公開日 /-create_datetime-/
2025年12月27日(土)~2026年1月4日(日)は年末年始休業のため、お問合せなどのご連絡は1月5日(月)以降になります。ご了承くださいませ。

経理の現場では、長年にわたって膨大な紙の書類と格闘してきました。会計処理がシステム化されても、仕訳日記帳、総勘定元帳、補助元帳などの帳簿体系の一連の書類、記帳の基となる領収書、請求書などの証憑は“紙での保存”という規定があったため、大量の紙の資料を印刷したり、受け取った証憑をファイリングして保存してきました。しかし、法律の制定や改正による規制緩和によって、こうした状況が大きく変わり始めています。一定の要件を満たせば会計帳簿や証憑などの帳簿書類について電子的なデータを“原本”として扱うことが認められるようになり、管理すべき紙の帳簿や書類を大幅に削減できるようになってきています。
特に最近、電子帳簿保存法・スキャナー保存制度の2年連続の規制緩和を受け、経理向けのセミナーが目白押しなのはご存知の通りです。以下、現状の法制度下において「会計・税務書類のデジタル化がどの程度可能か?」を説明していきます。
まず、関連する税法の制度概要を説明します。
1998年の電子帳簿保存法の制定により、仕訳日記帳、総勘定元帳、補助元帳などの国税関係帳簿のデジタル保存が一定の要件を満たせば可能となりました。おもに税務調査や会計監査時にしか見ることがなかったと言っても過言ではない、膨大な会計帳簿体系の書類をデジタルデータで保存することにより、手間やコストが大幅に削減できます(電子帳簿保存法4条1項)。
また、顧客の自社システムにおいて一貫して電子データとして作成した税務関係書類(請求書の控え、など)は、紙で印刷して定められた期間は保存しなければなりませんでしたが、一定の要件を満たせば紙での出力は不要となり、電子データでの保存が可能となりました(電子帳簿保存法4条2項)。
日本には紙の保存を義務付けている法律が税法、会社法、商法など含め約300あります。2005年e-文書法の制定以降、規制緩和が続き、現在ではその内の9割近くの法律に関しては、紙保存に替えてデジタル保存が可能となっています。このe-文書法の制定を受け、税務では電子帳簿保存法・スキャナー保存制度が同年に制定されました。これは一定の要件を満たせば、受領または作成した紙の領収書、請求書、納品書、または控えをスキャナー(スキャナー専用機器・複合機、など)を用いてスキャンし、その電子データを原本として保存可能とするものです。ただ後述する規制緩和1(2015年税制改正)までは金額基準の上限(3万円以上の書類は紙で保管を義務付け)や、認定業者が発行する電子証明書を付与することを義務付けるなど、導入がしづらいものでありました。
税務関係書類のデジタル保存の要件であった「金額基準の上限」や「電子証明書による電子署名義務」が撤廃され、制度活用する企業数も2015年度は前年比の約13倍に増加しました。
本規制緩和では、領収書などの電子化をスマートフォンなどによる撮影により行うことが可能となりました。たとえば出張時の領収書の電子化など、その活用シーンは大幅に増えたと言えます。
以上はすべて税法の特例です。あくまで原則は“紙による保存”であり、一定の要件を満たした際に利用できる任意制度となっています。
インターネットなどの普及で電子取引がますます増加しています。当初から紙の帳票の受け渡しがなく、メールに添付された見積書、請求書などデジタルデータのやり取りをするケースも増えているのではないでしょうか?本規程は、電子取引で取り交わされる、取引に関わる電子データの保存・保管に関する規程です。
企業は、1)受領したデータにタイムスタンプを付す2)改ざん・修正を防止する規程を策定する義務がありますので、留意が必要です。現在、建設業界や金融機関などで導入が進んでいる「電子契約」もこの規程に基づきデータを保存・保管する義務があります。
これらの法制度、規制緩和によりかなりの領域で紙での保存・管理から解放されるのではないでしょうか?
以下、具体的な証憑や帳簿などの帳票を紙ベースで管理・保存する場合(今までの流れ)と、デジタル化の法制度活用の場合とで比較していきます。まず取引を開始する際に社内で稟議をおこない、契約を締結し実際の取引をスタートするフローを想定します。その後は見積をおこない、発注、納品、請求という流れかと思います。稟議書は税務上の国税関係書類には該当しませんので税務上の保存義務はありませんが、内部統制上や会計監査上から保存することになります。
現行の法制度を活用することにより、取引開始から記帳までの一連の証憑群と帳簿体系まですべての紙書類がデジタル保存できることがわかります。
デジタル化のメリットはさまざまです。
・一連の取引から発生する大量の会計・税務関係書類を法定保存期間、保存するコストを削減
・企業内ネットワークやインターネットを活用し業務効率化を促進
・情報の共有を促進
・コンプライアンスを強化、など
また、アクセス制限や履歴管理に電子署名やタイムスタンプの技術を加味することにより、大幅な内部統制の強化にも役立つでしょう。
昨今、“働き方改革”の議論をいたるところで目にしますが、まずは大量の紙が存在する経理の現場において、会計・税務の関連帳票をデジタル化し、紙の取り扱いに要していた膨大な手間を削減することもそのひとつではないでしょうか。あなたの会社、あなたのデスク周り、大量の紙に埋もれていませんか?
執筆者情報
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
健康経営ソリューションとして 社宅・社員寮が果たす役割
26卒エンジニア学生551名に聞く|志望度が上がる・下がるサマーインターンシップ調査レポート
フランチャイズ契約を締結する前にチェックすべきポイントとは(加盟店の立場から)
業務委託契約の基本がわかるハンドブック
簿記の基礎から実務まで!社宅管理の仕訳処理 まるわかりガイド
20代後半の不安や焦り「クォーターライフ・クライシス」とは?乗り越え方も解説
年末調整2025|人事が押さえるべき変更点・提出書類・よくある質問と回答~制度改正・扶養・副業・住宅ローンまで~
上司の「励ましの一言」が部下を追い詰める? 調査で判明、無自覚な声掛けが職場のリスクに
「プロ人材」の力を最大限に引き出すために、受け入れ企業が知っておきたいこと
【税理士執筆】非居住者の年末調整は「原則不要」? 管理部門が迷う判断基準と源泉徴収の落とし穴
通勤車両/社用車の駐車場利用・管理におけるガバナンス見直しチェックガイド
生成AI時代の新しい職場環境づくり
新型コロナウィルス問題と見直しておきたい契約条項
債権管理・入金消込効率化『Victory-ONE/G4』導入事例 ~自動消込照合率が91%まで上昇! 株式会社有隣堂~
家賃補助と社宅・社員寮、自社に最適な住宅補助制度の選び方
フレックスタイム制の盲点② ~月の途中で入・退職、休職した場合、時間外労働や割増賃金をどう算定するか?~
量り売りお菓子をオフィスに導入するメリットとは?注意点や運用のポイントも紹介
内部監査と労務管理:事業継続性を脅かす「簿外債務」リスクを潰せ
【社労士執筆】退職・入社タイミング別に見る「年末調整のやり直し・再計算」の正しい手順
肥満症の早期受診を促進 7.5万人の加入者データから抽出し情報提供 効果をレセプトで検証
公開日 /-create_datetime-/