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「指示待ちの部下が多く、なかなか育たない」「プレイングマネージャーとして、自分の仕事とメンバーの育成で手一杯だ…」。そんな悩みを抱える日本の管理職は少なくありません。
問題解決のヒントは、近年アメリカの企業で急増している「Chief of Staff(CoS)」という役割にあります。
この記事では、CoSの神髄である「裏方型リーダーシップ」を、日本の管理職が明日から実践できる具体的なマネジメント術として、分かりやすく解説します。
Chief of Staff(チーフ・オブ・スタッフ、CoS)という役職は、近年、CEOの意思決定と実行を最大化する「裏方型リーダーシップ」の鍵として、グローバルなビジネスシーンで注目を集めています。
CoSの定義は企業によってさまざまですが、その本質は一貫しています。
CoSとは、最高経営責任者(CEO)と直属のチームとの間に立ち、両者をつなぐ「緩衝材(バッファ)」として機能する黒衣のような存在です。
彼らの主な役割は以下の通りです。
問題の事前解決:問題がCEOの元に持ち込まれる前に、水面下で問題解決や紛争の調停を行う。
情報と時間の管理:CEOへの情報の流れを最適化し、限られた時間を最大限に活用できるよう支援する。
実行の推進:戦略的イニシアチブの推進を統括し、部門間の連携を図りながら、組織を前進させる。
相談役・助言者:CEOの相談相手となり、アイデアの健全なサウンディングボード(壁打ち相手)として機能する。
ある文献では、CoSは組織における「リーダーと上級チームのための航空管制官」や「起業家のシャドー(影)」、組織のあらゆる隙間を埋める「ギャップフィラー(Gapfiller)」とも呼ばれます。
イーロン・マスク、ピーター・ティール、マーク・ザッカーバーグなど米国のキーパーソンたちがCoS(Chief of Staff)を採用したことを契機に、米国のスタートアップ界隈でその存在が広く知られるようになりました。
Chief of Staff Networkが2024年に発表した調査によると、米国におけるCoS人材は2019年から2024年の5年間で30%増加しています。近年は日本でも同様の動きが見られ、スタートアップを中心にCoSを採用する企業が増加中です。

出典:Chief of Staff Network「The State of Chief of Staff Jobs」(2024年)
CoSは、傾聴力・対話力・優先順位の整理・調整力といった“裏方型リーダーシップ”を駆使し、CEOの意思決定を支えると同時に、組織全体のパフォーマンスを底上げします。
近年では「外側から支援する新しいリーダーシップ像」として、“伴走型支援力”にも注目が集まっています。
現代の複雑なビジネス環境のなかでは、従来のトップダウン型で上長の指示を待つ組織では対応が遅れがちです。
その理由は、課題が噴出する速度に対し、従来の組織構造や意思決定プロセスが追いつかなくなるからです。
結果として、創業者や最高経営責任者(CEO)の時間が、会社全体にとって「最も希少で価値のある資源」となると同時に枯渇し、課題が未処理のまま次の課題に上書きされていくという悪循環に陥る可能性があります。
この悪循環を断ち切り、事業を推進するために不可欠となるのが、現場のメンバーが自ら課題を発見し、解決に動く「自律型組織」への転換です。
自律型組織への転換により、メンバー一人ひとりが自ら課題を捉え、行動できるようになります。これにより、事業進捗のスピードや組織のアジリティが向上します。
あわせて「成長マインドセット」と「自己認識」を育むことで、個々の潜在能力を開花させる土壌をつくることが可能です。
しかし、自律型組織への転換期には、必ず組織構造や担当範囲の「隙間」や「穴(GAP)」が一時的に発生します。
この「思考と実行のボトルネック」を解消し、組織が自律的な動きを定着させるまでの「時間差」を埋める触媒として、Chief of Staff(CoS)の視点が必要とされるのです。
自律型組織への転換で求められるのが、メンバーの能力を引き出し、自律的な成長を支援することで組織の成果を最大化する「支援型リーダーシップ」です。
CoSが実践するリーダーシップは、まさにこの「支援型リーダーシップ」を体現するものの一つといえます。
CoSは、決して自分がスポットライトを浴びるスターになることを求めません。CoSの成功は、CEOやチームの成功を最大化することにこそあるのです。
管理職がCoSのような支援型リーダーシップを学ぶことは、自分が現場をコントロールするのではなく、チームやメンバーが自律的に動けるよう、必要な支援を提供する役割に徹することを意味します。
これにより、メンバーはまるでCEOのように意思決定を求められる高密度の成長機会を得て、自主的に動き課題を解決できる人材へと成長していくことができるのです。
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