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企業グループを管理するうえで、「関連会社」や「関係会社」という言葉は頻繁に登場します。
しかし、両者の定義や扱いを正確に説明できず、社内で混同されるケースも少なくありません。
この記事では、両者の定義・違い・実務上の留意点を整理し、自社グループの位置づけを正しく把握するためのポイントを解説します。
まず最初に、両者の基本的な定義を整理します。
関連会社とは、他の会社から財務および事業方針について重要な影響を受けている会社で、一般に議決権の20%以上50%以下を保有されている会社をいいます。
一方で関係会社は、財務諸表等規則上、親会社・子会社・関連会社に加え、自社を関連会社とする他社までを含めた総称であり、いわば企業グループ全体を指す広い概念です。
親会社と子会社の関係は、原則として一方の会社が他方の会社の議決権の過半数(50%超)を直接または間接に保有しているかどうかによって判断されます。
そのうえで、財務諸表等規則では「親会社・子会社・関連会社など、支配または重要な影響関係にある会社」をまとめて関係会社と定義しており、開示や会計処理の場面では、この「関係会社」区分に基づき勘定科目(関係会社株式など)や注記区分が決まる仕組みになっています。
会計上の関連会社(持分法適用関連会社)は、原則として議決権割合が20%以上50%未満で、一定の影響力を有する会社を指します。
ただし、議決権が15%以上20%未満の場合でも、役員の派遣、重要な融資、技術提供、重要な取引など一定の要件を満たせば関連会社となります(企業会計基準第16号第5-2項)。
ここでいう「影響力」とは、経営方針の決定に参加できる程度の関係であり、支配(過半数の議決権)までは及ばない水準です。
会計上は以下のように扱われます。
関連会社への出資は、単なる金融資産としての保有ではなく、経営関与を前提とすることが多く、会計処理にも影響します。
両者を混同しやすい理由は、一般的なビジネス用語として似た文脈で使われることが挙げられます。
しかし、会社法や財務諸表等規則といった法的視点と会計的視点で見ると、両社の性質は明確に異なります。
| 項目 | 関連会社 | 関係会社 |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 会計基準(企業会計基準第16号など) | 財務諸表等規則 |
| 持株比率の目安 | 20%以上50%未満 | 親会社・子会社・関連会社を含む広義概念 |
| 支配関係 | なし(影響力のみ) | 含む(支配関係あり) |
| 会計処理 | 持分法の対象 | 開示・届出などの法的対象 |
| 範囲の広さ | 狭い(投資関係中心) | 広い(企業グループ全体) |
「関係会社」は、親会社・子会社・関連会社をすべて含む“一族”のような広い概念。
「関連会社」は、その中の「親子ほどではないが影響力を持つ会社」と覚えると整理しやすいでしょう。
たとえば、親会社Aが子会社Bを支配し、BがC社に対して20%を出資している場合、C社はB社の関連会社であり、A社にとっても関係会社に該当します。
グループ構成を図にすると次のようになります。
親会社A
┗ 子会社B(持株70%)
| ┗関連会社C(持株30%)
└ 子会社D(持株60%)
このように「関係会社」はグループ全体を俯瞰、「関連会社」は一部の出資・影響関係を示す用語と整理できます。
会社法上、「関係会社」については、親会社・子会社の関係を明らかにするため、開示義務や議決権制限などが定められています。
たとえば、支配関係にある会社間の取引(親子間取引)は、利益相反防止の観点から取締役会承認や開示が求められる場合があります。
一方、会計上の「関連会社」は、投資判断と財務報告を適正に行うための概念であり、会社法上の権利義務関係とは直接的に対応しません。
したがって、法律文書と会計資料で用語の意味が食い違うことがあります。
関連会社・関係会社の区分は、会計処理や開示、内部統制など実務対応に直結します。
誤ると法令違反や決算ミスにつながるため、ここでは主要な留意点を整理します。
とくに上場企業では、関係会社の範囲や持分法の適用有無を誤認すると、開示上の重大な誤りにつながるため注意が必要です。
A. 関連会社は会計上の「影響力のある会社」、関係会社は会社法上の「広いグループ概念」です。
A. グループ会社は法律用語ではなく、一般的・商慣習的な呼称です。
A. はい、あり得ます。
議決権が15%以上20%未満の場合でも、役員派遣、重要な融資、技術提供、重要な取引など一定の要件のいずれかを満たせば、関連会社とみなされます(企業会計基準第16号第5-2項)。
関連会社と関係会社という用語は似ていますが、会社法と会計基準で目的が異なります。
関係会社は企業グループ全体を捉える法的な概念、関連会社は出資関係を通じた経営影響力という会計上の概念です。
実務では、定義を正確に理解したうえで、開示・決算・契約書などで用語を正しく使い分けることが求められます。
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