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「時間単位の有給」導入企業が増加中!メリット・デメリットから導入・運用まで徹底解説

公開日2026/01/10 更新日2026/01/10 ブックマーク数
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「時間単位の有給」導入企業が増加中!メリット・デメリットから導入・運用まで徹底解説

有給休暇の取得義務化やテレワークの広がりを背景に、時間単位で取得できる有給休暇(以下、時間単位年休)への注目が集まっています。

一方で、法的な位置づけや年5日の取得義務との関係、半日年休との併用可否、テレワーク中の扱いなど、制度設計や運用面で悩む人事・労務担当者も少なくありません。

本記事では、時間単位年休の基本的な仕組みと法的根拠、導入するメリット・デメリット、社内に制度を整えるためのステップ、そして実務でよくある疑問点までをわかりやすく解説します。

[ 目次 ]

有給の時間単位取得とは?

時間単位の年次有給休暇(以下、時間単位年休)とは、通常1日または半日単位で取得する年休を、1時間など細かい単位で取得できる制度です。

短時間だけ休みたい場面でも柔軟に対応できる点が特徴で、厚生労働省も時間単位年休の導入を推進しています。

参考:厚生労働省│時間単位の年次有給休暇制度を導入しましょう!

有給を時間単位で取得できる仕組み

年次有給休暇は原則1日単位で取得しますが、労使協定を締結することで「年5日の範囲内」に限り、時間単位で取得できる仕組みが認められています。
導入にあたっては、以下の2点の対応が必須です。

・就業規則に時間単位年休に関する規定を明記する
・労働者代表と書面による労使協定を締結する(届出は不要)

労使協定では、「対象者の範囲」「1日分に相当する時間数」「取得単位(1時間など)」「年間の取得上限(5日以内)」を定めます。
これにより、企業は制度として正式に時間単位での取得を認めることができ、労働者は必要な時間だけ休むことが可能になります。

法的根拠と運用上の重要ポイント

時間単位年休について、厚生労働省はパンフレットで次のように示しています。

・時間単位取得は「年5日の範囲で可能」
・所定労働時間数を基に企業が定める
・1時間未満の端数がある場合は切り上げて設定
・労使協定の対象者は原則すべての労働者とすることが望ましい

参考:厚生労働省│時間単位の年次有給休暇制度を導入しましょう!

なお、時間単位で取得した分は、企業に義務付けられている「年5日の年次有給休暇の確実な取得(時季指定義務)」に充当することはできません。
企業は別途、労働者に年5日を確実に取得させる必要があります。

有給の時間単位取得が増えている背景

時間単位年休が広がっている背景には、通院や子どもの学校行事、家族の介護といった「短時間だけ休みたい」というニーズの高まりがあります。
さらに、働き方改革の推進によって、企業には柔軟な休暇制度の整備が一層求められるようになりました。

実際には、制度導入から半年で延べ150人以上が利用し、年休取得率の向上に結びついた企業事例も厚生労働省から紹介されています。
このように、従業員と企業の双方にメリットがある制度として、時間単位年休の普及は着実に進んでいます。

有給を時間単位で取得するメリット・デメリット

以下で、時間単位年休を導入する上での従業員側と企業側のメリット・デメリットを解説します。

労働者のメリット

短時間だけ休めるため、柔軟に予定が組める

時間単位年休を活用することで、通院や子どもの送り迎え、役所手続きなど、短時間で済む予定に合わせて必要な時間だけ有給を取得できます。
1日全てを休む必要がなくなり、従業員は自分の生活リズムに合わせて働き方を調整しやすくなります。

1日単位では消化しづらい有給を有効活用できる

「丸1日休むほどではない」という場面でも、時間単位で細かく有給を使えるため、年休を無駄なく活用できます。
結果として、有給休暇の取得率向上や計画的な消化にもつながりやすく、休暇制度をより有効に使えるようになります。

ワークライフバランスが向上する

数時間単位での調整が可能になることで、従業員は仕事とプライベートを両立しやすくなります。
子育てや介護と並行して働く人にとっても負担が軽減され、結果的にストレスの軽減や働きやすさの向上につながります。

企業のメリット

欠勤を抑え、業務への影響を最小限にできる

1日単位の休暇ではなく、必要な時間だけ休めるようになることで、丸一日不在になるケースを減らせます。
そのため業務の中断が最小限に抑えられ、現場の負担軽減や業務継続性の向上に影響します。

従業員満足度の向上、離職防止にもつながる

柔軟な休暇取得が可能になると、従業員の働きやすさが高まり、会社への満足度も向上します。
結果として、離職率低下や長期的な人材定着につながりやすく、企業の人事戦略にもプラスに働きます。

柔軟な制度が採用力の向上・定着強化に貢献する

働き方の柔軟性は、求職者にとって魅力的なポイントです。
時間単位年休を導入する企業は、求職者から「働きやすい企業」と評価されやすく、採用活動における競争力向上にもつながります。

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企業のデメリット

勤怠管理が複雑化し、労務負担が増える

時間単位での取得を管理するため、従来より勤怠計算や残日数管理が複雑になりがちです。
特にExcelや手作業で運用している企業では、管理ミスのリスクや担当者の負担が増える可能性があります。

業務の流れが分断され、生産性が低下する可能性がある

短時間での休暇取得が増えると、担当者が不在になるタイミングが細切れに発生し、業務の流れが途切れやすくなります。
情報共有や引き継ぎが必要になる場面が増え、チーム全体の生産性が下がる可能性があります。

シフト調整・人員配置が難しくなる場合がある

特定の時間帯に業務が集中する飲食・小売・医療・介護業界では、時間単位で休む従業員が増えると人手不足が生じやすくなります。
シフト調整の難易度が上がり、一部の従業員に負担が偏るリスクもあります。

企業が有給の時間単位取得制度を導入する方法

時間単位の年次有給休暇(時間単位年休)を導入するには、企業側でいくつかの準備が必要になります。
なかでも、労使協定の締結や就業規則の改定、勤怠管理の仕組みづくりなど、制度を円滑に運用するための土台づくりが重要です。
以下では、導入の流れと押さえておくべきポイントを整理します。

① 労使協定を締結する

時間単位年休を導入する際は、まず企業と労働者側で労使協定を締結する必要があります。
労使協定は、労働組合または従業員代表と話し合い、制度の基本ルールを取り決めるためのものです。

協定で定める主な項目は次のとおりです。
・年間の取得上限(現行法では5日=40時間まで)
・対象者の範囲(フルタイム、パートなど)
・適用開始日や運用方法

また、2025年度には上限拡大の可能性も議論されているため、法改正の動向を確認しながら協定内容を検討することが求められます。

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② 取得ルールを決める

制度導入後に混乱が生じないよう、従業員が取得する際の細かなルールもあらかじめ定めておきます。

設定項目の例は以下のとおりです。
・取得単位:1時間単位、2時間単位など
・年間の取得上限:5日分(40時間)まで
・申請方法:事前申請の有無、当日申請を認めるか
・承認フロー:上長承認が必要か、申請のみで取得できるか

業務への影響を考え、当日申請の制限や、最低取得時間を設ける企業もあります。
こうしたルールを明確にし、従業員が利用しやすい環境を整えることが大切です。

③ 就業規則に反映する

労使協定で決定した内容を正式なルールとするため、就業規則に反映させます。

記載するポイントとしては、
・時間単位年休の取得方法(手続き・単位・範囲)
・取得制限の有無や例外(繁忙期の扱いなど)
・他の有給休暇との関係(消化の順序など)

といった内容が挙げられます。

また、改定後は従業員に内容を丁寧に説明し、運用に誤解が生じないよう周知することが重要です。
特に管理職には、休暇申請への対応方法や実務上の判断基準を事前に共有しておきましょう。

④ 勤怠管理システムを整備する

時間単位で年休を管理するためには、勤怠管理の仕組みも見直す必要があります。

まずは、現在使用している勤怠システムが時間単位年休に対応しているかを確認し、非対応の場合は改修や新システム導入を検討します。

紙やExcelで管理している企業では、計算ミスや管理負担が増える可能性が高いため、クラウド型勤怠システムの導入が有効です。
システム整備により、管理者の作業負担を減らすだけでなく、組織全体の生産性向上にもつながります。

⑤ 従業員に周知し運用開始する

制度を実際に運用する際は、従業員に対して取得ルールや手続き方法をしっかり伝え、理解を深めてもらうことが欠かせません。

周知方法の例
・社内説明会で制度内容を共有する
・マニュアルやFAQを社内ポータルに掲載する
・管理職向けに実務研修を実施する

特に管理職は、繁忙期の調整方法や時季変更権の運用など、実務判断を求められる場面が多いため、十分な説明とサポートが必要です。

有給の時間単位取得に関するよくある質問

時間単位年休を付与すると、残日数(残時間)はどう計算されますか?

時間単位年休を導入した場合でも、年次有給休暇は法律上「1日単位」で与えることが原則です。
そのため、残日数の管理も基本的には “日数+時間数” で管理する方法(A方式) が適切とされています。

たとえば、所定労働時間が8時間の従業員が3時間の時間単位年休を取得した場合、

・年休20日のうち → 19日と5時間 ・時間単位年休5日枠のうち → 4日と5時間

というように「日+時間」で計算します。

一方で、5日分(40時間)を単純に「時間のみ」で管理する方法(B方式)を採用しても直ちに違法ではありませんが、厚生労働省の考え方からは 日数管理が原則 とされています。

また、時間単位年休として取得した時間の合計が所定労働時間数(1日分に相当する時間数)に達した場合は、1日分の年休を取得したものとして扱われる点(切り上げ)にも注意が必要です。

時間単位年休と半日年休は併用できますか?

併用は可能ですが、管理方法に注意が必要です。

半日年休は法的に認められた「0.5日」の特例であり、必ず日数単位で管理するのが原則 とされています。
したがって、時間単位年休のように時間換算して混同して管理することは適切ではありません。

たとえば、「19日と5時間」残っている状態で半日(0.5日)休んだ場合は、「18.5日と5時間」のように、日数部分だけ0.5日を減算します。

ただし、半日年休の取り扱いについて労使協定で別の定めをしても、法律を下回らない限り問題はありません。
実務では、誤解を防ぐためにも 時間単位年休=時間管理/半日年休=日管理 と区別することが推奨されています。

テレワーク中でも時間単位年休は使えますか?

はい、テレワーク中でも時間単位年休は利用できます。
特にテレワークでは、通院や家庭の事情による「中抜け時間」が発生しやすく、労使協定で定めておけば、この中抜け部分を時間単位年休に充てる運用が可能です。

たとえば、1時間だけ通院のため離席する、家族対応で一時的に業務を離れるといったケースでも、必要な時間分だけ時間単位年休を使うことができます。

企業としては、テレワークの柔軟性を活かすためにも、中抜け時間の扱いや申請方法、勤怠管理のルールなどを事前に明確にし、管理職にも適切な運用方法を共有しておくことが重要です。

まとめ

時間単位の年次有給休暇は、従業員にとっては「必要なときに必要なだけ休める」柔軟な制度であり、企業にとっても、欠勤リスクの抑制や満足度向上、採用・定着力の強化につながる有効な選択肢です。

その一方で、勤怠管理の複雑化やシフト調整の難しさなど、制度設計と運用の両面で、入念な準備と慎重な対応が求められます。

導入にあたっては、労使協定・就業規則・勤怠システム・社内周知などのポイントを押さえ、半日年休との区別やテレワーク中の中抜けの扱いなど、現場で迷いやすい論点をあらかじめ整理しておくことが重要です。

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