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「Mergers(合併)」と「Acquisitions(買収)」を総括してM&A(エムアンドエー)と呼びます。近年は企業の経営規模拡大や合理化の手段として、日本国内でもM&Aが活発に行われるようになりました。
ところが、ここ数年のM&Aには陰りがみえ、このまま低迷期が続くという予測もありました。そんな中で、2021年からのM&A市場には復活の兆しが現れています。今回の記事では国内M&Aの現状と、今後の展望について紹介しましょう。
国内企業のM&A件数は、2008年には870件を超えていましたが、同年のリーマンショック以降は停滞期に入り、この記録が破られることはありませんでした。しかし、それからおよそ13年を経て、ようやく2021年に再び870件を超えるまでM&Aの動きが回復したのです。
さらに、そのうちの74件は100億円以上の高額M&Aであり、海外企業に対するM&Aが多かったことも2021年の特徴でした。最大の案件は製造業大手がアメリカの新興IT企業に対して行ったM&Aで、1兆400億円という大規模なものでした。
一般的にM&Aとは、以下に挙げる3つのケースで定義されます。
・買収:株式取得(株式譲渡、新株引受、株式交換)、事業譲渡(一部譲渡、全部譲渡)
・合併:吸収合併、新設合併
・分割:吸収分割、新設分割
このほかに、相手企業の経営権を取得したり、子会社化したりする目的で行われるTOB(株式公開買付)もM&Aの1手法とされています。いずれのケースでも、企業の経営権が完全に移転することでM&Aが成立します。
日本の伝統的なビジネス感覚からすると、M&Aとは相手企業を力ずくで買い取るイメージがあるかもしれません。しかし現代のM&Aは、売り手側と買い手側の双方にメリットがあるケースがほとんどです。
まず売り手側にとっては、みずから創設した企業の価値が高まり、事業と従業員を守ることができます。これは後継者問題や事業承継問題の解決にもつながります。また、創業者利益を得られることもあり、新たな事業を始めるチャンスが生まれるほか、譲渡益により負債を清算することも可能になります。
一方で買い手側の立場からすると、M&Aは経営基盤の強化や拡大に大きなメリットをもたらします。相手側の技術やノウハウを直接手に入れることができ、人材の獲得により事業規模を拡大することもできるでしょう。新規事業への参入など、事業の多角化を考える上でも有効な手段だといえます。
さて、M&Aの概要とメリットを確認したところで、改めて2021年のM&Aについて検証してみましょう。2020年は新型コロナウィルス問題により、海外企業とのビジネスが停滞し、高額のM&Aは大きく減少しました。その流れが2021年には反転の動きをみせて、1兆円以上の案件は少なかったものの、1,000億円を超える案件はコロナ以前のレベルにまで回復しています。
また海外企業のM&Aの増加と同時に、100億円以上の案件に占めるTOBの割合が高かったのも2021年の特徴です。ただし150億円規模のM&Aで、経営方針をめぐる意見の相違が生じて、契約が見送りになったという案件もありました。企業間での合意に至っても、最後まで油断できないのがM&Aの怖さかもしれません。
過去のM&Aを振り返ってみると、国内企業による最大の取引は、2018年に行われた6兆2,000億円という事例で、アイルランドの企業を国内の大手製薬会社が買収しています。2020年は100億円以上のM&Aが少なかった反面、歴代トップ10に入る高額M&Aが3件もありました。
TOBまで含めると、近年のM&Aは製薬業や製造業による事例が目立ちます。さらに通信関連大手によるM&Aなど、海外の事例のようにM&Aを1つの経営手法に位置づけるケースも増えてきました。
今後日本国内では、生産人口の減少にともない、慢性的な人材不足が一段と深刻化すると考えられます。後継者問題や事業承継問題も拡大すると見込まれており、企業と人材のように、今そこにある資源をより効率的に活用する必要が高まるでしょう。
また一時期リーマンショックの影響で低迷していたIPO(新規株式公開)も、ベンチャー企業の将来性に投資する形で復活の兆しをみせています。
こうした要素を総括すると、この先もM&Aはますます活発化すると予測できます。しかも中小企業レベルでの、小規模なM&Aも増加するかもしれません。経営戦略の一端としてM&Aを活用する動きが、さらに広がるのではないでしょうか。
企業にとってM&Aは、現在これまでとは別な意味を持ち始めています。日本の上場企業も欧米の事例を手本に、経営戦略の1手法としてM&Aを活用するようになってきました。この流れは今後も続くと予想され、M&Aが幅広い規模の企業で一般的になる可能性があります。
同時にM&Aは各業界の再編を加速させるかもしれません。大手企業によるM&Aがさらに活発化すると、新興ベンチャー企業から老舗の企業まで、普段から自社のブランドと企業価値を高めておく必要があります。今後は企業そのものの価値が問われる時代になるはずです。
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