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トラブル防止のために経理・総務担当者が知っておきたい「データ」のバックアップとセキュリティーの基本知識(後編)

公開日2018/05/09 更新日2018/05/08

※本記事は「トラブル防止のために経理・総務担当者が知っておきたい 「データ」のバックアップとセキュリティーの基本知識(前編)」の続きとなります。まだ読まれていない方は前編からお読みください。

バックアップはこうして行なう

次に、実際にバックアップをどうやって行なうのか、具体的な取り組みについて確認しておきましょう。

(1)データを失わないためのバックアップ

データを失わないための物理的なバックアップは、次のステップに従って行ないます。すでに何らかのバックアップを行なっている場合でも、現状の「データ」バックアップに足りないことがないかを確認してください。

1.バックアップ方法について理解する

まずはバックアップの方法にはどんなものがあるのか確認しておきましょう。

a.「データ」のバックアップと「システム」のバックアップ
今回は「データ」のバックアップについて確認していますが、バックアップにはもう1つ「システム」のバックアップもあります。「システム」のバックアップはどういものかというと、1つ1つのデータではなく、パソコン全体のバックアップのことです。パソコンが壊れた場合でも、パソコンそのものの状態を「システム」のバックアップから復旧することができます。


一方で「データ」のバックアップというと、ExcelやWordなどのファイル1つ1つを別の場所に保存しておき、いざという時にそのデータを元に戻すことができるようにしてことです。

b.バックアップデータの保存場所
バックアップデータをどこに保存するかについても、選択肢があります。CD-RやDVD-R、USBメモリー、外付けハードディスク、NAS(ネットワーク接続ハードディスク)、サーバー、クラウドストレージ(インターネット上のデータ保存領域)など。それぞれの特徴を整理すると図表2のようになります。

c.バックアップの取り方にも種類がある
「データ」のバックアップの取り方にも種類があります。
代表的な例が、フルバックアップといって、ある時点のデータを毎回全て複製する方法です。ある時点のデータを全て別の場所に保存するので、バックアップするデータ容量が大きくなり、バックアップを取るための時間も掛かります。けれど、データを復旧する場合には、いつの時点のデータかを確認して復旧すればいいので、復旧方法が簡単というメリットがあります。
次に、差分バックアップや増分バックアップという方法もあります。前回行なったバックアップのデータから変更、追加のあったデータのみをバックアップするという方法です。フルバックアップのように毎回全てのデータをバックアップするわけでないので、バックアップの時間は短くて済みます。
どのバックアップ方法を採用するかは、対象となるデータの容量や保存場所などによって決めることになります。

d.バックアップ以外のデータを保護する方法
バックアップ以外にも会社の大切なデータを保護する方法があります。
データを保護する方法の代表的なものは「ミラーリング」と「履歴管理ソフトの利用」の2つです。

「ミラーリング」とはデータを保存するハードディスクを2台つなげて、1台のハードディスクにあるデータをもう1台のハードディスクにリアルタイムに保存する方法です。「ミラーリング」であれば、常に2台以上のハードディスクにデータが更新されていくので、1台のハードディスクが壊れたとしても、もう1台のハードディスクに最新のデータが残っており、すぐに業務を続けることができます。
「履歴管理ソフト」を利用すると、ExcelやWordなどのファイルを変更する度に、自動で変更内容を記録してくれます。個別のデータファイルを誤って修正した、削除した、といった時にすぐにデータを復旧することができます。
「データ」のバックアップだけでなく、「ミラーリング」「履歴管理ソフトの利用」を上手く組み合わせることも考えておきましょう。

次ページ バックアップを取る対象を決める

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2.バックアップを取る対象データを決める

次にバックアップを取る対象データを決めます。
会社にあるデータは、社員が共有しているサーバーの中にもあれば個人が使用しているパソコンの中にもあります。個人が使用しているパソコンの中のデータまでは管理できないことが多いので、業務に必要なデータは必ず共有しているサーバーなどに保存するといった最低限のルールが必要です。
その上で、バックアップを取る対象データを決めていきましょう。

3.具体的なバックアップ方法を決める

次に具体的なバックアップ方法を決めていきます。
バックアップ方法やバックアップを取る場所によって、掛かるコストや手間が変わってきます。手動でパソコンの操作をするのか、ソフトやシステムを導入して自動でバックアップするのか、外付けのハードディスクやネットワーク接続ハードディスク、サーバーを設置するのか、どういった組み合わせにするかで大きく変わります。
バックアップを取る対象のデータの中でも、重要度や緊急性を考慮してバックアップ方法を決めていく必要があります。
さらに、バックアップを取るとなると、どんな頻度でバックアップを取るか、いつの時点まで遡ってバックアップデータを復旧できるようにするか、という時間軸でもバックアップ方法を考えましょう。

4.バックアップデータの復旧方法を確認する

データの紛失や破損が起きたときに備えて、バックアップデータの復旧方法も確認するようにしておいてください。せっかくデータのバックアップを取っているにもかかわらず、そのデータを復旧することができなければ意味がありません。
バックアップの仕組みができれば、データを復旧するテストを行ない、いつでも復旧作業ができるようにしておきましょう。

次ページ 誰が見ても何がどこにあるか分かるようにするバックアップ

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(2)誰が見ても何がどこにあるか分かるようにするバックアップ

会社の大切なデータをバックアップする仕組みを用意するだけでなく、バックアップの仕組みを社内の必要メンバーに周知することも必要です。
そのためにも、組織図を元に誰が「データ」のバックアップについて把握すべきか、まずは経営者や上司に確認しましょう。
さらにバックアップを取る手順、バックアップデータから復旧する手順を記したマニュアルを用意することや会社のデータに関するフォルダやファイルの作成方法や名前の付け方のルールなどを進めていくとよいでしょう。
なお、バックアップデータの中には会社の重要データも含まれており、経営者や一部の社員しか見てはいけないものもあります。
バックアップデータを扱うメンバーを限定するなど、セキュリティに配慮した環境作りが欠かせません。また、バックアップされた会社の重要データが外部に流出することのないような仕組み作り、ルールの制定や社員への周知を怠らないようにしましょう。

バックアップの基本的な考え方と手順を見てきましたが、いかがでしたでしょうか? もし、あなたの会社でまだバックアップへの取り組みができていない、もしくは不十分だということであれば、今から取り組んでいきましょう。

バックアップデータの価値を考えると経理・総務担当者、個人だけで考えるのではなく、経営者やITシステムの担当者を巻き込んでいくことが大切です。
経理・総務担当者にとって大切なことは、「データ」のバックアップの具体的な仕組みを作ることよりも、「データ」のバックアップの重要性を経営者や上司、従業員に伝えることです。
そして、「データ」のバックアップに関する具体的な仕組み作りは社内のITシステム担当者や外部の専門家の力を借りるようしてください。経営者や上司に、「データ」バックアップの重要性を伝え、必要なメンバーの選定や予算の確保を行った上で「データ」バックアップの環境作りを進めましょう。
会社として、「データ」バックアップが万全にできており、データの紛失や破損による損害を防ぐことができれば、会社経営にも貢献することができます。
さらに、担当者個人としても緊急電話での呼び出しを防ぎ、定時退社をしても責められない、そんな状態を実現してクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を追求していきましょう。

●さたけ まさひろ
1977年京都市西陣生まれ、同志社大学経済学部卒。IT企業勤務後、税理士試験受験の専念期間を経て、税理士法人に就職。2009年税理士登録。2014年京都市にて佐竹正浩税理士事務所開業。京都市内の金融機関と協働して飲食店などの新規出店ができることを客観的な数字で示す経営サポート業務やクラウド会計をはじめとした経理業務の省力化についての情報発信も行なっている。
・ホームページ/news/detail/135/?url=http%3A%2F%2Fm-stax.com%2F
・ブログ(毎日更新)/news/detail/135/?url=http%3A%2F%2Fbalance-blog.com%2F
【近況】わが家には電車好きの5歳と2歳の息子がいます。休日は息子が電車を楽しみながらも、こっそり自身のブログのネタにもなるようなスポットを探して出かけています。

記事提供:研修出版「月刊経理ウーマン」

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