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特別損失の勘定科目とは?仕訳例と税務上の扱いをわかりやすく解説

公開日2025/12/03 更新日2025/12/02 ブックマーク数
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特別損失の勘定科目とは?仕訳例と税務上の扱いをわかりやすく解説

決算期には、損失の扱い方や勘定科目の選定で迷うことも少なくありません。特に固定資産の除却や災害による損失、評価損は、判断すべきポイントが多い分野です。
そのため、会計処理と税務処理の不整合を招く原因になりやすい領域でもあります。

本記事では、特別損失の主な勘定科目、ケース別の仕訳例、税務上の留意点をわかりやすく解説します。

[ 目次 ]

特別損失とは?

特別損失(特損)とは、企業の通常の営業プロセスでは想定されない、突発的・例外的な理由で発生した損失を指します。
日常の取引から継続的に生じる費用とは異なり、企業の本来の収益力を把握するために、損益計算書(PL)では営業外損失とも区分して「特別損失」欄に独立して表示します。

明確な定義が法律で定められているわけではありませんが、実務では次のような特徴をもつものを特別損失として扱うケースが一般的です。

特別損失として扱われやすい損失の特徴

  • 一時的であること(毎期繰り返し発生するのではなく、予測が難しい臨時的な損失である。)
  • 通常の事業活動から生じたものではないこと(営業活動・財務活動とは無関係な性質の損失である。)
  • 金額が大きく、営業外損失として処理するのが適当でないと判断されるもの(多額かどうかは企業規模や会計方針によって異なるため、一律の基準はない。)
  • 性質上「雑損失」など別科目で処理するより、特別損失として区分したほうが財務諸表として適切と判断されるもの

注意すべきポイント

計上には根拠資料の保管が不可欠
税務調査では、損失が実際に発生したことを説明できなければ特別損失として認められない場合があります。契約書、報告書、見積書、事故記録など証憑の整備が必須です。

税務上は必ずしも「特別損失=損金算入」ではない
災害や除却損などは損金算入される一方、評価損などは要件を満たさないと税務上否認されるケースもあるため、法人税法の取扱いを確認する必要があります。

開示では「内容の明示」が求められる
損益計算書(PL)上は「特別損失」とまとめて表示されますが、注記や内訳で損失の種類を開示するのが一般的です。

特別損失に該当する主な勘定科目

特別損失として扱われる勘定科目は多岐にわたりますが、特に登場頻度が高いのは次の項目です。

固定資産除却損

固定資産除却損は、固定資産を売却せずに廃棄・解体・撤去などで処分した際に、その未償却残高(帳簿価額)を損失として認識するための勘定科目です。
老朽化や使用目的の消滅、仕様変更による不要化など、今後の利用価値がなくなった場合に計上されます。
処分に伴う撤去費用や解体費用などを合わせて計上するケースもあるため、どこまでを除却損に含めるかを社内でルール化しておくと決算時のブレを防げます。

ポイント

✔ 除却稟議書、廃棄報告書、スクラップ引取証明などの証憑を必ず残す

✔ 「まだ使える資産」を恣意的に除却しないよう、判断基準を就業規則・固定資産管理規程などに明文化しておく

固定資産売却損

固定資産売却損は、機械設備や建物、車両などの固定資産を売却した際に、売却価額が帳簿価額を下回った部分を損失として計上するための勘定科目です。
売却損が発生する場合は、資産の取得原価・減価償却累計額・売却価額の内訳が分かる資料をきちんと残しておくことが重要です。
売却先が関連当事者である場合は、売却価額の妥当性についても説明が求められることがあります。

ポイント

✔ 売却契約書、見積書、取引先とのメールなど、売却条件が分かる資料をセットで保存する

✔ 関連当事者取引の場合は、第三者価格との比較根拠を準備しておくと監査・税務対応がスムーズに進む

固定資産圧縮損

固定資産圧縮損は、国庫補助金や保険金などの公的補填を受けて取得した固定資産について、その補填額に相当する部分を帳簿価額から減額(圧縮)するために計上する損失です。
いわゆる「圧縮記帳」の一部であり、税務上の特例に基づく会計処理という位置づけになります。
圧縮損を計上することで、補填を受けた期に一度に損金算入し、以降の減価償却費をその分抑える形になります。適用要件や計算方法に誤りがあると、税務上否認されるリスクがあるため注意が必要です。

ポイント

✔ 補助金交付決定通知書や保険金支払通知書など、補填の根拠となる書類をセットで保管する

✔ 圧縮記帳の可否・方法は顧問税理士や監査人と事前に協議のうえ、社内で処理方針を統一しておく

減損損失

減損損失は、固定資産や投資不動産などについて、将来得られると見込まれるキャッシュフローが帳簿価額を下回ると判断された場合に帳簿価額を回収可能価額まで引き下げる際の損失です。
遊休資産や収益性の悪化した事業用資産などが典型的な対象となります。
会計上は、将来キャッシュフローの見積りや割引率の設定など高度な見積りが必要であり、一度減損を認識すると、原則として戻し入れは行いません(※投資不動産など、例外的に戻し入れを認める基準もあります)。
税務上は、減損損失がそのまま損金と認められないケースが多いため、別表での加算調整が必要になる点も要注意です。

ポイント

✔ 減損の判断プロセス(収益性悪化の事実、将来キャッシュフローの前提等)を議事録や社内資料として残す

✔ 税務上の取扱い(損金算入の可否、別表調整の要否)を決算前に税理士と確認しておく

災害損失

災害損失は、地震・台風・水害・火災などの自然災害によって建物や設備、在庫などが損壊・滅失した場合に計上する損失です。
失われた資産の帳簿価額だけでなく、撤去・片付けにかかる費用や、原状回復のための修繕費等を含めて災害損失として処理することがあります。
災害による損失は一時的に多額となるケースが多く、別途保険金収入や公的支援を受ける場合もあるため、同一の災害に関する損失と収益の対応関係を意識した会計処理が求められます。

ポイント

✔ 被害状況を示す写真、保険会社の査定書、修繕見積書などを体系的に保管する

✔ 保険金や補助金の入金時期・金額を踏まえ、損失と保険金収入の発生時期を把握し、会計基準に沿って適切な期間に認識できるよう整理しておくことが重要

前期損益修正損

前期損益修正損は、前期以前の決算で計上漏れ・誤計上があり、当期にまとめて損失を修正する必要が生じた場合に用いる勘定科目です。
たとえば、前期の費用計上漏れが今期発覚し、金額が大きく重要性が高い場合などが典型例です。
本来は過年度遡及修正で対応するのが原則ですが、中小企業や金額が多くない場合などには、当期の特別損失として処理する簡便な方法が認められる場合もあります。採用できるかどうかは会計基準・会社の規模・監査人の判断等によって異なります。

ポイント

✔ 発見経緯や金額、影響を社内で整理し、なぜ当期修正としたのか説明できるようにしておく

✔ 毎年同じような漏れが発生している場合は、業務プロセスの見直し(稟議フロー・締切管理など)もセットで検討する

投資有価証券売却損

投資有価証券売却損は、投資目的で保有している株式・債券などの投資有価証券を売却した際に、売却価額が取得原価(または帳簿価額)を下回った部分を損失として計上するための勘定科目です。
持合株の解消やポートフォリオの見直しなど、戦略的な売却の場面で発生することが多くなります。
有価証券は評価差額をその他有価証券評価差額金等で処理している場合もあるため、売却時にどの金額を基準に損益を計算するかを誤らないよう注意が必要です。

ポイント

✔ 取得原価、評価差額、売却価額の関係が分かるよう、台帳や明細表で管理する

✔ 濃い関係性のある取引先株式等を売却する場合は、経営判断としての背景・理由も含めて議事録化しておくと説明がしやすい

【ケース別】特別損失の仕訳例

特別損失を計上する場面は多様ですが、特に次の3つが典型的です。
それぞれのケースで「どのタイミングで」「どの勘定科目を使うのか」を押さえることで、決算期の迷いを大きく減らせます。

ケース1:固定資産を売却・廃棄した場合

固定資産の売却価格が帳簿価額を下回る場合や、廃棄で未償却残高が残る場合には、差額を特別損失として計上します。除却・売却はいずれも日常的な取引ではないため、簿価と減価償却累計額の確認漏れに注意が必要です。

<仕訳例:備品を廃棄し、未償却残高6万円が残った場合>

借方 貸方
固定資産除却損 60,000 備品 60,000

<仕訳例:帳簿価額12万円の建物付属設備を8万5,000円で売却した場合>

借方 貸方
現金 85,000 建物付属設備 120,000
固定資産売却損 35,000

売却・廃棄の判断は経営判断とセットになることが多く、稟議書や社内決裁書類と仕訳内容が整合しているかもあわせて確認しておきましょう。

ケース2:災害・盗難が発生した場合

火災・水害などの災害で資産が毀損したとき、または盗難に遭ったときには、被害額のうち保険金等で補填されない部分を特別損失として処理します。発生日・被害状況・保険金請求の有無を明確に記録しておくことが、後続の税務調査でも重要です。

<仕訳例:保険金の対象外となった建物の被害額23万円が発生した場合>

借方 貸方
災害損失 230,000 建物 230,000

保険金の支払見込みがある場合は、査定額が確定した段階で、保険金収入や未収入金の計上も検討します。

ケース3:固定資産の価値が下がった場合(減損損失)

固定資産の収益性が低下し、帳簿価額を回収できないと判断された場合、売却価値や将来キャッシュフローの見込額が回収可能価額を下回るときに、減損損失として特別損失を計上します。
減損損失は会計基準に基づく判断が必要で、金額も大きくなりやすいため、決算への影響が大きい論点です。拠点別・事業別の損益を事前に把握し、決算前に減損の必要性と影響額を試算しておくことが重要です。また、事業の再編や固定資産の売却など、経営の意思決定時期が減損認識のタイミングに影響する点にも留意が必要です。

<仕訳例:固定資産の帳簿価額100万円のうち32万円を減損した場合>

借方 貸方
減損損失 320,000 固定資産 320,000

これらのケースは、特別損失として計上される場面の代表例です。決算期に処理が集中しないよう、期中から現物確認や事実関係の整理を進めておくことで決算処理がスムーズになります。

特別損失を計上するときの注意点

特別損失を計上するときは以下の点に注意しましょう。

会計処理と税務処理のズレに注意する

特別損失は、会計上の認識と税務上の扱いが一致しないことが多い項目です。固定資産売却損、固定資産除却損や減損損失は会計では損失として計上できても、税務上はそのまま損金算入が認められないケースがあります。特に減損損失は原則として税務上は損金不算入となるため、別表調整が必要になります。決算の早い段階で「どこで差が生じるか」を把握しておくことが、正確な申告につながります。

税務上「損金」にできるかを確認する

特別損失の中には、税務上損金となるものとならないものがあります。災害や盗難による損失は損金算入が認められやすい一方で、役員の不正や前期損益修正に伴う損失は認められにくいケースもあります。税務調査では金額だけでなく「損失発生の背景」を問われるため、早い段階で税理士と認識をそろえておくと安心です。

証憑の保管と発生根拠を明確にする

特別損失は“例外的な損失”であるため、発生の根拠を示す証憑が極めて重要です。廃棄証明書、罹災証明、盗難の被害届、売却契約書、議事録など、損失の発生を裏付ける資料を整えておくことで、後の税務リスクを大幅に減らすことができます。決算前に「不足している資料がないか」を必ず確認しておきましょう。

欠損金の繰越控除・還付の可能性を把握する

特別損失の金額が大きくなると、欠損金が発生するケースもあります。繰越欠損金を活用すれば翌期以降の課税所得を圧縮でき、結果として法人税負担の軽減につながります。また災害損失が生じた場合には、「災害損失金の繰戻し還付」によって過年度の法人税が還付される可能性もあります。損失処理は資金繰りにも関わるため、税務効果を含めて早めに計画しておくことが重要です。

まとめ

特別損失は、日常的に発生しない取引が多く含まれますので、担当者としては判断に迷う項目ですが、主要な勘定科目の特徴とケース別の仕訳パターンを押さえておけば、決算処理を大きく効率化できます。
会計と税務で扱いが異なる点や、証憑の整備、損金算入可否を事前に確認しておくことで、税務リスクも抑えられます。
まずは自社で発生しやすい特別損失を洗い出し、過去の処理や判断基準と資料整備を見直しておきましょう。

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