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「コロナ倒産」という言葉が生まれたように、新型コロナにより業績不振に陥った企業は少なくありません。飲食業界もそのひとつです。しかしここ数カ月の間に、飲食業界の求人数が増加しています。その背景にはどのような要因があるのでしょうか。また、コロナ禍でも求人数を伸ばしている業界は他にもあるのでしょうか。本記事では、コロナ禍にありながら人手不足である業界を探りました。
目次【本記事の内容】
多くの業界が新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けコロナ倒産が相次いだなか、飲食業界は特に大きな打撃を受けました。休業や営業時間短縮により、従業員を解雇せざるを得ない飲食店も少なくありませんでした。
しかしながらここ数カ月の間に、飲食業界の求人数は増加傾向にあるのです。いまだにコロナ禍でありながら飲食業界の求人数が伸びていることについて、実態を探ってみましょう。
飲食物調理の令和3年9月の有効求人倍率は1.64倍(前年同月差0.29ポイント増)で、飲食業界の求人数はコロナ禍で減少したものの、最近になって再び増加傾向がみられ、営業再開に向けて人材の確保に動き出した様子がうかがえます。この背景には、以下の要因が考えられます。
これまで飲食店には、営業時間や酒類の提供時間に制限が設けられていました。しかしこれらの時間制限がなくなり、飲食店側で自由に設定できるようになったのです。
東京都では10月25日から11月30日の間、新型コロナ対策認証店に限り時短営業や酒類提供の制限を全面解除しました。ただし同テーブル4名までの利用としています。また大阪府でも10月25日から、同テーブル4名までの利用で営業時間や酒類提供時間の制限をなくしました。
全国的に飲食店の営業時間・酒類提供時間の制限が解除されているなかで、コロナ禍で自粛していた外食を再開する人が増えると予想されています。このような背景から、各飲食店は人材確保に奔走しているのです。
東京都の主要繁華街の滞留人口は緊急事態宣言中には低い水準だったものの、緊急事態宣言が解除された9月末から急激に増加しています。この増加の傾向は時間帯に関係ないため、どの時間帯でも人流が増加しているといえます。外出すると食事や休憩のために飲食店を訪れる機会も増え、飲食店の来客数増加にもつながります。
そのため居酒屋などの酒類を提供する夜間に営業する飲食店だけでなく、日中に営業するカフェやレストランなどの飲食店の需要も拡大していくと見込まれます。このような背景から、酒類を提供する飲食店に限らず飲食業界全体で求人数が増えているのです。
コロナ禍でありながら求人数が増えている飲食業界。しかしそれ以外にも、求人数が増加傾向にある業界がいくつかあります。
有効求人倍率でみると、土木や建築関係の業種が令和3年9月前年同月比で増加傾向にあります。
そもそも技術者不足や離職率の高さで有効求人倍率が高い業種ではありますが、コロナ禍にありながら求人数は増加傾向にあります。建設業はコロナ禍で工事の取りやめや中止などが相次ぎコロナ倒産が多くみられましたが、土木業は新型コロナの影響を大きく受けていません。令和3年9月の有効求人倍率は5.91倍です。
その背景には防災・減災分野の需要拡大や、再生可能エネルギーなど成長分野への参入などがあります。また首都圏を中心に都市開発が進んでいることも、土木関連事業の求人数増加を後押ししています。
有効求人倍率でみると、医療業界の職種も人材不足であることがわかります。
慢性的な人材不足の業界ですが、コロナ対応による医療ニーズ拡大が人材不足を加速させました。またコロナ対応の影響で離職が進んだことも、人材不足の背景にあります。
さらに最近では介護施設や在宅看護などが増加し、医療関係のさまざまなサービスが展開されています。このような背景からも医療業界に携わる人材の確保が難しくなっているのです。令和3年9月の医師・薬剤師の有効求人倍率は1.91倍、医療技術者は2.96倍となっています。
緊急事態宣言や飲食店の営業時間制限の解除に伴い、飲食店が活気づいてくることが予想され、人材の争奪戦が始まっている飲食業界。またコロナの影響をあまり受けなかった土木関係や、コロナ禍でニーズが拡大した医療業界なども人材不足に陥っています。
ただし、いずれの業種も離職率の高さが問題視されている業界。今後は、定期的な面談による従業員のケアや研修制度による従業員のスキルアップなどを取り入れ、より働きやすい環境にして離職を防ぐ対策を講じる必要があるでしょう。
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