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第3回(最終回) のれん会計の今後の動向と課題

公開日2025/11/20 更新日2025/12/05 ブックマーク数
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第3回(最終回) のれん会計の今後の動向と課題
日本・米国公認会計士・税理士 大樂 弘幸氏

TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
日本・米国公認会計士・税理士 大樂 弘幸

のれんの償却・非償却を巡る国際的議論と、M&A促進へ国内基準見直しの動き及び国際的な開示強化の動きについて解説する。

当コラムのポイント

  • 日本は「のれん」の価値が逓減するとの考え方から償却モデルを堅持している。一方、それに対する国内において新たな動きが見られる。
  • IASBは圧倒的多数で非償却モデルの維持を決定した。一方で、現状の懸念点へ対応するために新たな開示要求の議論を開始している。
  • 会計論争は「償却又は非償却」の議論から開示の透明性へと軸足を移動させている。減損テストの仮定やM&A後の実績の説明責任が企業に求められる可能性がある。

目次本記事の内容

  1. 1.今後の動向: IASBによる戦略転換と開示強化の時代
  2. 2.結論:国際的な潮流と国内議論の交錯

1.今後の動向:IASBによる戦略転換と開示強化の時代

 非償却モデルが抱える構造的な課題に対し、国際会計基準審議会(IASB)は、償却への回帰という大胆な変更は選択せず、非償却モデルの維持を前提とした上で、その弱点を「開示の拡充」で補強するアプローチを採用しました。

(1) IASBが公表した開示強化の提案内容

 2024年3月14日、IASBは「企業結合 ― 開示、のれん及び減損」と題する公開草案を公表し 、企業がM&Aに関して投資家に提供する情報の拡充を狙った提案を行いました。IASBのバーコウ議長が述べているように、「取得に関する透明性の増大が投資者の信頼に不可欠である」という趣旨の提案でした。この提案により、国際的な議論の焦点は、単なる「償却か非償却か」という対立から、「非償却モデル下で、いかに情報の適時性、透明性を確保するか」という「情報の質の最適化」の段階へと明確に移行しました。

 公開草案の提案は、投資家が経営者のM&A戦略とその後の成果を検証するための、強力なツールを提供することを意図するものです 。

  • 取得目的・業績目標の報告要求:企業は、最も重要な取得について、その目的及び関連する業績目標(これらがその後の期間において達成されているかどうかを含む)を報告することが要求されます。これは、投資家に対し、経営者がM&Aに踏み切った意図と、その後の結果を検証するための「説明責任(アカウンタビリティ)」を提供し、減損の遅延性を補う「事後報告による監視」の機能を持つことを意図したものになります。
  • 期待されるシナジーの開示:企業はすべての重要性のある取得について期待される相乗効果(シナジー)に関する情報を提供することも要求されます 。
  • 減損テストの透明性向上:減損テストの複雑性への懸念に対応するため、IAS第36号「資産の減損」の的を絞った修正も提案されており 、減損テストに使用される主要な仮定(割引率や予想成長率など)の透明性を高め、投資家が経営者の判断を評価できるようにします。

(2) 日本のASBJ/FASFによる開示要求への実務的な懸念と政策的観点

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