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社会保険料の勘定科目と仕訳の正しい考え方|実務で迷いやすいポイントを解説

公開日2026/02/14 更新日2026/02/13 ブックマーク数
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社会保険料の勘定科目と仕訳の正しい考え方|実務で迷いやすいポイントを解説

社会保険料は、健康保険・厚生年金保険・雇用保険など、企業と従業員の双方にとって欠かせない制度です。
しかし、「どの保険料を誰が負担するのか」「勘定科目はどう使い分けるのか」「仕訳はどのタイミングで計上すべきか」など、迷いやすいポイントが多くあります。

本記事では、社会保険・社会保険料の基本から、勘定科目の選び方、よく使われる仕訳例、注意点までを体系的に解説します。

[ 目次 ]

社会保険・社会保険料とは

社会保険とは、病気やケガ、失業、老後といった生活上のリスクに備えるための公的な保険制度です。
加入者が一定の条件を満たすことで、療養費や休業補償、年金、失業給付など、さまざまなサポートを受けられます。

日本では任意加入ではなく、一定条件を満たすすべての事業主と従業員に加入義務が生じる点が特徴です。
その社会保険の仕組みを支える財源が「社会保険料」です。

社会保険の種類

社会保険は、大きく5つの制度で構成されています。
雇用保険と労災保険をまとめて「労働保険」と呼ぶ場合もありますが、ここではそれぞれ社会保険の一種として取り上げています。

健康保険:病気・ケガに備える

健康保険は、病気やけがの際の医療費負担を軽減する制度です。

療養中の収入減を補う傷病手当金、出産育児一時金、埋葬料など、加入者や家族を支える多様な給付があります。

参照:全国健康保険協会「制度の目的」

介護保険:要介護・要支援に備える

介護保険は、加齢や病気によって介護が必要になった人を支えるための制度です。
40歳以上の従業員が保険料の対象となり、要介護・要支援認定を受けると、介護サービスを利用する際の給付が受けられます。

参照:厚生労働省「介護保険制度の概要」

厚生年金保険:老後・障がいに備える

厚生年金保険は、老齢、障がい、死亡に対する年金を給付する制度です。
対象者は国民年金と厚生年金の2階建てで年金制度に加入し、本人だけでなく遺族への年金給付も含まれます。

参照:日本年金機構「厚生年金保険」

日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

雇用保険:雇用継続や再就職を支援する

雇用保険は、失業した人の生活を支えたり、企業の雇用維持を支援したりする制度です。
失業給付のほか、雇用調整助成金など、事業者向けの助成制度も含まれています。

参照:厚生労働省「雇用保険制度」

労災保険:業務・通勤災害を補償する

労災保険は、業務中・通勤中の事故により生じたケガや病気を補償する制度です。
治療費や休業補償に加え、社会復帰支援、死亡時の遺族年金・一時金の給付等があります。
労災保険料は企業が全額負担します。                   

参照:厚生労働省「労災補償」

社会保険料の概要

社会保険料とは、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険といった各種保険の加入者が負担する保険料を指します。
このうち、従業員と企業が負担を分担するのは健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険の4種類で、労災保険のみ企業が全額負担します。

法人(株式会社・合同会社など)は、従業員数に関係なく「強制適用事業所」として社会保険の加入義務があり、加入条件を満たす従業員は必ず社会保険に加入します。
従業員負担分の社会保険料は企業が給与から天引きし、事業主負担分と合わせて納付するため、従業員が自ら手続きする必要はありません。

社会保険料の勘定科目

社会保険料は、従業員が負担する分と事業主が負担する分とで、使用する勘定科目が異なります。

企業が負担する社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険)は、「法定福利費」として処理します。
一方、従業員の給与から天引きした社会保険料(従業員負担分)は、「預り金」または「法定福利費」で計上するのが一般的です。

なお、費用として計上できるのは事業主負担分のみであり、従業員負担分はあくまで従業員の負担分を立て替えて納付しているにすぎないため、企業の費用にはなりません。
社会保険料の仕訳では、両者を明確に区別し、適切な勘定科目で処理することが重要です。

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社会保険料の仕訳例

社会保険料は月単位で計算され、従業員から徴収した保険料と会社負担分を合わせて翌月末日までに支払います。
そのため社会保険料の経理処理では、会社負担分と従業員負担分を正しく区分する必要があります。
負担する主体によって使用する勘定科目が異なるため、どのようなケースでどの仕訳を切るべきかを理解しておくことが重要です。

ここでは、日常業務で特によく発生する4つの代表的なパターンを、具体例とともに整理します。

会社負担分を未払費用に計上するケース

会社負担分の社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険)は、発生時点で費用処理し、納付が翌月以降となる場合は「未払費用」を使って計上します。

例:会社負担分 35,000円を当月末に計上する場合

借方 貸方
法定福利費 35,000円 未払費用 35,000円

従業員負担分を立替払いし、一時的に法定福利費で処理するケース(例外的な方法)

この方法は、企業が従業員負担分も含めた社会保険料の全額を一時的に立替えて納付し、後日給与から天引きして精算する場合に採用される、比較的例外的な処理です。

まず会社側で「法定福利費」として一時的に計上しますが、従業員負担分は本来企業の費用ではないため、後日、給与天引きによって費用を打ち消すための調整仕訳が必要になります。

例:従業員負担分 35,000円を企業が立替払いした場合

※なお、実務では、次に解説する「預り金(社会保険料)」を用いた処理が最も一般的であり、推奨される方法です。

借方 貸方
法定福利費 35,000円 普通預金 35,000円

(給与天引きによる精算仕訳)

借方 貸方
給与手当 35,000円 法定福利費 35,000円

従業員負担分を天引きし預り金に計上するケース

従業員負担分を給与から控除し、納付まで企業が預かる場合は「預り金(社会保険料)」を使用します。実務では最も採用されている処理方法です。

例:従業員負担分 35,000円を給与から控除する場合

借方 貸方
給与手当 35,000円 預り金(社会保険料) 35,000円

労働保険料を仕訳する際の注意点

他の社会保険料と異なり、労働保険料(労災保険料及び雇用保険料)の納付は基本的に年に1度行う仕組みです。
さらに一定の要件を満たした場合には年3回の分割払いとする場合もあります。
労災保険料は事業主が全額負担しますが、雇用保険料については事業主負担分と従業員負担分があるため、毎月の給与から控除する必要があります。
このため、両者の計上タイミングに従い、正しく区分して処理することが重要です。

労働保険料の会計処理では、発生主義または現金主義のどちらを採用する場合でも、過不足が生じないよう注意深く計上する必要があります。
また、他の社会保険料と混同しないよう、労働保険料は別建てで仕訳しておくと管理がスムーズです。

まとめ

社会保険料の処理は、企業負担分と従業員負担分の区分、勘定科目の使い分け、計上タイミングの判断など、実務上の注意点が多い領域です。
今回紹介した内容を押さえておくことで、日々の経理処理の正確性を高め、納付漏れや過不足といったトラブルを防ぐことができます。

特に、労働保険料のように年1回納付するものは、他の社会保険料と分けて管理することが重要です。
複雑に見える社会保険料の仕組みも、基本的な考え方と仕訳の流れを理解すれば、実務への落とし込みがスムーズになります。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。

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