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事業者には、労働安全衛生法第66条によって、労働者に対して医師による健康診断を実施することが義務付けられています。一口に健康診断といっても、一般健康診断から特殊健康診断などがあり、それぞれ実施方法や時期なども違います。企業の健康診断の種類や実施方法についてまとめてみました。
企業には、労働者を健康な状態で働かせるという「安全配慮義務」があり、健康診断の実施は、労働安全衛生法に定められた企業の義務です。
健康診断の対象となるのは、原則として正規雇用の正社員ですが、パートなどの非正規雇用の社員であっても、労働時間によっては正社員と同じように健康診断を受けさせなければなりません。
健康診断の実施を怠れば、50万円以下の罰金が科せられます。また、社員も会社が実施する健康診断を受ける義務があります。健康診断を受けなければ懲戒処分となることもありますので注意しましょう。
健康診断の費用は、企業側が全額負担することになっていますが、高額となる人間ドックなどの診断については、企業側の負担は一部となる場合もあります。では、次に健康診断の種類について見ていきましょう。
健康診断には「一般健康診断」「特殊健康診断」「じん肺健診」「歯科医による検診」があり、労働内容によって実施時期や、診断項目が定められています。
「一般健康診断」には、雇い入れ時に実施する健康診断と、1年に1度実施する定期健康診断があり、定期健診では身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査、胸部エックス線検査・喀痰検査、血圧測定、肝機能検査、血中脂質検査、心電図検査、尿検査など11項目の検査が定められています。
検査の種類と検査項目などの詳細は厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署のリーフレットで確認しておきましょう。
健康診断は実施するだけでなく、常時50人以上の労働者を使用する企業には、定期的な一般健康診断の結果を労働基準監督署に報告する必要があります。特殊健康診断の結果については、雇用する労働者数にかかわらず、必ず報告しなければなりません。
また、健康診断の結果は、企業が一定期間保管しておかなければなりません。定期健康診断の保管期間は5年ですが、特殊健康診断については、診断内容によって保管期間が決められていますから、担当者は厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署のリーフレットで確認しておきましょう。
ところで、健康診断の実施方法ですが、従業員の多い企業は事業所内の一角で、集団で行うケースが多いようです。また、企業が指定した医療機関に従業員が出向いて行う方法、従業員が自宅近くや会社近くの医療機関で行う方法などがあります。
ここまで、企業の健康診断について見てきましたが、いざ実施するとなると面倒なことも多いようです。従業員の健康管理を徹底して行うことは、離職者の減少や従業員のパフォーマンスの向上にもつながるものです。
それが生産性の向上にも結び付いていきます。従業員の健康に配慮し、働きやすい職場環境をつくるためにも、健康診断を適切に行うことが企業には求められるのではないでしょうか。
30代、40代にも生活習慣病が増えていますが、生活習慣病の初期段階では、自覚症状が見られないことも多く、「まだ若いから」と健康診断を受けたくないという人もいます。担当者は、健康診断の意味や必要性をていねいに説明する必要もありそうです。
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