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自治体の魅力を住民税の税額から判断してはいけない理由

公開日2022/06/11 更新日2022/06/29

私たちにとって身近な税金として知られる住民税ですが、その税額にも地域差があることをご存じでしょうか?

国税ではなく地方税として納める住民税は、実は自治体によっては税率を変えることも可能なので、地域ごとに税額が異なるのです。

ではなぜ自治体によって税額が異なるのか? 住民税が高い自治体よりも安い自治体の方が魅力的なのか? その疑問について解説していきます。

そもそも住民税とは

私たちが生活する上で義務とされているのが納税です。日常生活を送る中で課税される税金の種類はさまざまあり、とくに関わりの深い税金の一つが住民税です。

しかし、住民税という言葉は知っていても、そもそも何のための税金なのか、どのように計算されているのか――といったことは意外と知らないものです。

●行政サービスを運用していくための財源

住民税は国へ納める税金ではなく、道府県と市町村に納める地方税に分類されます。一般的に、県民税や市民税などと呼ばれるものです。

収納された住民税は、教育や福祉をはじめ、ごみ処理など各種行政サービスを運用するための財源として利用されています。

ちなみに住民税には、個人住民税と法人住民税の2種類があります。個人住民税は私たちが普段見聞きする最も身近な住民税で、その自治体に居住する納税者に対して課せられる住民税です。

法人住民税はその名の通り、その自治体において営業をしている法人に対して課される住民税です。

ここでは個人住民税について解説していきます。

●課税対象と非課税対象

住民税は、働いていて所得のある人に課税されますが、後述する所得割・均等割ともに非課税となる人や、所得割だけが非課税になる人など、所得状況に応じて課税内容も異なります。

所得割と均等割の両方が非課税

・合計所得金額が市区町村の定めた額に満たない人

・未成年者、障害がある、寡婦、ひとり親で前年の合計所得が135万円以下

・生活保護受給者

所得割だけが非課税

・前年の合計所得が45万円以下の単身者

・同一生計配偶者および扶養親族がいる場合は、前年の合計所得が市区町村の定めた額に満たない人

働いていても、所得が一定の基準に満たない場合などは住民税が非課税になることがありますし、生活保護受給者に関しては原則的に住民税が免除されます。

●住民税の計算は所得割と均等割がベース

住民税は、所得に応じて負担額が決まる「所得割」と、所得とは無関係に定額で負担額が決められた「均等割」があります。

所得割の場合は所得の10%(道府県民税4%+市町村民税6%)、均等割は通常4,000円(道府県民税1,000円+市町村民税3,000円)と決められています。これを「標準税率」といいます。

ただし均等割に限り、2023年までは東日本大震災を踏まえた防災費用確保のために道府県民税・市町村民税ともに500円、合計1,000円分が引き上げられています。従って、その間の均等割は税額が5,000円になります。また、所得割についても、自治体によっては条例で税率を変えることも可能です。

この所得割と均等割の合計が、個人住民税の税額として決定されているのです。

気になる住民税ランキング

住民税の役割や仕組みなどについて理解できたところで、ここからは住民税の高い自治体と住民税の低い自治体をご紹介していきます。

●住民税の高い自治体3選

住民税が高い自治体の上位3つは以下の通りです。

順位

自治体名

所得割

均等割

1

横浜市

10.025%

(県民税2.025%、市民税8%)

6,200円

(県民税1,800円、市民税4,400円)

2

神戸市

10%

(県民税2%、市民税8%)

6,200円

(県民税2,300円、市民税3,900円)

2

仙台市

10%

(県民税2%、市民税8%)

6,200円

(県民税2,700円、市民税3,500円)

横浜市は、条例によって所得割の税率を変えていますので、標準税率と異なっています。標準税率よりも0.025%多いのは水源保全を目的とした「水源環境保全税」が導入されているためです。

均等割は各都市ともに6,200円で、標準税率よりも1,200円高くなっています。

その内訳は、

横浜市

県民税:水源環境保全税300円

市民税:横浜みどり税900円

神戸市

県民税:県民緑税800円

市民税:神戸モデル負担額400円

仙台市

県民税:みやぎ環境税1,200円

以上のように内訳はそれぞれ異なりますが、環境保全等を目的としたものがほとんどです。

なお神戸モデルの負担金とは、認知症対策推進を目的に導入されています。

●住民税の標準税率を下回る自治体もある

住民税は、一般的には先にご説明した標準税率を基本としています。しかし、横浜市や神戸市などのように自治体独自の税金を導入しているところでは標準税率を上回ってしまい、結果として他の自治体に比べて高い住民税額となっています。

しかし一方では、所得割の標準税率を0.3%下回る9.7%(県民税2%、市民税7.7%)で設定している名古屋市のような例もあります。

住民税額だけで住む場所の魅力は判断できない

ご紹介しました通り、標準税率が決められていたとしても、それを超える自治体もあれば下回る自治体もあります。

税金を支払う側としては税額の低い自治体が魅力的に映ってしまいがちですが、住民税の負担が低いからといって、それがその自治体の魅力と比例するのかといえば決してそうではありません。

●住民税は住みやすさの指標にもなる

なぜならば、先にもご説明しましたように、行政サービスを円滑に運用するための財源として住民税が存在しているからです。

つまり、「住民税が高いからダメ」・「安いからよい」とは一概にいえるわけではなく、高いからこそ行政サービスが充実していると見ることもできるのです。

まとめ

住民税は、あくまでも標準税率を基本として算出されていますので、高いからといって非常に大きな開きがあるわけでもありません。

たしかに住民税負担の割合が高いと、他の自治体に比べてなんとなく損をしているようにも感じてしまうかもしれませんが、それも行政サービスをより充実させるためのものであると考えれば、住みやすさの裏付けと捉えることもできるのです。

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