組織への定着・活躍を総合的に支援する概念です。
単なるスキル教育にとどまらず、「早く馴染んでもらう」「安心して働ける状態に導く」ことが目的とされます。
「オンボーディング」という言葉に馴染みがない現場では、以下のような表現が用いられることもあります。
いずれも一部の要素を示す言葉ですが、「オンボーディング」はより包括的な意味を持ちます。
オンボーディングの最終的な目的は、「新たに加わった社員が、組織の一員として自走できる状態になること」です。
単にマニュアルを渡して終わりではなく、心理的安全性の確保や信頼関係の構築、役割理解、職場文化への適応までが含まれます。
即戦力としての期待が大きい中途社員こそ、前職とのギャップや孤立感から離職してしまうリスクがあります。
だからこそ、「準備されたオンボーディング」の有無が、入社後のパフォーマンスや定着率を大きく左右します。
中途採用は「即戦力人材の獲得」として期待されがちですが、入社直後からスムーズに実力を発揮できる人は、実は多くありません。
経験やスキルはあるものの、新しい組織に適応するまでには、独自の“壁”が存在するためです。
中途社員が入社後にぶつかりやすい主なハードルは、以下の3点です。
① アンラーニングの壁
前職で身につけたやり方や価値観を一度リセットし、新しい職場のルールや文化に適応する必要があります。
特に経験が豊富な人ほど、この切り替えには苦労する傾向があります。
② 人間関係の再構築
新卒と違い、中途社員には同期入社という「仲間」がいないことも多く、組織内での信頼関係構築に時間がかかりがちです。
孤立感や疎外感が早期離職の要因になるケースも少なくありません。
③ 暗黙ルールの理解
就業規則や業務フローに表れていない「社内の暗黙知」──たとえば報連相のタイミングやミーティングでの発言スタイルなどに戸惑いを感じることがあります。
実際に、オンボーディングが充実している企業ほど中途社員の定着率が高く、1年未満の早期離職率が低い傾向があります。
厚生労働省のデータや各種人事調査でも、「入社後3ヶ月~半年以内のフォロー施策」が社員満足度や定着に大きく寄与していることが報告されています。
中途採用は「入社してもらう」ことがゴールではありません。
入社後にいかに活躍してもらうか──その成否を分けるのが、オンボーディングなのです。
オンボーディング施策の多くは人事部が企画・設計しますが、実際に中途社員が日々接するのは現場の上司やチームメンバーです。
そのため、いくら制度を整えても、現場が機能しなければ施策は形骸化してしまいます。
オンボーディングに非協力的な現場の背景には、以下のような理由が存在します。
つまり、「やりたくない」のではなく、「なぜ自分たちがやるのか分からない」「余裕がない」という声がほとんどです。
現場を巻き込むためには、単に「協力してください」と依頼するだけでは不十分です。
以下のポイントを押さえることが重要です。
オンボーディングの成否は、制度の有無よりも現場の「納得感」と「関与度合い」にかかっていると言っても過言ではありません。
「現場が自発的に動きたくなる仕掛け」を設計することが、オンボーディングを成功に導くカギとなります。
中途社員のオンボーディングを効果的に進めるには、「いつ・誰が・何を」すべきかを段階的に設計することが重要です。
以下の5つの視点に沿って、入社前からの支援体制を構築しましょう。
入社後のギャップを防ぐためには、入社前からの丁寧な情報提供が欠かせません。
また、受け入れ側の現場にも事前に情報を展開し、配属初日からスムーズに迎えられるように準備しましょう。
入社初日は、不安と緊張の中で始まる重要なタイミングです。
初日で「受け入れ準備が整っている」と実感できることが、信頼感の醸成と安心感につながります。
中途社員は、スキルや経験にばらつきがあります。
そのため、一律の研修ではなく「個別最適化」されたOJT設計が求められます。
本人任せにせず、育成側が意図を持って段階的に関与する姿勢が重要です。
職場への早期定着には、「人とのつながり」づくりが欠かせません。
「質問しても大丈夫」「相談できる人がいる」と感じられる環境を整えましょう。
オンボーディングは、一度きりのイベントではなく継続的なプロセスです。
振り返りを通じて、課題の早期発見と前向きなキャリア形成支援へつなげることができます。
時期 | 人事の役割 | 配属先(上司)の役割 | 本人の役割 |
---|---|---|---|
入社前 | ・内定通知・雇用契約書の送付・回収 ・就業規則、福利厚生などの事前案内 ・初出社の案内(時間・服装・持ち物) ・受け入れ部署との連携 |
・受け入れ準備(席・PC・アカウントの依頼) ・業務内容・OJT計画の作成 ・初日以降のスケジュール策定 |
・書類の返送 ・事前資料の確認 ・入社日スケジュールの把握 |
入社初日〜1週間 | ・会社案内・就業ルールの説明 ・勤怠・経費などの社内システムレクチャー ・人事面談(不安や質問の確認) |
・チーム紹介・座席案内 ・業務のオリエンテーション ・1on1ミーティング実施 |
・業務環境の確認・初期設定 ・関係者との挨拶 ・業務理解・質問整理 |
1ヶ月目 | ・定着状況の確認(本人・上司へのヒアリング) ・フォロー面談の実施 |
・OJT進捗の確認と調整 ・本人へのフィードバック ・必要に応じた業務調整 |
・自分の業務進捗・課題を整理 ・改善提案や相談事項を共有 |
3ヶ月目 | ・試用期間終了に向けた最終面談 ・本採用決定の手続き ・オンボーディング施策の振り返り |
・評価と今後の育成計画共有 ・チーム内での立ち位置確認 |
・これまでの振り返り ・キャリアの方向性や希望の共有 |
オンボーディングをスムーズに進めるためには、情報の属人化を防ぎ、誰が見てもわかる資料の整備と共有が必要です。
作成のポイント
・フォーマットはExcelまたはGoogleスプレッドシートが基本です
共有のポイント
以下のような形式でチェックリストを運用すると、進捗確認と役割分担が明確になり、対応漏れを防ぐことができます。
時期 | 項目例 | 担当 | 実施状況 | 備考 |
---|---|---|---|---|
入社前 | 雇用契約書の送付・回収 | 人事 | □済 □未 | |
入社前 | 配属部署への受け入れ通知 | 人事 | □済 □未 | |
入社初日 | PC・ツールの初期設定支援 | 上司 | □済 □未 | IT担当連携済 |
1ヶ月後 | フォロー面談(本人+上司) | 人事 | □済 □未 | 日程調整要 |
3ヶ月後 | 振り返りと今後の目標設定 | 本人 | □済 □未 | キャリア面談と併用可 |
オンボーディングは「やるか・やらないか」だけでなく、「どれだけ再現性のある形で継続できるか」が重要です。
一時的な取り組みで終わらせず、属人化を防ぎながら組織全体で育成に取り組む仕組みづくりが求められます。
以下のような工夫で、オンボーディングの質と安定性を保つことが可能です。
このようなプロセスの型化によって、誰が担当しても一定の品質を担保できる体制が整います。
最近では、オンボーディングを効率的に運用するためのSaaS型ツールの導入も進んでいます。
ITツールの活用により、情報の一元化・連携強化・業務負担の軽減が可能になります。
他社事例から見える、オンボーディング成功の共通点には以下があります。
一度つくった仕組みを見直し、オンボーディングを“進化させる”視点も欠かせません。
中途社員の定着と活躍には、制度だけでなく“現場と一体となったオンボーディング”が不可欠です。
入社前の準備から配属後の関係構築、定期的なフォローまでを段階的に設計し、仕組みとして運用できれば、属人化を防ぎながら再現性のある受け入れ体制が整います。
9月入社に向けて、今こそ自社のオンボーディングを見直し、組織の成長につながる「育てる力」を高めていきましょう。
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