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異動や出向などに伴う「転勤」を理由にした退職を、直近3年で企業の30.1%が経験していることがわかった。
大企業では38.0%と異動範囲が全国に及ぶほど高くなっている。
同時に、転勤の可否を自身で選択できる制度、転勤手当、エリア社員制度(地域限定の社員)など、柔軟な転勤制度の導入を予定していない企業は75.9%に達し、転勤を機能的に運用する対策はまだ道半ばだ。
コロナ禍を経て、人手不足や少子高齢化で転職市場が活発化し、ライフワークバランスを重視する働き手の意識も変化している。
だが、転勤を望まない退職の増加は、企業の事業展開に重い足かせになりかねず、企業もより現実的な転勤制度が必要なフェーズに入っている。
東京商工リサーチ(TSR)は7月30日~8月6日、インターネットで「転勤」についてアンケート調査を実施した。
転勤や配置転換、グループ会社への転籍の実績がある企業は36.2%だった。
規模別は、大企業が75.6%、中小企業が32.3%で、全国に複数拠点を置く大企業が中小企業の2倍以上高かった。
産業別では、金融・保険業が60.0%で最多だった。
転勤などを理由とする従業員の退職は、直近3年で大企業が38.0%に対し、中小企業は28.3%だった。
こうした実態に対し、従業員が転勤などの可否を選択出来る制度や、転勤する社員に手当を厚くする転勤手当、エリア社員制度など、柔軟な転勤制度の導入が急がれる。
ただ、実際の導入は大企業でも31.1%で、中小企業は12.6%にとどまる。
転勤は、会社都合によることが多いが、時代の変化で夫婦共働き世帯の増加や育児、介護など、生活の大きな負担になる事態が広がっている。
この結果、転勤を望まない社員も増えてきた。
さらに、転職市場が急拡大し、終身雇用の意識も薄れてきた。
こうした状況を背景に、大きな負担が生じる転勤より、転職を選ぶ流れが広がっている。
転勤制度は、従業員の退職リスクに加え、採用時のネックにもなっている。
こうした背景を踏まえ、従業員の維持や確保のため、企業はより柔軟な転勤制度を一考する必要性が出てきた。
※2025年7月30日~8月6日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答6,691社を集計、分析した。
※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義。
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記事提供元
東京商工リサーチ
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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