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「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の内容、問題点を詳しく解説

公開日2021/07/25 更新日2021/07/26


今年の6月18日に、政府で「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定されました。政府が今後の日本社会のあり方を大きく変えようとしている重大な計画ですが、具体的にどのような内容なのかが分かりにくい面もあります。そこで今回は、デジタル社会に向けた重点計画について説明し、計画を実行する上で課題となる事柄も解説していきます。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」とは?

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」とは、2021年9月に施行されるデジタル社会形成基本法を見据えて、同法に基づく計画を先取りして策定したものです。いわば、法施行前の現時点において盛り込むべき事項を提示するために策定されたのが、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」といえます。

政府はすでに、2021年9月のデジタル社会形成基本法の施行に合わせて、デジタル庁の創設も決定しています。法律の制定と行政機関の設置とを同時に行い、日本社会全体を一気に「デジタル社会」へと移行させようというのが政府の狙いです。

デジタル社会形成基本法の施行とデジタル庁の創設の背景にあるもの

では、なぜ日本政府はデジタル社会の実現に向けてこうも力を入れているのでしょうか。

2021年7月時点の日本では、IT化・情報社会化に対応すべく制定されている法律としてIT基本法があります。これは平成12年に制定された法律で、当時急速に技術革新・普及が進んでいたインターネットなどの高度情報通信ネットワークを「整備すること」に重点が置かれました。日本におけるネット環境を整備して各産業における国際競争力を高め、IT分野に関わる新たな就業機会を創出し、国民生活の利便性を高めようというのが、法律施行の目的でした。

実際、IT基本法が施行されて以降、同法律の枠内で整備が進められ、現在ではビジネスや生活の場で容易にネットを利用できる時代が到来しています。インターネット環境を利用してのビジネス支援サービス事業、通信販売事業を手掛ける企業も増え、20年前とは産業・社会のあり方が大きく変わっているといるでしょう。

しかし、社会のIT化が進むにつれて、IT基本法だけでは対応しきれない状況が生まれつつあります。例えば国・地方自治体において、「情報システム間の連携ができない」「デジタル化できる技術・環境が社会の中にあるのに、非効率な押印・紙ベースの猥雑な手続きをいまだに行っている」といった事態です。

こうした状況を改善するには、「デジタル化された情報・データを最大限に活用できる社会・組織体制を整えること」が欠かせません。そこで既存のIT基本法を見直して社会のデジタル化を推し進めるべく、政府は新たな法的基盤としてのデジタル社会形成基本法の制定と、普及を促す行政機関であるデジタル庁の創設を決めたのです。

デジタル社会の実現で国民向けサービスはより便利に

政府が公表している「デジタル社会の実現に向けた重点計画の概要」によると、デジタル社会の実現が進められることで、公共分野の国民向けサービスは大きく変わるとしています。例えば、マイナンバーカードを利用して行政手続きを簡素化できる「マイナポータル」の抜本的改善、政府ウェブサイトの標準化および統一化、さらに国民や自治体からの声を国が直接聴ける仕組みの構築などがその一例です。

さらに、子育てや介護、引っ越し、相続、社会保険・税、法人設立関係など、国民が行政手続きを行う際の対応も、担当課等をたらいまわしにされることなく、ワンストップサービスを推進できるとしています。

また、民間・準公共分野においても、少なくとも健康・医療・介護、教育、防災、モビリティ(自動運転技術など)、農業・水産業、港湾物流、インフラ構築などの領域で、新技術の導入や効率化を実現できると政府は考えています。そしてそのための準備として令和3年度中に、政府は以下のことを実施する予定です。

  • 社会課題の抽出および実現すべきサービスの設定。
  • データ標準の策定、データを取り扱う上でのルールやシステムの整備。
  • ビジネスモデルの具体化、デジタル化・データ連携に向けた取り組みを支援するためのプログラムの創設の検討。

ほかにも政府は、官民を挙げてのデジタル人材の育成および確保、デジタル情報を誰でも利用できるアクセシビリティの確保など、多様な計画を「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に盛り込んでいます。これらが実現されれば、日本社会はデジタル化に向けて大きく変化するでしょう。

デジタル社会とプライバシー保護の問題

しかしデジタル社会を推進することには、懸念すべき点があります。それはプライバシーの保護をどれだけ徹底できるか、という点です。

データ・情報を活用化しやすい社会を構築するということは、それだけ個人情報もデータ化され、必要に応じて利用できる体制を強化することを意味します。行政機関や企業はそれらデジタル化された個人データを使用して、行政手続きの簡素化、提供サービスの効率化などを図るわけです。

しかしデータの利活用だけを追求しすぎると、個人情報に対する配慮・保護の面が後回しにされる可能性も否定できません。現在、地方自治体ごとに個人情報の保護条例が定められていますが、こうした既存の法令との兼ね合いをどうするのか、どこまでプライバシーに配慮したデジタル化を進められるのかという点は、今後さらに詰めて議論すべき点といえます。

まとめ

2021年6月に策定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」は、同年9月に行われるデジタル社会形成基本法の施行とデジタル庁の創設を見据えて策定された計画です。計画に盛り込まれている内容が実際に実現されていけば、行政機関における作業効率アップ、民間企業における新たな産業・事業の創出にもつながると考えられます。

しかし一方で、デジタル化によるデータ共有化を推し進めるあまり、個人のプライバシー保護がおろそかになるとの懸念も拭いきれません。この点はデジタル社会推進における課題ともいえます。

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