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近年、職場でのハラスメント問題として注目を集めているのがSOGIハラスメント(ソジハラ)です。性的指向や性自認に関する差別的言動は、従業員の尊厳を傷つけ、職場環境を悪化させる深刻な問題となっています。
2020年のパワハラ防止法の施行(中小企業は2022年4月から義務化)により、企業にはSOGIハラを含むハラスメント防止措置が法的義務として課されました。しかし、まだ多くの企業でSOGIハラに対する理解や対策が不十分なのが現状です。
本記事では、SOGIハラの定義から具体的な対策まで、企業の人事・総務担当者が知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。
SOGIハラについて正しく理解するために、まずその定義と関連する概念について詳しく見ていきましょう。
SOGIハラ(ソジハラ)とは、SOGI(ソジ)に関するハラスメントの略称です。
SOGIは「Sexual Orientation and Gender Identity」の頭文字を取った言葉で、性的指向(どのような性別の人を好きになるか)と性自認(自分の性別をどう認識するか)を指します。
SOGIハラは、人の性的指向や性自認に関して、以下のような行為を指します。
厚生労働省の指針では、SOGIハラは職場におけるパワーハラスメントに該当する行為として位置づけられており、企業は防止措置を講じる法的義務があります。
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SOGIとLGBTQは混同されがちですが、実は大きな違いがあります。
LGBTQは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)、クエスチョニング(Q)の頭文字を取った言葉で、特定の性的マイノリティを表す概念です。
一方、SOGIは性的指向と性自認という概念そのものを指しており、すべての人が持っている属性です。
つまり、SOGIは性的マイノリティだけでなく、異性愛者やシスジェンダー(生まれた時の性別と性自認が一致している人)も含む、すべての人に関わる概念なのです。
この違いを理解することで、SOGIハラが「特定の人だけの問題」ではなく、すべての従業員に関わる人権問題であることが分かります。
企業は、性的マイノリティへの配慮という限定的な視点ではなく、すべての従業員の尊厳を守るという包括的な視点でSOGIハラ対策に取り組む必要があります。
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SOGIハラの実態を正しく把握するために、職場で実際に起こりうる具体的な事例を見ていきましょう。
職場でのSOGIハラは、様々な形で発生します。以下に代表的な事例を挙げて詳しく説明します。
言動によるSOGIハラでは、「男らしくない」「女らしくない」といった性別役割を押し付ける発言や、「ホモ」「レズ」などの差別的な呼び方、性的指向を茶化すような冗談などが該当します。これらの言動は、たとえ悪意がなくても、対象者に深刻な精神的苦痛を与える可能性があります。
外見や振る舞いに対する嘲笑や批判も深刻な問題です。たとえば、男性従業員に対して「化粧をしているみたい」「声が高くて女性みたい」といった発言や、女性従業員に対して「男勝り」「もっと女性らしくしろ」といった圧力をかける行為などが挙げられます。
プライベートな詮索や強要も重要な問題です。「恋人はいるの?」「いつ結婚するの?」といった質問を異性愛を前提として執拗に行ったり、合コンや婚活への参加を強要したりする行為は、その人の性的指向を無視した配慮のない行動となります。
職場での差別的取り扱いでは、性的指向や性自認を理由として昇進を阻害したり、重要な業務から外したり、職場のイベントへの参加を制限したりする行為が該当します。これらは明確な人権侵害であり、法的責任を問われる可能性があります。
アウティングとは、本人の同意なく、その人の性的指向や性自認を第三者に暴露することです。
アウティングは、SOGIハラの中でも特に深刻な被害をもたらす行為として注意が必要です。
アウティングの典型例として、同僚が「あの人はゲイらしい」といった噂を広める行為や、上司が人事異動の理由として「彼はそういう人だから」と説明する行為、飲み会の席で本人の性的指向について無責任に話す行為などが挙げられます。
アウティングによる被害は極めて深刻です。被害者は職場での居場所を失い、精神的に大きなダメージを受ける可能性があります。実際に、アウティングが原因で退職を余儀なくされたり、うつ病などの精神的疾患を発症したりするケースも報告されています。
SOGIハラを防止するため、企業は複数の法律に基づいて対策を講じる必要があります。ここでは主要な法律について詳しく解説します。
2020年6月施行の改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、事業主にはパワハラ防止措置が義務づけられ、SOGIハラもその一種として明確に位置づけられています。
厚労省の指針では、性的指向や性自認に関する侮辱的言動や、本人の同意なく情報を暴露する行為が具体例として示されています。企業は、SOGIハラ禁止の方針を規則で明示し、周知すること、相談窓口を整備しプライバシーを保護すること、事実確認・配慮措置・懲戒処分を迅速に行うことが求められます。
男女雇用機会均等法では、性的言動によるセクハラ防止が事業主に義務づけられ、性的指向や性自認にかかわらず、当該者に対する行為がセクシュアルハラスメントに当たりうるとされています。
同性に対するセクハラも含まれ、性的指向や性自認に関する差別的言動もその対象となる場合があります。
法的義務を果たし、すべての従業員が安心して働ける職場環境を実現するために、企業は具体的で実効性のある対策を講じる必要があります。
企業が実施すべきSOGIハラ対策には、まず就業規則などへの明記が重要です。
性的指向や性自認に関する差別的言動やアウティングの禁止を具体的に記載し、違反時の懲戒も定めます。
さらに、全従業員向けにSOGIハラ防止研修を定期的に実施し、管理職には相談対応や職場改善の指導を強化します。
相談窓口は社内外に複数設け、相談者が安心して利用できるよう対応スキルを持つ担当者を配置します。
職場環境の整備としては、誰でも使えるトイレや更衣室の設置、服装規定や書類の性別欄の見直しなどが求められます。
また、従業員の性的指向・性自認に関する情報を機密として扱い、人事データの管理ルールを整備し、漏洩防止の体制を構築することも欠かせません。
SOGIハラが発生した際には、被害拡大を防ぎ、迅速かつ適切に対応することが不可欠です。
まず相談を受けた段階では、相談者の勇気を尊重し、丁寧に話を聞いた上で、内容を正確に記録し、今後の対応方針を説明します。
この際、プライバシーの保護と二次被害の防止が特に重要です。
事実確認では、関係者へのヒアリングを含む調査を公正かつ迅速に行い、秘密保持への配慮と客観的な証拠収集を徹底します。必要に応じて外部の専門家の関与も検討します。
被害者への配慮としては、加害者との接触回避、休暇取得の支援、専門カウンセラーの紹介などを通じ、精神的負担を軽減します。
加害者には、事実確認に基づき処分を行い、悪質性や被害の程度などを踏まえて対応します。同時に教育も行い、問題行動への理解を促します。
再発防止には、事案の検証をもとに研修内容や職場環境、相談体制の見直しを進め、定期的な効果検証も行うことが求められます。
企業の人事・総務担当者から寄せられる、SOGIハラに関する質問にお答えします。
A. まずは相談者の話を丁寧に聞き、相談に来てくれたことに感謝を伝えましょう。
その上で内容を正確に記録し、希望する対応を確認します。
調査の進め方を説明し、同意を得たうえで事実確認を開始してください。
プライバシー保護と二次被害防止は必須です。
必要に応じて配置転換やカウンセリングなど、安全確保の措置も検討しましょう。
A. 本人が了承していても、状況次第ではアウティングとなる可能性があります。
了承がその場の空気や上下関係によるものであったり、限られた範囲での共有を意図していた可能性もあります。
性的指向や性自認に関する情報は原則として機密扱いとし、必要がある場合でも書面で同意を得たうえで、共有範囲を限定してください。
A. SOGIハラを禁止する条項を明記し、違反時の懲戒処分についても具体的に記載することが重要です。
たとえば「性的指向や性自認に関する差別的言動や、同意のない情報開示を禁止する」と記述します。
処分は戒告から懲戒解雇まで段階的に定められます。
あわせて相談窓口の設置や相談者の保護も規則に含めることで、実効性が高まります。
SOGIハラスメントは、すべての従業員の尊厳と人権に関わる重要な職場問題です。
企業には、パワハラ防止法に基づく法的義務として、SOGIハラの防止措置を講じることが求められています。
効果的な対策のためには、まずSOGIの基本概念とSOGIハラの具体例を正しく理解し、就業規則の整備、従業員への教育・研修、相談体制の構築などの基本的な防止措置を実施することが不可欠です。
特に、アウティングの深刻性を認識し、従業員のプライバシー保護を徹底することが重要です。
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