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2001年に創業し、顧客対応DXプラットフォーム「Discoveriez」(ディスカバリーズ)の開発・販売、顧客接点データを活用したBI/AIの開発を行っている株式会社ジーネクスト。
同社は2021年3月に上場を果たしましたが、その陰にはCEOの熱い思いを支えるCFOの存在がありました。
接客業から公認会計士へ転身したという異色の経歴をお持ちの取締役CFO、三ヶ尻秀樹氏に同社のCFOになるまでの経緯やコロナ禍で苦労した上場のエピソード、バックオフィス業務への思いなどを伺いました。
――まずは簡単に貴社の業務内容と三ヶ尻さんの経歴を教えていただけますか?
株式会社ジーネクストでは、顧客対応DXプラットフォーム「Discoveriez」の開発や販売を主に行っています。他にも「Discoveriez」の導入に関わる相談や顧客接点データを活用したBI/AIの開発も行っています。
「Discoveriez」は顧客起点の情報収集・活用システムを仕組化したもので、企業のお客様相談室などを中心にお使いいただいています。たとえば菓子メーカーが販売する菓子に「虫が入っていた」という顧客からの声を、お客様相談室のオペレーターから品質管理、営業、工場に情報をエスカレーションし、共有していくシステムだとお考えいただければいいと思います。
次に私の経歴ですが、大学卒業後は小売業(株式会社丸井)に就職しました。大学時代から自分は接客業に向いていると思っていたので、小売り、アパレルを中心に就職活動をしていたのです。就職先の丸井では、約9年間、婦人服と婦人靴を中心に接客の日々でした。
――そこから会計士を目指されたと聞きましたが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
丸井でのお仕事はとても楽しいものでした。ただ33歳になったとき、まわりに若い売り子さんが増えてきて、自分は40歳になっても接客業を続けていけるだろうか?と不安になりました。それはイメージできないな、と気づいたときに初めて仕事を変えようと思いました。

――そこから公認会計士への挑戦が始まるわけですが、なぜ公認会計士だったのでしょう?
私は大学時代すごく勉強に燃えていて、当時は会計学研究部に所属していたのです。まわりに会計士を目指している友達が多くて、ダブルスクールしている人も多くいました。私もまわりに流されて専門学校に通いましたが、公認会計士という仕事もよく知らなかったので、一ヶ月ほどで辞めてしまいました(笑)。
丸井を辞めたときに、このことを思いだしたのです。自分は接客しかできない、今後は何か武器になるものが必要だと。このとき改めて公認会計士という職業を調べ直して、素晴らしい仕事だなと思いました。こうして、覚悟を持って挑戦しようと決めたのです。
――試験勉強はスムーズに進みましたか?
とんでもありません(笑)。33歳で挑戦を開始して、土日祝日も関係ない終日の座学ですからね。ストレスがすごかったのでしょう、何回か熱を出しました。
ひたすら3年間勉強を続けましたが、2年目で受けた試験に落ちたときには心が折れそうになりました。ここが一番辛かった。でも合格するしかありませんからね。
35歳でやっと合格し、監査法人に入ることになります。

当時の監査法人は会計上の新しい制度導入の影響もあり、人を多く採用していました。売り手市場というわけですね。ここで入所したのが新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)です。
――遅咲きの新人となられたわけですが、監査法人でもご苦労はありましたか?
接客業が長くパソコンをまともに触ったことが無かったので、それは苦労しましたね。ビジネスメールを書いたこともありませんでしたから。ですがそれ以外は、勉強の連続で楽しかった。
4、5年は国内の上場企業の監査を担当して、バックオフィス業務なども勉強できました。そのあと法人内の異動で、スタートアップ企業をターゲットとしたIPOを支援(アドバイス、監査業務)する担当になりました。ここで多くのスタートアップと接点を持ったことが、後のキャリアに影響したと思っています。とにかくスタートアップの経営者は、一日中会社のことしか考えていない。そのパワフルさと信念はすごいなと思いました。こちらもパワーをもらえるのです。
そして今後も関わりたいと強く思うようになりました。

その後何年かして、証券会社への出向の話がありました。私は証券会社の立場からもIPOの世界を見たいなと思っていたので、この出向にはすぐに手を挙げました。
通常監査法人から証券会社への出向というとIPOの引き受け審査部門が多いのですが、私はフロントに近い部門へと出向しました。ここではIPOを目指す会社の主幹事獲得のための準備や、IPOそのものへの準備、主幹事獲得後のことまでを勉強することができました。
――そして2019年、ジーネクストに取締役CFOとして就任されます。
そうですね。さまざまなことを経験して、他社を支援するのではなくIPOに自分で関わりたくなりました。熱いCEOの役に立ちたいとも思ったのです。
――2021年3月に、株式会社ジーネクストは上場されました。当時はコロナ禍でしたが、ご苦労はありましたか?
2020年4月から上場当期(申請期)となりましたが、すぐに緊急事態宣言が出ましたからね。このとき東証から上場承認を受けた10社以上の会社が、承認を得たにもかかわらず東証に上場申請の取り消しの申し出を行い、結果として承認が取り消しとなっています。原因ははっきりとはわかりませんが、コロナの影響でバリュエーションが希望額に届かなかったからか、業績悪化などが原因かもしれません。
当社の場合は製品自体がクラウドベースでテレワークに最適なものだったことから、コロナ禍での価値がお客様に認められたと考えています。取引先各社において、お客様相談室への相談が増えていたことも追い風となりました。苦しかったことはコロナ禍での業績達成予想などの説明や、東証の審査に行ける人数が限られ、大半がリモートで参加したことなどでしょうか。現場の温度感が伝わらないのです。ですが幸いにも、IPOは達成できました。
――現在三ヶ尻さんは、バックオフィス業務に深く関わっておられます。監査法人や証券会社、ジーネクストを経験したからこそ思う、これからのバックオフィスについてお聞かせ下さい。
当社は営業部門、開発部門、管理部門と3つに区分されています。営業と開発以外の業務はすべて管理部門の業務になり、とても業務の範囲が広いのです。ここで思うのは、バックオフィスにはビジネスを念頭に置いたバランス感覚が必要だということ。管理部的に絶対にNoと言わなければいけないときもあるし、だからといって杓子定規ではいけない。
Noと言うのは簡単です。私はNoと言う前に、なるべく代替案を示すようにしています。
あと、管理部門は最後の砦だとしっかり自覚すること。ここが何かを見逃せばあとは無い。サッカーでいうとゴールキーパーのようなものです。そんな覚悟を持って日々の業務に当たって欲しいと思います。
――最後に、バックオフィスでキャリアアップを目指す読者へ向けてアドバイスはありますか?
バックオフィス業務は、ITやAIによる効率化がこの先もどんどん進むでしょう。単純作業だけをやっている人は必然的に苦しくなります。付加価値の高い業務に対応するにはどうすればいいかをよく考えるべきです。専門性を高めるとか、もちろん公認会計士の資格取得もその一つですね。頑張って下さい。
――以上になります。本日はありがとうございました。
これからのバックオフィス業務に求められる要件は、付加価値の高い業務に対応できる深い知識と、ビジネスを念頭に置いた的確でスマートな判断力。
そしてもっと大切なのは、経歴ではなく、目指すものになりたいと思う熱い決意。今回のインタビューでは、その重要さを三ヶ尻さんの経験から学ぶことができました。
<プロフィール>

三ヶ尻 秀樹(みかじり ひでき) 株式会社ジーネクスト 取締役CFO
1995年 4月 株式会社丸井 入社
2006年12月 新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人) 入所
2019年 1月 株式会社ココペリ 入社 執行役員CFO
2019年11月 株式会社ジーネクスト 入社 取締役CFO(現任)
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