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新型コロナウイルスが猛威をふるい始めた2020年4月以降、リモートワーク・在宅ワークなどの働き方が日本国内で急速に広がりました。それに伴い、新たなワークスタイルで活用可能な各種サービス群の広告出稿状況にも変化が起こっています。そこで今回は、コロナ禍でのコミュニケーション関連サービス、セールステック関連サービスにおける広告出稿状況の調査結果についてご紹介します。
広告出稿とはマスメディアやインターネット上で広告を出すことです。かつてはテレビやラジオ、あるいは紙による広告がメインでしたが、インターネットの普及に伴い、ネット上で閲覧者に見てもらうデジタル広告の重要性が増してきました。
デジタル広告においては、広告の内容がディスプレイ上に表示されるインプレッション数が広告出稿量を示す重要な指標になってきます。Webマーケティングにおいては、商品・サービスの売上増という最終的な目標を果たすために、ネット利用者に自社広告を少しでも多く閲覧してもらうことが大事です。見てもらう回数が増えれば、それだけ商品・サービスの認知度上昇につながります。
インプレッション数は、「PV(Page View:ページの閲覧者数)× ページに掲載されている広告数」で算出されます。1ページあたりの広告数が1つであればPV=インプレッション数で計算できますが、実際には一つのページに複数の広告が並列して掲載されることも多いので、上記の計算式で算出されるのが一般的です。
ビデオリサーチインタラクティブ(VRI)は2020年5月、2020年4月~2021年3月までのコミュニケーション関連サービスのデジタル広告出稿状況を発表しました。
ここでのコミュニケーション関連サービスとは、ウェブ会議やビジネスチャットなどで活用される各種ツールのことで、具体的にはZoomやSlack、Chatworkなどを指します。VRIは広告統計サービスdigiads(デジアズ)のデータを元に、それらサービスの広告におけるインプレッション数=広告出稿量を調査・公表しました。
調査結果によると、コミュニケーション関連サービスの2020年4月から2021年3月までの約1年間における総インプレッション数は、約10億回に到達しています。月ごとにみると、緊急事態宣言の第1回目が発出された2020年4月における広告出稿量が最も多く、インプレッション数は約3億9,800万回に上っていました。これは他の月に比べて突出して多く、初の緊急事態宣言に伴うリモートワークへの関心・ニーズの高まりの中、各種サービスの広告出稿量が増加していたことを示しているといえます。その後、コロナ禍が深刻化した2021年1月に再び増加し、インプレッション数は1億回を超えました。
コミュニケーション関連サービスにおける広告出稿量をみると、コロナ禍の感染状況とリンクしている部分がみて取れます。コロナ禍の脅威が社会の中で高まると、リモートワークで使用される各種ツールへの必要性も高まり、それに合わせてコミュニケーション関連サービスの広告出稿量も増えているわけです。
今回公表されたVRIの調査結果では、2020年4月~2021年3月までのセールステック関連サービスにおける広告出稿量についても提示されています。セールステック関連サービスとは企業の営業活動を支援するサービスのことで、CRM(顧客関係管理)ツールや名刺管理ツール、MA(マーケティングオートメーション)などのことです。このセールステック関連サービスの広告出稿量=インプレッション数は、2020年4月~2021年3月までの時期で約20億回に上り、コミュニケーション関連サービスの約2倍となっています。
一方、広告出稿量の推移を月単位でみると、第1回目の緊急事態宣が発出された2020年4月、さらに感染拡大が深刻化した2021年1月に出稿量が一気に減少していました。コロナ禍が深刻化すると企業の営業活動はどうしても制限されてくるため、それに伴いセールステック関連サービスの広告出稿量も減少しているとも考えられます。
実際、新型コロナウイルスが感染拡大する前のデータをみてみると、2019年10月や2021年1月などの出稿量はコロナ禍以降の各月の出稿量よりも多くなっていました。セールステック関連サービスの場合、Web会議・ビジネスチャットの分野とは異なり、コロナ禍の脅威が増すと広告出稿量が減る傾向がみて取れます。
参照:働き方は変わった!?Web会議/ビジネスチャットやセールステック関連サービスのデジタル広告出稿状況
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワークの必要性が高まりました。Web会議・ビジネスチャットに関わる各種サービスのデジタル広告出稿量については、緊急事態宣言が発出されてた2020年4月に突出して多くなっています。その後、感染拡大が再び深刻化した2021年1月にも増加していました。
一方、セールステック関連サービスの場合、緊急事態宣言が発出された2020年4月、再び脅威が深刻化した2021年1月に、広告出稿量は大きく減少していました。コミュニケーション関連サービスでは多くなっていた2020年4月や2021年1月に、セールステック関連サービスが相対的に少なくなっていたわけです。
緊急事態宣言の発出などコロナ禍が深刻化すると、リモートワークへのニーズの増加=コミュニケーション関連サービスにおける広告出稿量の増加、営業活動の制限=セールステック関連サービスにおける広告出稿量の低下、という状況が生じていたともいえます。
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