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旬刊『経理情報』2025年9月10日号(通巻No.1753)情報ダイジェスト通巻

公開日2025/10/14 更新日2025/10/14 ブックマーク数
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旬刊『経理情報』2025年9月10日号(通巻No.1752)情報ダイジェスト

目次本記事の内容

  1. 【会計】のれんの非償却の公聴会、初開催─ASBJ・のれん非償却公聴会
  2. 【会計】排出量取引制度の会計処理、新規テーマへ─ASBJ
  3. 【会計】公開草案「温室効果ガス排出の開示に対する修正」に対応する気候関連開示基準の改正への対応、検討─SSBJ
  4. 〈旬刊『経理情報』電子版のご案内〉

【会計】のれんの非償却の公聴会、初開催─ASBJ・のれん非償却公聴会

去る8月12日、企業会計基準委員会は、第552回企業会計基準委員会(第1回「のれんの非償却の導入及びのれん償却費計上区分の変更」に関する公聴会)を開催した。
本公聴会は、のれんの非償却の導入およびのれん償却費計上区分の変更(以下、「本テーマ」という)の提案により会計基準として改善が見込まれるかどうかについて、関係者から意見聴取を実施するものであり、親委員会における通常の審議と異なり、親委員会および委員が本テーマに関して判断や評価を行うものではなく、関係者からの意見聴取の結果を企業会計基準諮問会議に報告することを目的として実施するものである。

■意見聴取

野間幹晴・一橋大学大学院経営管理研究科教授、芦澤美智子・慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授より、本テーマに関する意見聴取がされ、質疑応答が行われた。 野間教授からは、次のようなアンケート結果や実証研究の結果の紹介がされた。

・のれんの会計処理に関して、大企業では非償却を選好する企業は少数である。

・スタートアップ企業ではのれんの規則的償却はM&Aを検討するうえでの障害となっている企業が多数を占めている。また、のれん償却負担のためM&Aを断念したことがある企業はおよそ半数。

・米国で行われたのれんの減損処理をめぐる実証研究で、経営者はのれんをタイムリーに減損していないことを示唆した結果が得られた。

また、芦澤准教授からは、M&Aをめぐる状況の観点から意見が陳述され、現在は日本でもM&Aが大規模になってきており、M&Aが企業の成長の礎となるなか、のれんの償却がM&Aの足かせとなっているとの意見がスタートアップから多く聞かれており、政府の骨太方針や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」などでM&A支援が取り上げられている現状が説明された。

■質疑応答

委員からは、本テーマへの賛否について質問があり、野間教授は「非償却導入に賛成。実証研究からみられる裁量的な企業行動をどう防ぐかが重要。具体的にはモニタリングの強化があるが、従来から会計上の見積りがあり、これに追加することで可能」との回答があった。 償却・非償却の選択制については、野間教授は「整合性が保てないので反対」、芦澤准教授は「プラクティスの観点から次善の策としてあり得るが日本基準間の比較が難しいので積極的に賛成はできない」との回答があった。

【会計】排出量取引制度の会計処理、新規テーマへ─ASBJ

去る8月12日、企業会計基準委員会は、第553回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議事項は以下のとおり。

■新規テーマの提言への対応

前回親委員会(2025年8月10日号(№1751)情報ダイジェスト参照)で、企業会計基準諮問会議からASBJに対して、「排出量取引制度に係る会計上の取扱い」の新規テーマの提言が行われたことを受け、対応方針案が審議された。
企業会計基準諮問会議からの提言は次のとおり。

排出量取引制度の法定化が進められているなか、法的義務を伴う排出量取引制度の対象事業者の会計処理の検討を提言する。具体的に想定される論点として次が示されている。

⑴ 排出枠の取得に係る会計処理(資産の認識および測定)

⑵ 排出枠償却時点で、排出実績と等量の排出枠を保有する義務に係る会計処理(負債の認識および測定や引当金の計上)

⑶ 開示要求事項

なお、実務対応報告15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取扱い」で整理されている排出量取引の会計処理と今回の検討との関係も整理する。

事務局からは、本提言を新規テーマとする方針案が示された。
なお、詳細を定める政省令が未確定であるため、まず法律に規定される制度の概要の理解と実務対応報告15号との関係の整理から検討を開始することとし、具体的な会計処理および開示に関する検討については、詳細が明らかとなった後に検討を開始する。また、実務対応専門委員会で対応する。
委員から異論は聞かれず、新規テーマとすることが決定された。

■金融資産の減損

第243回金融商品専門委員会(2025年8月20日・9月1日合併号(№1752)情報ダイジェスト参照) に引き続き、金融資産の減損プロジェクトにおける審議が行われた。

⑴ 経過措置
改正金融商品会計基準等の適用初年度における経過措置について、検討が行われた。

 ① ステップ2を採用した場合
ステップ2(信用リスクに関するデータの整備がなされている金融機関の貸付金に適用される会計基準の開発)については、IFRS9号「金融商品」の経過措置に関する定めをベンチマークとして検討を行う。

  ⅰ 遡及適用
事務局から、遡及適用に関する経過措置の取り込み方として、IFRS9号と同様の定めを設けるのではなく、「一律遡及適用を禁止し、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減する」とする案が示された。

  ⅱ SICRの判定
SICRの判定に関して、IFRS9号7.2.20項と同様の経過措置を設ける案が示された。

  ⅲ 分類および測定
適用初年度の期首において、実効金利法を遡及適用することが実務上不可能な場合には、金融商品の実効金利の不可分な一部である手数料について、改正金融商品実務指針において収益認識会計基準等に準じて会計処理できる要件を満たしているとみなすことができるとする案が示された。

  ⅳ 適用開始に関する開示
IFRS7号「金融商品:開示」のうち、予想信用損失に関するIFRS9号の適用開始に関連する規定の一部を、予想信用損失適用指針において設けるとする案が示された。

 ② ステップ4を採用した場合
ステップ4(信用リスクに関するデータの詳細な整備がなされていない金融機関に適用される会計基準の開発)については、固定の経過措置を追加しないとの案が示された。

委員からは、おおむね賛成意見が聞かれた。

⑵ 他の企業会計基準等の修正案

金融商品会計基準等の改正に伴う他基準修正として、関連当事者基準等、移管指針1号「ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示」等に関する改正案等が示された。

■期中会計基準案のコメント対応

前回親委員会((2025年8月10日号(№1751)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案83号「期中財務諸表に関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応案の検討が行われた。
有価証券の減損処理および棚卸資産の簿価切下げに係る方法について洗替法が原則とされたことに伴い、固定資産の減損と切放し法との関係を結論の背景に明示すべきとのコメントに対して、減損適用指針で対応する旨の対応案などが示された。

【会計】公開草案「温室効果ガス排出の開示に対する修正」に対応する気候関連開示基準の改正への対応、検討─SSBJ

去る8月12日、企業会計基準委員会は、第553回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議事項は以下のとおり。

■ISSB公開草案「温室効果ガス排出の開示に対する修正―IFRS S2号の修正案」に対応する気候関連開示基準の改正

⑴ プロジェクトの進め方
ISSBは2025年4月28日に公開草案「温室効果ガス排出の開示に対する修正―IFRS S2号の修正案」を公表し、本年中に修正案を確定することを目標としている。事務局は、当該修正に対応したSSBJ基準における取扱いの検討について次のように提案した。

IFRS S2号の修正が公表される前にSSBJにおいて当該修正案に対応するSSBJ基準の改正を検討するのはどうか。また、その場合、当面のタイムラインは次のとおりとし、ISSBボード会議における議論に応じて適宜見直すことでどうか。

① ISSBの公開草案の提案のまま確定される蓋然性が相応に高いことが想定される論点(後述⑵)から検討を開始する。

② その他の論点については、ISSBボード会議における提案の再定義と並行して検討を進める。

③ IFRS S2号の修正の確定が公表された後可及的速やかにSSBJ基準の改正を提案する公開草案を公表することを目途とする。

委員からは賛意が聞かれた。

⑵ ISSBの公開草案の提案のまま確定される蓋然性が相応に高いことが想定される論点の検討
ISSBの公開草案で提案された次の論点(2025年6月1日号(№1744)情報ダイジェスト参照)については、SSBJも賛同する旨のコメントをすでに行っている。また、ISSBボード会議においても幅広く支持されており、公開草案の提案の内容を維持したまま確定される蓋然性が高いと考えられるとして、次の修正提案が示された。

 ① 「温室効果ガスプロトコルの企業算定及び報告基準(2004年)」(GHGプロトコル)の使用に対する法域別の救済措置
ISSBはGHGプロトコルとは異なる測定方法を用いることができるとする容認規定の明確化を提案していた。
事務局は、ISSBの公開草案で提案されているIFRS S2号29項⒜ⅱ、B24項の修正と整合的に気候基準の49項を改正することを提案した。
委員からは、賛意が聞かれた。

 ② 地球温暖化係数の数値についての法域別の救済措置の適用可能性
ISSBは報告日時点で利用可能な最新の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の評価における100年の時間軸に基づく地球温暖化係数(GWP)の数値とは異なるGWPの数値を用いることができるとする容認規定の追加を提案していた。
事務局は、ISSBの公開草案で提案されているIFRS S2号B21、B22項の修正と整合的に気候基準66項および68項を改正することを提案した。
委員からは、賛意が聞かれた。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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