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マタハラは、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント同様に、近年問題となっているハラスメントの1つです。
男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法の改正により、2017年1月1日から、事業主にはマタハラ防止措置を講じるよう義務付けられました。
今回は、職場においてマタハラを起こさないようにしていただくため、マタハラの定義やケース、防止策について解説します。
マタハラとは、「マタニティハラスメント」の略で、妊娠や出産、育児休業などを理由に、事業者が解雇や減給、降格といった不利益を与えたり、精神的・肉体的な嫌がらせをしたりする行為を言います。
妊娠中や出産後の女性の心身はデリケートな状態です。しかし、状態に一切配慮することなしに、制度利用の制限や嫌がらせ行為などがしばしば起きてきました。
個人の尊厳を傷付け、労働者としての権利に不利益を与えるハラスメント行為は、決して許されるものではありません。しかし、マタハラの相談件数は右肩上がりなのが現状です。
全国の労働局に寄せられた「男女雇用機会均等法に係る相談件数/28年度」を見ると、セクハラの7,526件(約36%)に次いで、マタハラ関連の相談件数は7,344件(約35%)と、かなり多いことがわかります。
マタハラに係る相談内容の概要は、「婚姻、妊娠、出産などを理由とした不利益取扱い(5,933件/約28%)」、「妊娠・出産等に関するハラスメント(1,411件/約7%)」です。
マタハラなどのハラスメントは、職場の雰囲気を悪くするだけでなく、労働者の能力発揮を妨げます。
さらに、職場における風潮の固定化や、自分もそのような扱いを受けるのではないかといった不安感が充満する環境になり、企業にとってのデメリットは大きいです。
今回の改正では、それまでの不利益取扱いの禁止に加え、上司や同僚の言動についてもマタニティハラスメントとしています。
下記のように、制度等の利用を阻害することや嫌がらせをする行為は、マタハラとなります。
・妊娠の報告に対して→「妊婦さんじゃ仕事を頼めないから、ほかの人を雇うよ」
・妊婦健診などの休暇申請に対して→「業務が回らないから、休みの日に病院に行けば良いじゃないか」
・時間外労働の免除相談に対して→「定時までしか働けないなら、昇進はないな」
・簡易業務転換の相談に対して→「みんなと同じようにできないなら、正社員辞めてパートになれば?」
・妻の出産育児によって育休を申請したことに対して→「男が育休?無理だな」
下記のように、解雇や不利益な取扱いを示唆する言動や、妊娠への嫌がらせをすることはマタハラとなります。
・「つわりで休んでばかりだから、正社員の仕事は任せられないな」
・「お腹が重くて大変なら、仕事辞めれば?」
・「切迫流産でもされたら、こっちが迷惑だ」
・「こんな忙しい時期によく妊娠したもんだ」
事業主は、妊娠・出産・育児休業を理由とする、上司や同僚からのハラスメントの防止措置を講じることが義務付けられています。
主な防止措置は、次の3点です。
1.「マタハラはどういうものなのか全労働者に周知する」
2.「就業規則などの文書の規定」
3.「相談窓口の設置」
具体的には、以下のような対策を講じましょう。
・妊娠・出産・育児休業に関するハラスメントの内容の研修や、制度を利用できることを管理・監督者を含めた労働者全員に周知する
・マタハラに係る言動を行った場合、厳正に対処する旨を就業規則などの文書として規定し、周知や啓発を行う
・社内に相談窓口を設置し、担当者は内容や状況に対して、適切に対応できるようにする
・相談に対して、速やかに事実関係を確認する
・マタハラ行為が確認できれば、マタハラ被害者への措置、マタハラ行為者への措置を適正に行う
・再発防止策を講ずる
妊娠した労働者に対しては制度を利用できることを知らせ、職場の上司や同僚に対しては、マタハラ行為をしないことの重要性などを明確に周知することが大切です。
また、管理者はもちろん、パートやアルバイトなど、社内労働者全員に研修を実施しましょう。
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