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昔は副業と言えばなんとなく後ろめたいイメージもあったものですが、最近では缶コーヒーのコマーシャルなどでも、普通に副業の風景が描かれるようになりました。副業が肯定的に捉えられるようになったきっかけは政府の推進する働き方改革ですが、本政策の発表以降、積極的に社員に副業を推奨する企業も増えてきました。本記事では副業を解禁した企業とその背景、目的などについてご紹介していきます。
目次【本記事の内容】
約2年前の2018年1月、政府は働き方改革の一環として「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表しました。2016年に副業・兼業禁止規定の見直しが発表され、副業が「原則禁止」から「原則容認」になったことで政策が変更になったのです。
雇用や労働を管轄する厚生労働省はこの政策変更を受け、従来から提供している「モデル就業規則」の内容を変更しました。継続して常時10名以上の従業員を雇用する使用者は、労働基準法 第89条の定めにより就業規則を作成し、所轄の労働基準監督 署長に届け出なければならないことになっています。「モデル就業規則」は、企業が就業規則を作成する際の推奨ひな形なのです。
●「第14章 副業・兼業」の追加
厚生労働省はこのモデル就業規則に従来記載されていた「ほかの会社で許可なく従事してはならない」という文言を削除し、「第14章 副業・兼業」に新たに第68条を追加しました。第68条の文言は以下の通りです。
第14章 副業・兼業
(副業・兼業)
第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
1 労務提供上の支障かがある場合
2 企業秘密かが漏洩する場合
3 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
4 競業により、企業の利益を害する場合
<厚生労働省 モデル就業規則 (平成31年3月) 第14章より引用>
このようなことから、2018年は「副業元年」とも言われています。
副業・兼業禁止規定は「原則禁止」から「原則容認」に変更されましたが、かといって自由に副業をして良いわけではありません。モデル就業規則の中にも案文として「事前に、会社に所定の届出を行うものとする」と書かれているように、大事なのは勤務先との事前の合意です。無用のトラブルを避けるためにも、現在の社内規定を確認したり、上司に相談するなどして事前の準備を怠らないようにしましょう。
●一定以上の収入があれば確定申告が必要
一カ所から給与所得(既に税金が徴収されている所得)を得ている場合、副業の所得が20万円を超えたときには雑所得として確定申告をする必要があります。副業の所得が給与所得(つまり二カ所以上から給与所得を得ている場合)であった場合でも「主たる給与以外の所得」が20万円を超えたときには確定申告が必要になります。副業を行う場合には、知らぬうちに脱税行為をしないように注意しなければなりません。
それでは具体的に、社員の副業を奨励している企業をいくつか紹介しておきましょう。
●ソフトバンク
ソフトバンクは2017年11月から、働き方改革推進施策の一つとして社員の副業を解禁しました。同社は副業を業務時間外活動の一つとして捉え、社外の考え方の異なる人々と交わることによって、イノベーションを生み出す可能性が高まると期待しています。
●サイバーエージェント
インターネットの広告事業を展開するサイバーエージェントは、2019年10月に技術職を対象としたユニークな副業奨励制度を導入しています。これは、グループ内の会社間をまたいだ副業を促進するというもので、給与以外の報酬を得る機会を増やすと同時に、グループ内の技術者同士の交流、グループ全体のスキル向上を目的としたものです。
●ユニチャーム・ホールディングス
衛生用品大手のユニチャームは、2018年4月から社員のさらなる成長を支援するための副業制度を導入しています。副業の条件は「個人のスキルアップや成長につながる副業」であること、「就業時間外や休日のみ」「正社員で入社4年目以上」「事前に届出書・誓約書を提出」などとなっています。
副業を解禁した企業が一様にそのメリットとして挙げているのは、副業をしたことによる個人のスキル向上と、本業への効果還元にあると言えます。副業解禁と一口に言っても、目先の収入増だけを目的とした独りよがりなものでは、到底認められるものではありません。今後も副業を解禁する企業は増えていくと思われますが、この原則を忘れないようにしましょう。
※本記事の内容について参考にする際は、念のため関連省庁にご確認ください。
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