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2026年1月に下請法が「中小受託取引適正化法(取適法)」へと大きく改正され、対象取引の拡大や従業員数基準の新設、価格協議ルールや支払方法規制の強化など、発注側・受注側双方の実務に直結する見直しが行われました。
【前編】では、5つの対象取引類型や企業規模要件、委託事業者に課される4つの義務を整理し、自社が「どの取引で取適法のルールに縛られるのか」を掴むための基礎知識をわかりやすく解説します。
中小受託取引適正化法(取適法)は、旧下請法を改正し、中小受託事業者との委託取引を公正かつ適正に行うことを目的とした法律です。
対象取引や企業要件、義務・禁止行為が見直され、価格転嫁や支払条件の是正を通じて、中小企業の取引環境を強化する役割を担います。
これまで約50年にわたり、取引の公正化、中小企業保護等を目的に行われてきた「下請法」による法規制は、2026年から「中小受託取引適正化法(取適法)」として、用語や対象範囲、規制内容が見直された形で運用されます。
大幅改正された背景には、国内の全業界にわたる人件費・原材料費の上昇にもかかわらず、特に中小受託事業者において、価格に転嫁するのが難しい現状、労働者の賃上げ要請の高まりがあります。
取適法では、規制対象取引や企業要件が拡大適用され、交渉力が弱い中小受託事業者に対する保護規定が拡充されました。
なお、これから説明する取適法の対象取引、委託事業者に課せられた義務や禁止行為は、自社が委託側の際に重要であることはもちろん、自社が受託側に立つ場合にも重要な法規といえます。
改正法の施行日は令和8年1月1日からすでに始まっています。
新法の適用基準は、発注日となります。
基本取引契約を締結している相手企業でも、個別の発注が令和7年までのものと、令和8年以降のものでは、それぞれ適用法が変わるのでご注意ください。
以下では、法規定や解釈の紹介は最低限にとどめ、「現場で何が変わるのか」に重点を置いて説明していきます。
まず第1の改正点は、用語・名称の変更です。
旧下請法の「親事業者」「下請事業者」は、「委託事業者」「中小受託事業者」へ変更され、代金の呼称も「製造委託等代金」に改められました。
次に、適用対象の拡大として、対象取引に「特定運送委託」が追加され、規模要件に「従業員基準」が新設されました。
これら2つの新設規定は、対象企業の広がりに直結する重要論点です。
また、禁止行為については、価格交渉に関係する「協議に応じない一方的な代金決定」が新たに加えられています。
さらに、支払手段の見直しとして、手形払いの禁止、振込手数料負担の取扱い見直しが定められました。
そのほかにも多数の改訂箇所がありますが、まずはこれら重要な改正箇所を押さえておきましょう。
対象取引は、従来からある4類型に加え、新たに特定運送委託が追加され5類型になりました。
実務運用では、まず自社の外注・再委託がどの類型に当たるかを見分けることが出発点になります。
また、類型の切り分けでは、委託業務の目的や性質に応じて区別することが重要です。
たとえば、修理委託では「壊れた物品の機能回復」が中心となり、点検・保守・メンテナンスは原則として修理委託ではなく役務提供委託として扱われます。
情報成果物作成委託では、原稿作成やデザインは対象になり得る一方、単純なファイル変換や印刷機登録のみであれば役務提供委託、印刷データを出力して製本する作業は製造委託として整理されます。
役務提供委託では、自社のオフィス清掃や自社社員教育のための講師委託のような「自家使用役務」は対象外とされています。
建設工事の委託は、建設業法による規制対象であるため、取適法の対象外です。
他方、新設された「特定運送委託」は、販売・製造・修理・情報成果物作成の取引に付随して、取引先への引渡しのための運送を委託する場面が対象になる新設類型です。
従来の役務提供委託とは異なり、委託事業者が販売、製造業者でも規制対象になりうる取引ですので、違いを意識した整理が必要です。
※より細かな実例紹介やQ&Aについては、公正取引委員会の「中小受託取引適正化法(取適法)関係」あるいは「中小受託取引適正化法テキスト」などをご参照ください。
取適法による規制を受けるのは、規制対象取引+企業規模の両方の要件を満たす取引に限られます。
従来の下請法では、企業規模は、取引類型ごとに設定された資本金基準のみにより、判断されていましたが、取適法では、新たに従業員基準が追加されました。
これは、資本金1000万円など従来は基準を満たさなかった委託事業者でも、従業員が取引類型に応じて100人超又は300人超の場合には新たに規制対象になることが定められたものです。(適用イメージは下記図表を参照してください)

作成:TMG法律事務所
以下、新設された従業員基準について、3点の注意事項を記載します。
①補充的要件:従業員要件は資本金基準に対して補充的な要件とされています。
実務運用においては、資本金基準において適用外と判断された場合に限り、従業員基準を検討してください。
②従業員数の数え方:従業員要件は、「常時使用する従業員」の数で判断します。
一定の日雇いを除く労働者が対象となり、パート・アルバイトは含まれ、派遣労働者は除外されます。
判定時期は「製造委託等をした時点」とされるため、委託後に従業員数が変動しても、委託時点が基準になります。
③確認の実務:従業員数の正確な根拠資料となるのは賃金台帳です。
しかし、取引先の賃金台帳を確認することは実務上難しいため、まずは取引前、取引中に企業要件をヒアリングして確認することが想定されます。
なお、従業員数について中小受託事業者が誤って過大申告し、取適法の適用がないと誤認して法規違反した場合、行政機関においては、「直ちに『勧告』の対象となるものではない」との方針が示されています。
持ち株会社、親子会社等のグループ会社のうち1社が規制対象取引に関わる場合、従業員数はグループ全体ではなく法人単位で判断することに注意してください。
また、特定運送委託については、同一グループ会社内での在庫や仕掛品の運送委託が対象外となる場面もあります。
取適法の適用対象となると、委託事業者には、発注内容等の明示、取引記録の作成・保存、支払期日の設定、遅延利息の支払いという4つの法的義務が課せられます。
いずれも中小受託事業者の資金繰りや取引の透明性を守る根幹となるため、契約書や支払条件、社内フローの見直しが不可欠です。
対象取引に該当し、企業要件も満たしたことにより、取適法の対象になった委託事業者には4つの義務が課せられます。
まず検討すべきは、発注内容等を明示する(4条明示)義務です。
明示する事項として、名称、委託日、給付内容、受領期日、受領場所、検査完了期日(検査をする場合)、代金額、支払期日などが契約書、注文書(発注書)に明記されているかどうか確認することが求められます。
明示事項のうち主要なものを以下に記載します。
① 委託事業者及び中小受託事業者の名称(番号、記号等による明示も可)
② 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託又は特定運送委託をした日
③ 中小受託事業者の給付(又は役務)の内容
④ 中小受託事業者の給付(又は役務)を受領(又は提供を受ける)する期日(期間)
⑤ 中小受託事業者の給付(又は役務)を受領(又は提供を受ける)する場所
⑥ 中小受託事業者の給付(又は役務)の内容について検査をする場合は、その検査を完了する期日
⑦ 代金の額
⑧ 代金の支払期日
※上記以外にも取引内容に応じて明示が義務付けられる事項があります。
すでに現場で運用中の見積書・注文書・個別契約書がある場合には、その内容を確認し、4条明示事項が漏れなく書式において明示できているか確認しましょう。
発注内容は書面、又は電子メール、ショートメッセージ等の電磁的方法によって示すことができます。
改正により中小受託事業者の承諾がなくても電子メール等で送信することができる一方、中小受託事業者から書面交付を求められた場合には応じる必要があります。
取引に関する内容は書面又は電磁的記録にして作成・保存する義務があり、保存期間は2年です。
保存すべき情報は、4条書面で明示した内容のほか、納品受領日や手直し(変更)、代金支払日などです。なお、これらの記録は相手方への交付はまでは求められていません。
委託事業者は支払期日を定める義務があり、受領日から起算して60日以内(当日算入)に支払う必要があります。
受領後に数日の検査期間を設ける取引も多いですが、あくまでも支払は「受領」から60日内である点に注意が必要です。
実務上の注意点として、たとえば「毎月末締め翌月末日払い」という支払期日の定めは、最大62日となる可能性があり、取適法が適用される取引では違反するおそれがあります。
したがって、規制が及ぶ可能性がある契約を委託する事業者は、毎月20日締め翌月末払いや月末締め翌25日払いのように、60日を超えない設計に見直しておいたほうが良いでしょう。
取適法の適用取引において、支払遅延が生じた場合の遅延利息は、年14.6%です。
これは数字として明確に押さえておくべきポイントです。
また、遅延損害金を支払ったとしても、それだけで違法状態が解消されるわけではありません。
改正後は、代金減額があった場合の減額分にも遅延利息の対象が拡大されたため、長期間経過後に未払いが問題化した場合には支払総額が大きくなる可能性があります。
ここまで、取適法の概要や対象取引・企業要件、そして委託事業者に課される4つの義務について整理し、自社がどの場面でこの法律の影響を受けるのかを確認してきました。
続く【後編】では、11の禁止行為の具体像と、価格協議・支払方法に関する実務上のポイントを踏まえながら、契約書・注文書・社内フローをどのように見直すべきかを詳しく解説します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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