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賃金支払いの5原則とは|例外・デジタル払い・残業代計算まで徹底解説

公開日2025/12/30 更新日2025/12/24 ブックマーク数
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賃金支払いの5原則とは|例外・デジタル払い・残業代計算まで徹底解説

賃金支払いの5原則は、労働基準法24条で定められた「通貨払い・直接払い・全額払い・毎月1回以上払い・一定期日払い」の5つのルールを指し、すべて労働者保護を目的とした強行規定です。
近年は銀行振込やデジタル払いなどの例外も認められていますが、いずれもこの5原則の趣旨を損なわない範囲で限定的に容認されています。

この記事では、5原則の内容や例外となるケース、違反時の罰則まで、管理部門が押さえるべきポイントをわかりやすく解説します。

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[ 目次 ]

賃金支払いの5原則とは

労働基準法24条は、賃金について「通貨で、直接、全額を、毎月1回以上、一定の期日に支払うこと」を使用者に義務付けています。
これにより、賃金の未払い・遅延・不当控除などを防ぎ、労働者の生活の安定を図る仕組みになっています。

通貨払いの原則

賃金は日本円の通貨で支払うことが原則であり、物品や社内通貨・商品券などでの支払いは原則認められません。
通貨払いが求められるのは、会社側が自社商品や社内ポイントなどで支給することで、実質的に賃金価値を切り下げる行為を防ぐためです。
現金・預金という換金性の高い形で賃金を受け取れるようにしておくことが、労働者保護の中核とされています。
もっとも、労働者の同意を得た銀行振込や、要件を満たす資金移動業者口座へのデジタル払いなどは、通貨払いの例外として認められています。

直接払いの原則

賃金は原則として労働者本人に直接支払わなければならず、会社や家族が勝手に受け取ることは認められません。
これは会社や同居家族による「肩代わり回収」や不正な中間搾取を防ぎ、賃金が確実に本人の手元に届くようにするためのルールです。

もっとも、例外として、労働者が労働組合に受領を委任している場合や、病気・長期入院などで家族が「使者」として受け取りに来る場合などは、本人への支払いと同視できる範囲で容認されます。
この場合も、任意の代理人ではなく、社会通念上本人への支払いと同等と認められるかがポイントになります。

全額払いの原則

会社は、法令または労使協定で認められた場合を除き、賃金から一方的に天引き(控除)することはできません。
勝手な罰金・弁償・社内販売代金などを控除することは、賃金の全額払いの原則に反し違法となる可能性が高いです。

例外として認められる控除は、所得税・住民税・社会保険料など法令に基づくもののほか、社宅費・財形貯蓄・社内預金・組合費などについて労使協定(いわゆる賃金控除協定)を締結した場合です。
この賃金控除協定は36協定とは別の協定であり、過半数代表者または労働組合との書面締結が必要となります。

毎月1回以上の原則

賃金は毎月少なくとも1回以上支払う必要があり、数カ月分まとめて支払うことは認められません。
これは、労働者の生活費が途切れないよう、一定間隔で賃金を受け取れるようにする趣旨です。

ただし、賞与や結婚祝い金などの臨時の賃金は、この「毎月1回以上」の対象外とされています。
賞与や結婚手当などの臨時の賃金は、労働基準法24条の規定により「毎月1回以上」の原則の適用が除外されています。

一定期日払いの原則

賃金の支払日は「毎月25日」「毎月末日」など、あらかじめ一定の日を定めておく必要があります。
会社側の都合で支払日をその都度変更したり、「今月は資金繰りが厳しいので1週間遅らせる」といった運用は原則認められません。

実務では「月末締め翌月25日払い」「15日締め当月25日払い」などの慣例が多く、就業規則や賃金規程に明記するのが一般的です。
不当に支払日を繰り下げたり遅延させた場合、未払い賃金として指導・是正の対象となり、場合によっては付加金のリスクも生じます。

賃金支払いの5原則の例外

賃金支払いの5原則には、実務運用を踏まえた例外が設けられています。
銀行振込やデジタル払い、税金・社会保険料の控除、賞与・退職金などは、法令や労使協定に基づく「許される例外」として位置付けられており、原則を損なわない範囲で認められています。

通貨払いの原則の例外(銀行振込・デジタル払い)

労働者の同意を前提に、銀行・信用金庫・信託銀行などの預貯金口座への振込は、通貨払いの例外として長年認められています。
賃金を預金として自由に引き出せることから、事実上の通貨払いと評価されているためです。

2023年4月に労働基準法施行規則が改正され、給与デジタル払い制度が解禁されました。
その後、2024年8月9日にPayPay株式会社が国内初の指定資金移動業者として厚生労働大臣の指定を受け、実際の運用が開始されました。
2025年12月時点では、PayPay株式会社、株式会社リクルートMUFGビジネス、楽天Edy株式会社、auペイメント株式会社の4社が指定を受けています。

PayPayなどの指定を受けたスマホ決済サービスに賃金を振り込む形ですが、あくまで通貨払いの例外として、残高の払戻しや安全性確保など厳格な要件が課されています。

直接払いの原則の例外

労働組合が賃金の支払いを受け、組合費控除等を行ったうえで組合員に分配する方式は、判例・通達上一定の条件のもとで認められています。
また、病気や長期入院などで本人が受け取れない場合、配偶者や親族が「使者」として受領することは、本人への支払いと同視される限り例外として許容されます。

全額払いの原則の例外

全額払いの例外として、所得税・住民税・健康保険・厚生年金・雇用保険など法令に基づく控除に加え、労使協定による控除が認められます。
社宅家賃や社員食堂代、財形貯蓄、組合費などを賃金から差し引く場合は、必ず賃金控除協定を締結しておく必要があります。

一方、従業員に無断で損害賠償金や罰金、貸付金返済などを天引きすることは原則として違法となるため注意が必要です。
控除項目の範囲や運用は、就業規則と合わせて明文化し、本人への説明・同意を徹底することが求められます。

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毎月1回以上・一定期日払いの例外

賞与や退職金などの臨時的な賃金については、「毎月1回以上」「一定期日払い」の原則の適用対象外とされています。
ただし、就業規則等で支給日や算定方法を明記している場合、その規定に反する一方的な不支給や過度の遅延は別途トラブルとなり得ます。

また、歩合給など、算定に一定の時間的ラグが生じる賃金については、計算・締め処理の時間を考慮し、支払期日が変動することは許容されています。
しかし「確定日が曖昧」「いつ支払われるかわからない」という運用は問題となるため、算定期間・支払期日をできるだけ明確に規程化することが重要です。

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残業代の計算方法

残業代は「1時間あたりの基礎賃金」「残業時間数」「法定の割増率」の3要素を正しく押さえることが重要です。
ここが曖昧なまま運用すると、計算ミスや未払いが発生しやすく、後の大きなトラブルにつながりかねません。

1時間当たりの基礎賃金を計算する

残業代は「1時間当たりの基礎賃金 × 割増率 × 残業時間」で計算します。
基礎賃金に含めるのは、基本給・職務手当など労働時間と密接に関連する手当であり、家族手当・通勤手当・住宅手当など一定の性質の手当は除外されます。

月給制の場合、基礎時給は「(月給+割増対象手当の月額)÷1カ月の所定労働時間」で算出するのが一般的です。
この基礎賃金の取り方を誤ると、残業代の過少支給につながりやすいため、対象手当の整理と就業規則上の定義が重要になります。

残業時間数を正しく集計する

残業時間は、所定労働時間を超えた実労働時間のうち、法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えた部分が「時間外労働」として割増対象になります。
みなし残業(固定残業代)制度を導入する場合でも、超過分の時間外労働を別途集計・支給する必要があり、タイムカードや勤怠システムの打刻データ管理が不可欠です。

変形労働時間制やフレックスタイム制では、清算期間全体で法定労働時間を超えた部分を時間外労働と見るため、日単位ではなく期間単位での集計ミスが生じやすくなります。
打刻修正や丸め処理を過度に行うと、実労働時間との乖離が問題視されるため、ルールを明文化し、客観的記録をベースに集計することが求められます。

残業代を計算する

法定時間外労働には25%以上の割増、法定休日労働には35%以上の割増、深夜労働(22時〜5時)には25%以上の割増が必要です。
さらに、月60時間を超える時間外労働については、中小企業への猶予措置経過後、50%以上の割増が義務付けられています。

深夜時間帯の時間外労働や休日深夜労働では、割増率が加算され、時間外25%+深夜25%=50%、休日35%+深夜25%=60%以上の割増となる点にも注意が必要です。
アルバイト・短時間労働者であっても、法定労働時間を超える部分や深夜・休日労働については同様の割増賃金支払い義務があるため、「パートだから不要」といった扱いは違法となり得ます。

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賃金支払いの5原則の違反例・罰則

賃金未払い・支払遅延・根拠のない天引き・不当なデジタル払い強制などは、いずれも賃金支払いの5原則違反として問題になります。
具体的には、残業代不払い、月給の一部を「罰金」名目で控除、賃金支払日を繰り返し遅延させる事例などが、実務上頻発しています。

労基法24条に違反した場合、使用者には30万円以下の罰金刑が科される可能性があり(労基法第120条)、悪質な未払いについては付加金支払いが命じられるケースもあります。
労働者から労働基準監督署に申告があった場合、調査・是正勧告・指導・報告徴収などを経て、なお是正が行われないときには司法処分の対象となることもあります。

賃金支払いの5原則に関するよくある質問(FAQ)

Q:5原則とは何ですか?

賃金支払いの5原則とは、労働基準法24条に定められた「通貨払い・直接払い・全額払い・毎月1回以上払い・一定期日払い」の5つのルールをいいます。
いずれも労働者の賃金が不当に減額・遅延・不払いとならないようにするための最低基準であり、就業規則等でこれを下回る定めは無効です。

Q:賃金支払い5原則に違反するとどうなる?

5原則に違反する賃金支払いを行った場合、労働基準監督署から是正勧告や指導を受け、未払い分の支払い・就業規則の変更などを求められます。
悪質または是正に応じない場合、労基法第120条に基づき30万円以下の罰金刑が科される可能性があり、民事上は未払い賃金や付加金の請求リスクも生じます。

Q:給料の支払いルールは?

給料(賃金)は、労基法24条に基づき、通貨で・直接本人に・全額を・毎月1回以上・一定の期日に支払うことが原則です。
銀行振込やデジタル払い、税・社会保険料の控除、賞与・退職金などについては、法令および通達・省令で認められた範囲で例外運用が可能とされています。

Q:労働五原則とは?

「労働五原則」は、憲法や労基法の基本理念として挙げられる「均等待遇」「男女同一賃金」「労働条件の明示」「強制労働の禁止」「中間搾取の排除」などの総称として用いられることが多い用語です。
賃金支払いの5原則とは異なる概念であり、賃金の支払方法というよりも、労働関係全般に関する基本的な考え方を示したものと理解されます。

まとめ

賃金支払いの5原則は、通貨払い・直接払い・全額払い・毎月1回以上・一定期日払いという、賃金支払いに関する最低限のルールです。
デジタル払いを含む支払方法の多様化が進む中でも、この原則の趣旨は変わっておらず、管理部門には例外規定や残業代計算ルール、違反時のリスクまで含めて制度設計・運用を行うことが求められます。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。

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