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ソフトバンクグループが3月23日に、最大2兆円の自社株買いを行うことを発表して注目を集めました。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で株価が急落する中での発表で、ソフトバンクグループの思惑について、日本のほか海外のメディアもさまざまな側面から取り上げています。
そもそも企業はどのような目的を持って自社株買いを行うのでしょうか。どのようなときに企業は自社株買いを行い、どのような効果を期待しているのか、わかりやすく説明します。
目次【本記事の内容】
自社株買いとは、株式を発行している上場企業が、自分たちの資金を使って自社株式を買い戻すことです。買い戻しの方法には、株式市場での買付のほか、東京証券取引所での取引時間外(立会外)取引があります。東証の時間外取引は「ToSTNeT」という電子取引で行われます。
自社株買いをした株は消却して無効にすることができますし、「金庫株」として保有することもできます。金庫株には議決権はなく、配当を受け取ることもできません。いずれにせよ、実質的に市場に出回る株式数が減るので、1株あたりの純利益や自己資本利益率を向上させることができます。このため、企業にとっては、経営指標を改善させる効果があります。
また、株式を保有する投資家にとっては、市場での株式数が減ることで、1株あたりの配当金の増加が期待できます。このため、株主への利益還元になり、ストックオプション(従業員持ち株制度)に利用されることもあります。
こうしたことから、自社株買いの実施を発表すると、投資家の注目を集め、株価も上昇する傾向にあります。市場に出回る株式が減り、株価も上昇すると株式を買うことが難しくなるため、敵対的買収への対策にもなります。
ただし、株価の上昇が期待できるのは、株価が経営指標などから割安だと判断されているときだけです、割高だと判断されている状況で自社株買いをしても、株価への影響が小さい可能性もあるので、注意が必要です。
自社株買いをする理由をソフトバンクグループの例で見てみましょう。ソフトバンクグループは3月23日に「自己株式取得と負債削減のための4.5兆円のプログラムを決定」というプレスリリースを発表しました。
プレスリリースによると、同グループは最大4.5兆円の資産を売却または資金化し、最大2兆円の自社株買いを行います。残った資金は負債の償還、社債の買い入れなどに充てるとしています。資産の売却と聞くと、一般的に経営が悪化して資産を切り売りするようなイメージを抱きがちです。実際に、米格付会社のムーディーズは、「資産の売却によって、同社の資産価値と信用力が悪化する可能性がある」としてソフトバンクグループの格付を2段階引き下げました。しかし、同グループは「売却資産は総額27兆円にのぼる保有資産の一部で、信用力改善の取り組みだ」などと反論。ムーディーズの格付を返上してしまいました。
ムーディーズとのやりとりでわかるように、同グループは自社株買いによる信用力の向上を目的としています。さきほど説明したように、自社株買いで株価が上昇するのは、株価に割安感があるときだけですが、この点、同グループは強気で、23日のプレスリリースでは「当社株式は大幅に割り引かれて取引されている」との考えを示しました。コロナウイルス感染の拡大への不安から株価が暴落した前週末の終値は「本質的な価値に対して当社史上最大幅となる73%もの過小評価となった」とのことです。確かに、19日時点での同グループの株式時価総額は約6兆円。保有資産27兆円と比べると、4分の1程度の価値しかありません。
つまり、ソフトバンクグループは、株価低迷という現状についてグループの実力が反映されていないと判断し、自社株買いと負債の縮減によって株価を引き上げようとしたのです。これについてグループの孫正義会長兼社長も「グループにとって史上最大の自己株式取得で、さらに過去最大の現預金等の増加につながる。事業に対する揺るぎない自信に基づくものだ」とコメントしました。そして、実際に発表後の東証午後の取引では、同グループ株が急騰。終値は前週末比500円(19%)高の3187円と、ストップ高水準となりました。
自社株買いには、株価を上昇させる効果があり、1株あたりの利益も改善させるので、企業の株主還元策の一つとされます。実際に、株主が企業に対し自社株買いを求めることもあります。日本経済新聞電子版(2020年3月24日付)によると、2019年度に日本の企業が行った自社株買いは約7兆5000億円に達しました。米中経済摩擦で景気の先行きが不透明な中、最も株主にアピールしやすい株主還元策は自社株買いということなのでしょう。
オリンピック景気による活況が期待されていた今年の日本経済ですが、コロナウイルス感染拡大で景気の落ち込みが予想され、株式市場も低迷しています。設備の増強など積極的な設備投資も難しいだけに、今年も自社株買いを行う企業がさらに増加するかもしれません。
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