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第2回 非償却モデルの根拠:IFRSと米国基準の考え方

公開日2025/11/19 更新日2025/11/18 ブックマーク数
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第2回 非償却モデルの根拠:IFRSと米国基準の考え方

当コラムのポイント

日本・米国公認会計士・税理士 大樂 弘幸氏

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
日本・米国公認会計士・税理士 大樂 弘幸

のれんの償却・非償却を巡る国際的議論と、M&A促進へ国内基準見直しの動き及び国際的な開示強化の動きについて解説する。

当コラムのポイント
  • 日本は「のれん」の価値が逓減するとの考え方から償却モデルを堅持している。一方、それに対する国内において新たな動きが見られる。
  • IASBは圧倒的多数で非償却モデルの維持を決定した。一方で、現状の懸念点へ対応するために新たな開示要求の議論を開始している。
  • 会計論争は「償却又は非償却」の議論から開示の透明性へと軸足を移動させている。減損テストの仮定やM&A後の実績の説明責任が企業に求められる可能性がある。

目次本記事の内容

  1. 1.今後の動向: IASBによる戦略転換と開示強化の時代
  2. 2.結論:国際的な潮流と国内議論の交錯

1.非償却の立場:IFRSおよび米国基準(US GAAP)の理論と決定

国際財務報告基準(IFRS)および米国会計基準(US GAAP)は、長年の議論を経て、のれんを原則として費用計上しない「非償却・減損モデル」を採用しています。このモデルは、のれんの資産としての性質に関する、日本とは異なる根本的な定義に基づいています。

(1) 非償却モデルの概念:期間の定めのない資産の考え方

 非償却モデルの支持者は、のれんは特定の期間内に価値が消滅すると断定できる普通の資産とは違うものだと主張します。のれんは、買収によって生み出された相乗効果(シナジー)やブランド価値、組織文化といった要素の集合体であり、これらの価値は、買収後の継続的な努力によって維持され、場合によっては強化される可能性があると考えます。

 したがって、のれんの価値の寿命は「期間の定めのない(無限定)」の可能性があり、価値が毀損していないにもかかわらず、規則的な償却を行うことは、企業の真の収益獲得能力を歪め、投資家にとって「真に意味のある情報」(関連性)を損なう勝手な費用配分にすぎないという批判が、非償却モデルの理論的な根拠となっています。このモデルでは、償却費という名目上の費用を計上するよりも、のれんの価値が実際に傷んだタイミングで、その全額を減損損失として一括で認識する方が、投資家に対して企業の真の状況を伝える上でより役立つ情報を提供できると考えられています。

(2) IASBによる議論の終結:再検討の可能性はほぼなし

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