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パソコンやプリンター、什器備品など、企業では設備投資が日常的に発生します。
その際、「固定資産として計上すべきか」「当期に費用処理できるのか」といった会計・税務上の判断を要するのが、少額減価償却資産と一括償却資産の扱いです。
いずれも早期に費用化できる制度ですが、適用要件や判定基準、償却方法、仕訳の考え方には違いがあります。
本記事では、両制度の違いを整理し、判定のポイントや仕訳例、運用上の注意点までを実務目線で解説します。
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固定資産の減価償却については、会計上も税務にゆだねる側面があります。
税務上、少額な固定資産については、通常の耐用年数に基づく減価償却とは別に、早期に費用化できる特例制度が設けられています。
代表的なのが「少額減価償却資産」と「一括償却資産」です。
両制度は似ているようで、適用対象や償却方法、損金算入のタイミングに違いがあります。
少額減価償却資産とは、租税特別措置法第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)に基づく、中小企業者等が取得した一定金額以下の固定資産を、取得年度に全額損金算入できる制度です。
なお、取得価額が10万円未満の資産は、本特例によらず通常の少額資産として取得年度に全額損金算入できます。
そのため、本特例の主な対象は青色申告を行う中小企業者等が取得した10万円以上30万円未満の固定資産となります。
ただし、1事業年度あたりの上限は合計300万円までとされており、無制限に適用できるわけではありません。
取得年度に全額を費用計上できる一方で、利用できる企業が中小企業者等(資本金基準や従業員基準など)限定されている点には注意が必要です。
一括償却資産とは、法人税法施行令第133条の2に基づき、取得価額が20万円未満の固定資産を、取得年度から3年間で均等に償却できる制度です。
法人・個人事業主を問わず利用でき、新品・中古の別もありません。
個別の耐用年数管理は不要で、取得年度ごとにまとめて管理し、3年で費用配分する点が特徴です。
なお、10万円未満の資産は取得年度に全額損金算入できるため、実務上は10万円以上20万円未満の資産が主な対象となります。
全額を一度に費用化することはできませんが、少額資産の管理負担を軽減できる制度といえます。
少額減価償却資産の特例は、一定の要件を満たす中小企業者等が利用できる制度です。
費用化を前倒しできる一方で、適用範囲や税務上の影響もあるため、メリットとデメリットをセットで把握しておくことが重要です。
最大のメリットは、対象資産の取得価額を当期の損金として処理できる点です。
利益が出ている期に導入コストをまとめて費用化できれば、法人税等の負担を抑えつつ、決算の着地を調整しやすくなります(※あくまで課税所得の調整であり、支出自体がなくなるわけではありません)。
一括償却資産(20万円未満)よりも対象金額のレンジが広く、PC・周辺機器・什器備品など、30万円未満に収まる資産であれば制度活用の余地が生まれます。
少額投資の意思決定をスムーズにしやすい点も実務上のメリットです。
通常の減価償却では、資産区分・耐用年数・月割計算などが必要になります。
少額減価償却資産の特例を使う場合、取得年度に費用処理する前提で整理できるため、減価償却費の計算や翌期以降の償却管理の負担を抑えやすくなります(もちろん、税務申告上の明細管理は必要です)。
この特例は、中小企業者等など一定の要件を満たす場合に限って適用されます。
企業規模や資本関係などによっては対象外となるため、導入前に自社が要件を満たすかを確認する必要があります。
取得年度に費用が集中するため、損益計算書上は利益が下振れしやすくなります。
その結果、金融機関向けの説明や社内の業績評価において、見た目の数字が弱くなる可能性があります。資金繰りや投資判断とあわせて、「なぜ当期に費用化したのか」を説明できる状態にしておくと安心です。
少額減価償却資産の特例には、1事業年度あたり合計300万円までという上限があります。
上限を超える投資を同じ期に行うと、特例適用・通常償却・他制度の使い分けが必要になり、資産管理や申告実務が煩雑になりがちです。設備投資が重なる年度は、事前に取得計画と費用化方針を整理しておくことが重要です。
一括償却資産は、取得価額が比較的少額の固定資産について、通常の耐用年数によらず3年間で均等に費用配分できる制度です。
少額減価償却資産とは異なり、全額を一度に費用化する制度ではありませんが、事業規模を問わず利用できる点や、資産管理を簡略化できる点に特徴があります。
ここでは、一括償却資産を選択することで得られるメリットと、あらかじめ理解しておきたい注意点を整理します。
一括償却資産は、法人・個人事業主を問わず利用できる制度であり、資本金や従業員数などの要件も設けられていません。
中小企業向け特例である少額減価償却資産と比べると、制度選択の自由度が高く、幅広い事業者が活用できます。
法定耐用年数に基づく減価償却と比較すると、3年間で費用化できる点が特徴です。一度に大きな費用計上はできませんが、税負担の平準化に役立ちます。
一括償却資産は、個々の資産ごとに耐用年数や月割計算を行う必要がありません。
取得した事業年度ごとにまとめて管理し、取得価額を3等分するだけで償却額を算定できるため、少額資産が多い場合でも実務を簡素化しやすくなります。
一括償却資産は、あくまで3年間で均等に損金算入する制度であり、取得年度に全額を経費計上することはできません。
短期間で費用化したい場合や、当期の利益を大きく圧縮したいケースでは、他の制度のほうが適することもあります。
3年間にわたり毎期一定額の償却費が計上されるため、各期の利益はその分押し下げられます。
財務内容を重視する金融機関や取引先に対しては、償却方法を含めた説明が必要になる場面も考えられます。
一括償却資産は、取得した事業年度ごとに資産をまとめて管理し、3年間で均等に償却する仕組みです。
そのため、個別の資産を途中で売却・廃棄・譲渡した場合であっても、帳簿上は一括償却の単位から切り離すことができません。
実態として資産が存在しなくなっていても、償却は所定の期間まで継続する必要があります。
資産の入替えが頻繁に発生する業務や、短期間での使用を想定している備品については、管理方法が適しているかを事前に検討しておく必要があります。
少額減価償却資産であれば取得年度に全額を損金算入できますが、一括償却資産では3年を要します。
そのため、費用計上のタイミングを重視する場合には、相対的に見劣りする制度といえる点は押さえておく必要があります。
少額減価償却資産と一括償却資産では、費用計上のタイミングや仕訳の考え方が異なります。
ここでは、それぞれの制度について、取得から決算時までの基本的な仕訳の流れを具体例で確認します。
少額減価償却資産は、取得した事業年度に取得価額の全額を損金算入できる制度です。
そのため、決算時にまとめて減価償却費を計上する形で処理するのが一般的です。
仕訳例:取得価額 28万円 の業務用プリンターを購入した場合(購入時の仕訳)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 工具器具備品 | 280,000円 | 普通預金 | 280,000円 | 業務用プリンター購入 |
決算時の仕訳(少額減価償却資産として全額費用化)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 280,000円 | 工具器具備品 | 280,000円 | 少額減価償却資産の費用計上 |
この処理により、取得年度の損益計算書には取得価額の全額が費用として反映され、翌期以降の減価償却は行いません。
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一括償却資産は、取得価額を3年間で均等に償却する制度です。備忘価額(1円)や月割り計算は不要です。
個々の資産ごとに耐用年数を設定する必要はなく、取得年度ごとにまとめて管理します。
仕訳例:取得価額 18万円 の会議用テーブルを購入した場合(購入時の仕訳)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 什器備品 | 180,000円 | 普通預金 | 180,000円 | 会議用テーブル購入 |
1年目(決算時)の仕訳 ※取得価額を3等分(180,000円 ÷ 3年)
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 60,000円 | 什器備品 | 60,000円 | 一括償却資産(1年目) |
2年目・3年目の決算時も、同額(60,000円)の減価償却費を計上し、3年間で取得価額をすべて費用化します。
少額減価償却資産や一括償却資産は、費用計上を前倒しできる点がメリットですが、通常の減価償却とは異なる影響や制約もあります。
制度を選択する際は、税務上の処理だけでなく、決算数値や資産管理への影響も踏まえて検討することが重要です。
ここでは、実務で見落としやすい代表的な注意点を整理します。
少額減価償却資産や一括償却資産の判定は、通常1単位として取引される単位を基準として、例えば、機械及び装置は1台ごとに、工具・器具・備品は1個、1組又は一式ごとに判定します。
また、取得価額の判定は、税込経理方式か税抜経理方式かによって判定結果が変わる点にも注意が必要です。たとえば、税抜価格では30万円未満に収まる資産であっても、税込経理方式では30万円を超え、特例の対象外となるケースがあります。
設備投資が集中する年度では、取得金額の集計方法や経理方式も含めて、事前に整理しておくことが重要です。
少額減価償却資産として費用処理しても、償却資産税の計算上は対象として扱われるケースがあります。
税負担そのものだけでなく、固定資産税(償却資産)の申告実務も含めて、手間と影響を見込んでおく必要があります。
一方、一括償却資産は、固定資産税(償却資産税)の計算上、課税対象から除かれる扱いとなります。
租税負担軽減目的を避けるため、主要な事業でない貸付けに使用される10万円以上20万円未満の資産は、一括償却(3年)や少額減価償却の特例を利用できません。
ただし、主要な事業として貸付が行われるリース業等は、本制度が適用可能とされています。
少額減価償却資産と一括償却資産は、少額な固定資産を通常とは異なる方法で費用計上できる制度です。ただし、取得価額の範囲や適用できる事業者、費用化のタイミング、管理方法には明確な違いがあります。
少額減価償却資産は取得年度に全額を損金算入できる一方、適用対象や年間上限があります。
一括償却資産は3年間での均等償却となり、途中除却ができない点に注意が必要です。制度のメリットだけでなく、決算数値や資産管理への影響も踏まえ、自社の状況に合った処理方法を選択することが重要です。費用化しても資産管理が煩雑化したり、抜け漏れが発生したりしないよう、制度の運用には細心の注意を払うべきです。
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