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2018年2月、経済産業省と東京証券取引所は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業26業種26社を選定し「健康経営銘柄2018」として発表しました。
健康経営銘柄とは、東京証券取引所の上場企業の中から、健康経営に関して優れた取り組みを行なっている企業を業種ごとに1社ずつ選定するというもの。
この聞きなれない「健康経営」という言葉。皆さんはご存知ですか?
健康経営(けんこうけいえい)は、従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す経営手法のことです。
近年、大企業のみならず、中小企業における従業員の健康管理方法が注目され始めています。
これまで企業(特に中小企業)における従業員の健康管理と言えば、自身の健康管理は「自己責任」であるという考え方が一般的でした。
しかし、恒常的な働き手不足などの社会を取り巻く環境が大きく変化していくなかで、企業は従業員の健康をしっかりと管理・ケアしていかなければ生き残ることが難しい時代となってきました。
潤沢な資金を持つ大企業は、率先してこの健康経営に取り組み、一定の成果を出した企業も多く存在します。
しかし、日本の企業の99.7%は中小企業が占めます。従業員ベースで言えば、約70.1%が中小企業で勤務しています。
つまり、未来の日本が発展していくためには、大企業だけでなく中小企業こそが健康経営に取り組んでいかなければなりません。
本記事では、中小企業で活躍される経営者・ご担当者様向けに健康経営の概要と実践のためのステップ解説に加え、先進企業のケーススタディについても紹介いたします。
健康経営とは?
1980年代に米国の経営心理学者ロバート・ローゼン氏によって「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という「ヘルシーカンパニー」の思想が提唱されました。
それまでは「経営を管理すること」と「従業員の健康を管理すること」とは、わけて考えられていましたが、ヘルシーカンパニーの考え方が一般に浸透していくに従ってそれらは合わせて考えられるようになりました。
日本においては、NPO法人健康経営研究会の岡田邦夫氏がヘルシーカンパニーの概念をさらに一歩進め、「健康経営」という言葉が生まれました。
健康経営の定義
日本における健康経営の先駆けといえるNPO法人健康経営研究会は、健康経営について以下のように定義しています。少し長いですが、引用します。
健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康管理を経営的な視点から考え、戦略的に実践することを意味しています。
従業員の健康管理・健康づくりの増進は、単に医療費という経費の節減のみならず、生産性の向上、従業員の創造性の向上、企業イメージの向上等の効果が得られ、かつ、企業におけるリスクマネジメントとしても重要です。
従業員の健康理管理者は経営者であり、その指導力の下、健康管理を組織戦略に則って展開することがこれからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられます。
また、健康経営を中小企業の視点から調査している日本政策金融公庫総合研究所のレポート「中小企業の健康経営」では、健康経営に関して次のような考えを示しています。
「健康」は、「身体の健康」ではなく、「身体と精神の健康」である。
従業員の健康管理を、「コスト」ではなく、「投資」として捉える。
従業員の健康管理に対して、「個人任せ」ではなく、「企業として」取り組む。
従業員の健康増進を、「企業の経営課題」として捉え、戦略的かつ積極的に増進する。
従業員の健康増進によって、「生産性の向上」等を目指し、「企業の成長」を追求する。
労働安全衛生法に定められた健康管理の水準を満たすことは大前提として、それをより効果的なものにすると同時に、個々の企業の状況に応じたプラスアルファの取り組みを実施する。
健康経営のメリット
健康経営には、主に以下のようなメリットがあります。
ここでは、従業員側と企業経営側に分けて記載いたします。
“従業員側のメリット”
“企業経営側のメリット”
どれも単なる一時的な効果ではなく、中長期的な企業の利益に直結するメリットであることがわかります。
健康経営の社会的背景
ところで、中小企業はなぜ、健康経営に取り組んでいかなければならないのでしょうか。
いまのところ、従業員が元気ならば自分たちには関係ないのでは?
いいえ、そうではありません。従業員の健康は、日本に存在する全ての企業が気にかけなければならない問題です。
それは以下のような、日本を取り巻く社会的背景から説明が可能です。
背景①:生産年齢人口の減少に伴う労働力不足
日本では、人口構成の変化による少子高齢化、生産年齢人口の減少に伴う労働力不足が深刻な社会問題となっており、このことは連日様々なメディアで話題に上がるので、皆さんもよくご存知のことでしょう。
これまでの推移と将来の人口について、国立社会保障・人口問題研究所が推計した結果によると、生産年齢人口(15〜64歳)は、1995年の8,717万人をピークに減少に転じ、現在も減少傾向が継続していますが、2020年代後半には7,000万人を割り、2050年代には5,000万人を下回ることが予想されています。
※出典:2015年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳人口を除く)、2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」より
また、近年の景気状況や2020年の東京オリンピック開催の影響もあり、有能な人材を計画どおりに確保することが大変困難な状況になっており、厚生労働省が2017年9月29日に発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.52倍の高水準となっています。
このような売り手市場ではどうしても有能な人材は大企業に集中してしまうことが少なくありません。
そのような状況のなか、中小企業が何も手を打たず、メンタルヘルスや健康上の理由で離職率を上げてしまうと必要なスキルを持った人材を見つけて採用することは、非常に困難となります。
自社の従業員の健康を保ち、高いパフォーマンスを出すための施策を打つことができれば、そのリスクは最小限に食い止めることが可能です。
背景②:従業員の高齢化
日本全体が高齢化していると同時に、生産年齢人口の平均は、1970年の38.4歳から2015年へかけて45.8歳まで上昇中です。
出典:『日本の将来推計人口(平成29年推計)結果の概要』より
従業員が高齢化すれば、病気や入院といった健康上のリスクは上がり、健康が維持しにくくなるということに繋がります。
中小企業の場合、従業員は様々な仕事内容をこなす必要があり、一人欠員が出ただけで経営に大きなインパクトを与える可能性があります。
上記の二つの理由から、企業の将来的なリスクヘッジとして健康経営を取り入れるべきなのです。
中小企業が健康経営に取り組むべき5つの理由
先ほどは、中小企業が健康経営に取り組むべき理由を長期的な観点から述べました。
しかし、『企業は人なり』という言葉があるように、会社は人に支えられています。
長期的に健康経営に取り組むべきだと考える一方、短期的な取り組みではありますが、大切な従業員を守るためにできることがあります。
本項では、短期的な取り組みを行うべき5つの理由について、お話しさせていただきます。
理由その①:従業員の最低限の健康チェックを仕組み化
健康診断は労働安全衛生で定められた義務なので、忘れてそのままで済むものではなく、必ず全員が受けなければならないものです。
しかし、多忙な日常業務をこなす中小企業の従業員は、自分がいつ健康診断を受けるべきなのかを正しく把握出来ている人は多くないでしょう。また、管理者もそれをいちいち把握する工数も手間と感じるでしょう。
そこで、従業員の最低限の健康チェックを仕組み化することで、マネジメント層も利益を上げる施策に集中出来るようになるというメリットがあります。
理由その②:ヘルスリテラシーの向上
中小企業は、大企業に比べ、福利厚生や研修などにかける費用を簡単に捻出することは難しい場合が多いため、従業員のヘルスリテラシーが低いまま高齢化が進むという問題があります。
健康経営を行うことにより、従業員一人ひとりがしっかりと自身の健康状態に関心を持ち、ヘルスリテラシーが向上することによって、病気や健康上のリスクを抑えられる可能性を高められるというメリットがあります。
理由その③:労働生産性向上や採用コスト削減に効果あり
従業員がアブセンティズムやプレゼンティズム(※)に陥っている場合、同僚等に負担が増す恐れがあります。
その場合、健康であった同僚の心身にも影響を与え、負のスパイラルに落ち込むことになります。
このような職場環境ではパフォーマンスが低下し、離職率も高まりいい人材も集まりません。
その結果、生産性や創造性の低下、採用などのコストが増加し、企業収益にマイナスとなります。
※欠席を意味する「アブセンティズム」は、欠勤や休職、あるいは遅刻早退など、職場にいることができず、業務に就けない状態を意味します。
「プレゼンティズム」とは、出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題などにより、充分にパフォーマンスが上がらない状態を意味します。(例:花粉症や寝不足などにより作業効率が下がる、など)
労働生産性については、別記事「労働生産性とは?混同しがちな定義と計算式をわかりやすく解説」にて分かりやすく解説しています。労働生産性の向上に課題を抱えている担当者様は合わせてご一読ください。
理由その④:経営層の健康が従業員の健康にも影響
中小企業では、経営者と従業員の距離が近く、経営層の発言や行動が部下に大きな影響を与えてしまうことがあります。
特に、働き方などはその影響を受けやすいでしょう。例えば、社長や上司が夜遅くまで働いている場合、その下にいる人間は適切な業務量以上の仕事を振られたり、帰りにくい雰囲気になってしまったり、不健康な労働環境が生まれやすいです。
たまにそういう日があることは仕方がないことですが、連日そのような働き方をしてしまうと、結果的に従業員だけでなく企業の中核メンバーの体調にも影響が出る可能性があります。
理由その⑤:メンタルヘルスケアに効果的
近年、大企業・中小企業関わらずメンタルヘルス不調者が急増し、社会問題となっています。
その原因は、職場内のコミュニケーション不足であったり、適切な対処方法やノウハウが企業に蓄積されていないことなどが考えられます。
健康経営の実践では、従業員だけでなく、産業医や外部の健康をサポートしてくれる組織の力を借りることも必要なので、経営者は専門家から適切なアドバイスなどを聞く機会を得ることが出来ます。
その結果、最小限の労力とコストで職場内のメンタルヘルス不調者を出さない仕組み作りを進めることが可能になります。
中小企業が健康経営に取り組む5つのステップ
健康経営のメリットを理解しても、では実際にどのように進めていけば良いのかわからない、といった方も多いでしょう。
本項では、中小企業が健康経営に取り組む際に必要な5つのステップを『この1冊ですべてがわかる!健康経営実務必携』より紹介いたします。
ステップ① :健康宣言
ステップ②:組織体制
ステップ③:健康課題の把握
※労働者が50人以上いる事業所については、毎年のストレスチェックが義務化となりました。詳しくは、「毎年の実施が義務化に、ストレスチェック制度完全マニュアル」を合わせてご覧ください。
ステップ④:計画策定・健康づくりの推進
※有給休暇の取得については「2020年有休取得が企業の義務に?有給休暇の義務化とその対策」でもご紹介しております。有給休暇の取得数が低い、取得を促進していきたいとお考えの担当者様は、合わせてご覧ください。
ステップ⑤:取り組み評価・見直し
参考:「健康経営ハンドブック2016」
健康経営実践のための役割分担
5つのステップを効率的に実践するため、ここでは経営者・管理職・従業員それぞれの役割について言及します。
それぞれの視点から健康経営を捉え、理解し、自分たちの出来る範囲から少しずつ実現していくことが大切です。
“経営者の役割”
“管理職の役割”
“従業員の役割”
産業保健スタッフは、経営者が全社的な戦略的構想を描き、管理職や従業員が実践していくなかで、専門的な内容で判断に悩んだり、方向性を誤った際に助言や支援をしてくれる人たちのことです。
なお、産業医や衛生管理者の選任義務がない50人未満の事業所では、地域産業保健センター等の外部リソースを活用することもおすすめです。
明日から出来る健康経営スモールステップ
ここまで解説してきたところで、健康経営をまだ具体的にイメージ出来ていない方もいらっしゃるかと思います。
しかし、健康経営とは、何か特別なことを行うわけではありません。
労働基準法や労働安全衛生法等の法令で義務づけられている健康管理を尊守することはもちろんですが、大きな設備や多額の資金が無かったとしても、健康経営を実践することは可能です。
以下では、大きなステップに取り組んでいくためのスモールステップ例を紹介いたします。
<社内の健康づくりのための取り組み例>
など
自社で取り組めそうな施策はありましたか?
このほかにも、費用をかけずに実践可能な健康づくりは多くあります。
ぜひ、出来ることからコツコツと健康経営を実現していきましょう。
健康経営先進企業ケーススタディー
ここからは、実際に健康施策を自社の経営に取り入れた先進企業を『先進10事例に学ぶ「健康経営」の始め方』のなかから、3つのケーススタディーを紹介いたします。
自社で取り入れられそうな取り組み、目標と設定出来そうな取り組みをぜひ見つけてみてください。
ケース①: 本田技研工業
本田技研工業(ホンダ)では、永続的な企業経営に欠かせないものとして、いち早くメンタルヘルス対策に取り組んできました。
同社の対策の特徴は、復職支援や再発防止といった「三次予防」や、早期発見のための「二次予防」まで視野を広げた施策を打ち立てていることです。
事業所単位の対策から全社の取り組みへ
ホンダがメンタルヘルス対策に力を入れ始めたのは、10年ほど前のこと。メンタルヘルス不調者が増えたことがきっかけでした。
打開のため、全社的な方針を立てた上で取り組むことを目的に、2008年に「メンタルヘルス対応のワーキングチーム」を設置。外部の専門家にも参加してもらい、課題を抽出。
2009年には、「全社メンタルヘルス推進チーム」を設置。ワーキングチームで挙がった課題を解決するため、「オールHonda心の健康づくり」として「人間尊重」「個々の多様性を認める」「コミュニケーションを大切にする」といった基本姿勢と、五つの主要施策を打ち出しました。
5つの主要施策
主要施策は、①予防教育の徹底、②職場環境改善活動の推進、③ストレスチェックの実施、④相談対応体制の充実と医療機関との連携強化、⑤職場復帰支援体制の整備の5つ。
一般企業におけるメンタルヘルス対策と言えば、不調者への対応や復職支援を中心に行われますが、ホンダでは不調にならないための教育にも力をいれる方針を打ち立てています。
不調にならないための教育とは
メンタル不調になる前段階、つまり「未病」の時にいかに自分の異変に気づくことが出来るのかがカギとなります。
そのためにホンダでは、社員の誰もが等しくメンタルヘルスに関する正しい知識と対処法を身につけられるよう、メンタルヘルスに関する冊子を作成しました。これにより、全社員がメンタルヘルスの知識を共有することが出来るようになりました。
冊子にはいくつかの種類がありますが、全社員に配布される基本冊子は、「セルフケア用」とされるものです。
自分の健康状態に気付き、異変を感じたらどのように対応すればよいのか、どのような相談先があるのか、といった内容が盛り込まれています。
さらに、メンタルヘルス不調に陥らないために必要なノウハウとして、「自分も他人も気持ちの良い表現の仕方」や「感情コントロール力の高め方」など、コミュニケーション能力や問題解決能力を身につけるための技法についても詳しく解説されており、これが予防に大きな役割を果たしているといいます。
社員の「活き活き」を実現する
ホンダが目指しているのは、社員一人ひとりが「ワークエンゲイジメント」の状態になることです。
つまり、働きやすく、働きがいのある状態のことを指します。これを「活き活き」と表現しています。
5つのメンタルヘルス施策スタートから5年経過していますが、最終的な結果はまだ出ていないものの、すでにメンタルヘルス不調による休職者は減少に転じつつあります。
ケース② :医療法人博愛会(福岡市)
博愛会は、145床の博愛会病院のほか、人間ドッグセンター施設などを展開している地域密着型の医療法人であり、500名の職員を抱える中小企業でもあります。
2013年6月、福岡市中央区にある医療法人財団博愛会は日本政策投資銀行(DBJ)の「健康経営格付」で「従業員の健康配慮への取り組みが特に優れている」と評価され、最高のAランクに認定されました。さらに、同法人は、優遇金利で融資を受けることもできました。
この格付けは、「『健康増進』を企業レベルの取り組みに位置づけているか」「生活習慣病対策を適切に実施しているか」など16の中項目や100を超える小項目について、実地審査で付与されます。
花王やカゴメなど大企業4社がこれを取得していますが、中小企業では博愛会のみです。
健康情報を発信し、評価されるまで
健康経営のスタートにあたり、博愛会は、法人事務局内に「健康経営推進室」を立ち上げ、産業医を室長に、保健師や衛生管理者などの産業保健スタッフ、さらに事務職員などがメンバーになりました。
そして、職員自身が健康を意識し、家庭や職場で健康活動を行い、地域への健康情報の発信にも取り組んでいく「博愛会健康宣言」を行い、イントラネット上に掲載し、職員への周知を図りました。
また、2013年2月には、健康診断やアンケート調査の結果を踏まえ、より具体的な生活習慣病やメンタルヘルス対策に関する職員対象のセミナーも開催しました。
その取り組みが評価され、同年2月下旬に行われた健康経営格付の審査を通過し、その取得を実現しました。
格付け取得後に行った様々な健康施策
格付け取得後、博愛社は記念のQUOカードを作成し、ボーナス支給時に職員にプレゼントをしました。
取得を記念した博多湾のクルーズも開催。当初の狙い通り、法人に対する職員の帰属心を高める効果を実感しているとのことです。
また、2013年度の事業計画として、自動販売機で売る飲み物に健康飲料を採用することにも取り組んでいます。
特定保健用食品のコーラや乳酸菌飲料などを職員や患者に安価で販売していくという計画です。
そのほか、同社では以下のような様々な取り組みを行っています。
中小企業こそユニークな制度を
博愛会の理事長であり、福岡の大企業の産業医でもある那須繁氏は、インタビューの中で、「今後、健康経営の取り組みが経営に及ぼす成果を離職率などのデータで示していきたい」とし、「中小企業こそ、ユニークな制度を生み出すことができるはず」と話しています。
ケース③ :SCSK
SCSK株式会社は、2011年、住商情報システム(SCS)とCSKが経営統合して誕生したIT企業です。
IT企業における生産コストの大半は、人件費です。つまり、社員一人ひとりの体調や健康が状態がダイレクトに売上や経営に響いてくる可能性があります。
同社も例に漏れず、「働きやすい、やりがいのある会社」づくりを目指し、働き方改革にも積極的に行動・投資をしています。
具体的に行なっている取り組み例として、以下の4つがあります。
①社員の健康増進
②残業時間の低減
③有給休暇の取得推進
④ダイバーシティ(多様性)の推進
インセンティブを活用した禁煙とウォーキングキャンペーン
SCSKは社員向けの健康増進施策として、まず、禁煙とウォーキングのキャンペーンを行いました。
実施期間は、2010年11月〜2011年4月までの6ヶ月間。注意喚起を促す通常の施策とは異なり、同社は※インセンティブ制度を導入しました。
それぞれの目標を達成した社員には、福利厚生制度として旅行などに利用可能なポイントを付与する仕組みを取り入れました。
禁煙の場合、達成者本人に5万円分のポイントを与えるのに加え、タバコを吸いそうになったときに止めてくれる同僚などの「禁煙サポーター」にも、合計2万円分のポイントを与えます。
ウォーキングの場合にも、1日当たりの平均歩数が1万歩以上の場合に、1万円分のポイントを付与することになっています。
これらのキャンペーンは2013年3月から一部内容を見直した上で、再度実施しています。また併せて、同社は、2013年4月に就業規則を改定し、就業時間中の禁煙を定めました。
※社員のモチベーションを上げるインセンティブ制度について、別記事「企業担当者が考える社員のモチベーションを上げるインセンティブ制度」でご紹介しています。合わせてご覧ください。
働きやすい職場環境のために
SCSKは、先ほど述べたキャンペーンの他にも様々な健康施策に取り組んでいます。
例えば、以下のとおり。
上記事例のほかにも、健康経営を推進している企業は多くあります。
その他の健康経営の実践事例を知りたい場合は、中央労働災害防止協会のサイトの健康づくり取り組み事業場の事例紹介ページや、経済産業省が作成している健康経営ハンドブックにも紹介されていますので、ぜひご参照ください。
まとめ
ここで改めて、健康経営の定義とメリットを記載いたします。
<健康経営の定義>
健康経営(けんこうけいえい)とは、従業員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員の健康の維持・増進と会社の生産性向上を目指す経営手法のこと。
<従業員に対する効果>
<企業経営に対する効果>
従業員の健康を大事に考え、投資することが出来る企業は、今後益々市場価値を上げていくでしょう。
しかし、健康経営は、一朝一夕に成し得るものではありません。
小さな一歩から、日々の自社経営に活かすヒントを見つけてみてください。
【参考文献・URL】
・稲田耕平/阿藤通明/坂野裕輔 著『この1冊ですべてがわかる!健康経営実務必携』(日本法令、2017)
・井上俊明『先進10事例に学ぶ「健康経営」の始め方』(日経BPコンサルティング、2014)
・経済産業省HP内「健康経営銘柄ページ」
記事提供元:株式会社ベネフィット・ワン運営サイト「BOWGL」
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