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【税理士執筆】税理士が語る“バックオフィスDX”の本質──ツール導入で終わらせないための業務改善戦略(第3回)

公開日2025/12/12 更新日2025/12/11 ブックマーク数
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【税理士執筆】税理士が語る“バックオフィスDX”の本質──ツール導入で終わらせないための業務改善戦略(第3回)

中小企業にとって「バックオフィスの生産性向上」は、これまで以上に経営の重要論点となっています。インボイス制度や電帳法対応など、法改正の波が「待ったなし」のスピードで押し寄せる中、従来型の紙運用や人手依存の業務では対応しきれません。

本稿では、税理士として数多くの企業支援に携わった経験から、“ツールを入れただけでは変わらない”というDXの落とし穴を紐解き、真に成果の出るバックオフィスDXの進め方を整理します。

第1回目記事はこちら

第2回記事はこちら

宮川 大介 様
執筆者

執筆者

sankyodo税理士法人 CTO 税理士
宮川 大介

sankyodo税理士法人 CTO 税理士
宮川 大介

2009年より都内税理士法人にて中小零細企業から上場会社の税務を担当。
連結納税システム導入コンサルティングでは述べ100社以上の導入に関わり、講師等を担当。
システムエンジニアの経験を活かし、生産性向上を目的とした会計・税務システムの導入および業務改善コンサルティングを行う。
2019年にsankyodo税理士法人へマネージャーとして入社、2021年よりパートナーに就任。

sankyodo税理士法人(サン共同税理士法人)では、業界全体の生産性向上を目指し、DX・AI活用の実例を公開する 「事務所見学会」 にも取り組んでいます。実務での活用ステップや運用体制など、日々の業務改善に役立つポイントを共有する場として、 多くの会計事務所の方にご参加いただいています。

税理士の視点から見た「DXに失敗する企業」の共通点

DXは「ツール導入のこと」だと誤解されがちですが、実際には業務プロセスそのものの再設計が本質です。
税理士として多数の企業の内部管理とDX導入に関わる中で、DXに失敗する企業には明確な共通点が存在します。

そしてそれは、企業規模や業種に関係なく発生している“構造的な問題”でもあります。以下では、特に失敗要因として多い3つを取り上げ、実例を踏まえながら解説します。

導入目的が曖昧で現場がついてこない

DXがうまくいかない企業の最大の要因は、目的とゴールが曖昧なまま始めてしまうことです。多くのDX失敗例は、次のような流れで起こります。

・なんとなく「紙を減らしたい」「業務効率化したい」
・周りがやっているから「クラウドを導入してみる」
・とりあえずツールを入れたが運用が固まらない
・結果、誰も使わない「宝の持ち腐れシステム」に

これらはすべて「目的の不明確さ」に起因しています。

目的が曖昧だと現場は動きません。現場の本音は、「自分たちの負担が増えるくらいなら今のままでいい」というものです。
そのため、経営側の意図が共有されていない状態では、抵抗感が生まれ、結果として“形だけDX”になります。

支援現場では、次のような企業はDXに成功しやすいと感じます。

・DXの目的が「経営の意思決定を早める」「属人化を解消する」など明確である
・導入前に“変える業務”と“変えない業務”が整理されている
・現場を巻き込み、業務フローを一緒に作る
・経営層が旗振り役としてコミットしている

反対に、「クラウドを入れれば勝手に効率化する」と考えている企業はほぼ失敗します。

DXは“システム導入”ではなく、業務と組織を同時に変革するプロジェクトです。目的に納得できない現場が動かないのは当然であり、ここを押さえない限りDXは定着しません。

顧問税理士・会計事務所との連携ができていない

意外に見落とされがちですが、DXで失敗する企業の大きな特徴が税理士・会計事務所をDXの設計から外してしまうことです。

中小企業の経理DXは次の3者が連動しなければ成立しません。

・企業内の管理部門
・導入するシステム(クラウド会計・ワークフローなど)
・税理士

どれか1つでも欠けると、どこかに無理やムダが生じ、業務全体が歪みます。

税理士から見ると、バックオフィスDXには“決算に耐えられるデータ設計”が不可欠です。仕訳ルール、勘定科目の構造、インボイスの管理方法──これらは税務の専門知識がないと最適化できません。

実際、DX成功企業は次のように「税理士をDXの中核メンバー」に入れています。

・経理フローの再構築を税理士と共同で設計
・月次決算の締め日や資料形式を共有
・API連携の要否を税理士と相談
・請求書・領収書の管理ルールを合意
・システム運用後も月次で改善ミーティング

こうした関与があることで、「経理がバラバラにならない」「決算もスムーズ」「内部統制も強化」という状態が実現します。

紙での裏運用が残っている

最も多いDX失敗パターンが「DXを導入したつもりが、旧来のやり方も残ってしまい、二重業務になる」状態です。これを私は支援現場で「DX風」と呼んでいます。

よくある例は次の通りです。

・経費精算システムを導入したが、紙の領収書も提出させている
・電子データ保存できているのに、紙の請求書をファイリングしている
・ワークフローを作ったが、上司が「紙も見たい」と言って確認している
・勤怠管理システムを入れたのに、Excelも併用

これはDXではなく、システムの上に旧習を積み上げただけの状態です。むしろ業務量は増え、現場からは不満しか出ません。

企業がこうなる最大の原因は、「業務要否の判断をせずにシステムだけ導入する」ことにあります。

紙文化が残る理由はシンプルです。

・過去の慣習で「紙のほうが安心」
・上長がデジタルに不慣れで紙で確認したい
・紙がないと提出物が漏れる気がする
・過去の監査で紙を求められた経験がある
・そもそも“廃止する決断”をしていない

DX成功企業はここを徹底しており、「紙を廃止するルール設計」と「廃止しても問題ない証拠管理」を最初に整えます。

紙を残した瞬間、DXは止まります。「紙ゼロの覚悟」を持てるかどうかが成否を分けると言っても過言ではありません。

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