公開日 /-create_datetime-/
アンガーマネジメントという言葉をご存じでしょうか。
元々は70年代のアメリカで提唱、普及が始まった心理トレーニングですが、今では日本でも認知度が高まってきました。近年、各企業ではアンガーマネジメントをテーマとする社内研修、ワークショップなどが行われるようになっています。
今回はこのアンガーマネジメントの概要と具体的な手法について、解説いたします。
「アンガー(anger)」とは英語の「怒り」を意味する言葉で、「アンガーマネジメント」とは怒りをコントロールすること、つまり「怒りの感情とうまく付き合うこと」です。怒りは人間が持つ感情の1つですが、職場、学校、家庭などの場で自分の気持ちのままに他人に怒りをぶつけてしまうと、人間関係や仕事に支障が生じます。怒りに飲み込まれることなく、自分の感情をコントロールしてうまく立ち回るための考え方や技術を身に付けることが、アンガーマネジメントの目的です。
既にアメリカではアンガーマネジメントの考え方は広く普及していて、子どもを対象に小学校やサマーキャンプなどでも講座が行われています。さらに夫婦セラピーやアスリートのメンタルトレーニングにおいて積極的に取り入れられるなど、アンガーマネジメントに対する社会的な認知度は高いです。日本では2011年に一般社団法人「日本アンガーマネジメント協会」が設立され、その頃から本格的に注目されるようになってきました。
日本でアンガーマネジメントに注目が集まってきた背景にあるのが、企業におけるパワハラ問題の顕在化です。パワハラとは、職務上の地位・人間関係などの優位性を背景に、業務上の適正な範囲を超えて心身に苦痛を与える行為のことを指します。こうした行為はかなり以前から日本企業において起こっていたようですが、マスコミによってパワハラによる被害事例が大きく取り上げられるようになったことも影響し、近年強く問題視されるようになりました。
厚生労働省は2017年4月、職場におけるパワハラ防止の強化を目的として、有識者や労使関係者によって構成される検討会の開催を発表しましたが、その会議には一般社団法人「日本アンガーマネジメント協会」の理事も委員として名を連ねています。今やアンガーマネジメントは、国によって重要なパワハラ対策の1つとして認められつつあるのです。
アンガーマネジメントの考え方を従業員に周知することは、企業・職場にとって様々なメリットがあります。
まず1つは、従業員がアンガーマネジメントのスキルを身に付け、怒りの感情をコントロールできるようになれば、パワハラに端を発するような職場環境の悪化を防ぐことができるという点です。企業内で上司による部下に対するパワハラが横行し、そのことが広く社会に知られると、企業の社会的信用を失うことにつながるでしょう。そのようなリスクを回避するためにも、従業員に対するアンガーマネジメントの普及・活用は重要といえます。また、アンガーマネジメントによって従業員が怒りの表出を抑え、相手の考え方や行動を許容する姿勢を示しやすくなると、職場内に様々な価値観、多様性を受け入れる寛容さを醸成することもできるでしょう。
アンガーマネジメントは体系的に学ぶことができる心理学的な手法です。理論から本格的に学ぶ場合は時間・手間がかかります。ただ、怒りを抑えるための基本的な方法は誰でもすぐに実践できるので、普段から職場でイライラしがちな人は、今日からすぐに心がけてみましょう。以下に3つの方法を紹介します。
怒りの感情が強く発生するのは、副腎髄質から分泌されるアドレナリンという神経伝達物質の影響によるものです。このアドレナリンは約6秒で体内を巡るので、その時間グッと感情の表出を抑えれば、大声を上げるなどの行動を制御しやすくなるといわれています。もし部下が失敗の報告をした時など、突発的に怒りの感情が沸いた時は、心の中で1から6までの数字を数えましょう。
怒りを強く感じた時、100から一定の数(3や7、13、17などの任意の数)を引いていく「カウントバック」の計算をすると、意識を計算に向けさせ、心が落ち着きやすいです。怒りの中で冷静な計算をするように心がけることは難しい面もありますが、最も怒りを感じる瞬間をやり過ごす上では有効な方法といわれています。
怒りの感情を抱いた時に、今の自分の怒りを10点満点のうち何点くらいか、と怒りに対して点数をつけることも、怒りを鎮める効果が期待できます。もし怒りの原因を思い出してイライラが続く場合、「先週の怒りは7点だったが、今日の怒りは何点ぐらいか」などと自分の怒りの感情に自分で点数をつけましょう。それが客観的、冷静に自分を見つめ直す機会となり、怒りを解消しやすくなります。
アンガーマネジメントは、決して怒りの感情自体を否定するものではありません。怒りは人間が本来的に持っている感情であり、強い怒りを感じることは、むしろ自然なことであるともいえるでしょう。しかし問題なのは、その怒りの感情を「人にぶつけること」です。アンガーマネジメントは、怒りを他人に対して爆発させないための自己管理法であるといえます。
普段から実践するだけでも、怒りをやり過ごすチャンスは増えるのではないでしょうか。短気、怒りっぽいと自認している人にはおすすめの方法です。
関連記事:管理職に必要なスキル、育て方
社員と会社の両方が幸せになる生活サポートとは?
【電子署名の導入を検討中の方にオススメ!】電子署名ガイドブック
押印に合わせた電子署名形態の選択
業務委託契約(Service Agreement)の英文契約書を作成する際の注意点を弁護士が解説
アフターコロナの採用戦略とコスト最適化
【弁護士執筆】AI時代になぜ士業はなくならないのか?その理由と新たな可能性
2025年4月法改正について2-所定外労働の制限対象拡大
『口座振替依頼書』とは|書き方とよくある不備を解説
なぜ「月次決算」は重要?経営者が押さえておくべきポイントを税理士が解説!
【内定者フォロー】25卒内定者の51.2%が内定期間中の「先輩社員との関係構築」を希望。“入社後の不安”解消のカギは?
オフィスステーション導入事例集
マンガでわかる!契約業務の課題と解決策 〜解決のカギはCLMにあり〜
これなら先方も納得!取引先と請求書電子化をスムーズに進める3つのコツとは?
株式譲渡契約書とは?記載事項や作成時の注意点について解説!
Docusign CLM 導入事例(ウーブン・バイ・トヨタ株式会社)
フォローアップとは?人事における重要性と効果的な方法
営業社員の約半数が「紙の名刺」の管理の煩雑さに不満、デジタル名刺に約5割が関心 民間調査
カスハラの最新動向・対策を知って社員を守るなら【ランスタWEEKセッションのご紹介】
パワーナップのやり方・効果を解説!昼寝で業務効率を上げる取り組みのメリットは?
従業員101人以上に男女間賃金差異、女性管理職比率の公表が義務づけられる見通し
公開日 /-create_datetime-/