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「産後パパ育休」が10月1日から施行となりました。
人手不足に直面している中小企業にとっては、一時的とはいえ男性社員が子育てのために職場を離れることは、大きなマイナスです。
そんな中小企業を応援する「育休対応の保険」が、損害保険ジャパンから発売されました。
どのような保険なのかをみていきましょう。
「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子どもが生まれてから8週間以内に、男性が4週間(2回分割も可)の育児休業を取得できる “男性版産休”とも呼ばれる制度です。
女性の社会進出が叫ばれ、夫婦共働きも増えていますが、日本では“家事や育児を担うのは女性の役割”という古臭い価値観が、いまだに根強く残っています。そのため、女性にだけ家事や育児、介護の負担が重くのしかかっているのが日本の労働環境です。
しかし、女性が社会で輝くためには、男性の育児・家事参加が欠かせません。育児・介護休業法が施行され男性の取得も促されましたが、男性の育児休業取得率は2019年度が7.48%、2020年度が21.65%にとどまっています。
そこで男性でも育児休業を取得しやすい環境を整えるため、通常の育児休業とは別に取得できる「産後パパ育休」が新しく施行となり、政府は2025年には男性の育休取得率30%を目標に掲げています。
男性が、育休を取得しやすくなる環境が整うことは、働く者にとっては歓迎すべきことです。また、就活生が就職先を選ぶ際にも、育休制度の充実が条件に入るようになっています。
つまり、充実した育休制度を設けているかどうかが、企業のイメージアップにつながります。育休制度の重要性については十分に理解をしていても、それになかなか応えられないのが人材不足に喘ぐ中小企業です。
そもそもギリギリの人員で回しているため、1人欠けるだけでも業務に支障が出てしまいます。経営者としては、社員のために快く休ませてあげたい気持ちはありますが、そこに立ち塞がるのが人材不足という大きな壁なのです。
人材不足問題の解決策として期待されているのが、損害保険ジャパンが10月14日から販売を開始した「育休対応の保険」です。
保険料は年間3万円ほどで、社員が産休や育休で合算31日以上休んだ場合、最大50万円の保険が受け取れるものです。保険金は、短期雇用の派遣社員やアルバイトなどの求人・採用の費用として使えます。
また、育休中の社員が、子育てしながらテレワークができるように、パソコンや通信環境を整備するために用いることもできます。人材不足から男性の育休取得に消極的な中小企業経営者にとっては、強い味方になりそうです。
東京海上日動火災保険も、育休に対応した保険を2022年7月から販売しています。この保険は待機児童問題などで社員の職場復帰が遅れるなどの事態に対応したもので、企業が負担した代替人材確保のための採用費用を補償してくれます。
人員に余裕のある大企業と違って、中小企業にとっての育休はリスクでもあります。日本・東京商工会議所の2022年の調査でも、「専門業務や属人的な業務を担う社員の育休時に対応できる代替要員が社内にいない」(52.4%)、「採用難や資金難で育休時の代替要員を外部から確保できない」(35.7%)が、男性の育休取得の課題としてあげられています。
調査概要
(1)調査地域:全国47都道府県
(2)調査対象:中小企業 6,007社
(3)調査期間:2022年7月19日~8月10日
(4)調査方法:各地商工会議所職員による訪問調査等(※)
(5)回収商工会議所数:395商工会議所
(6)回答企業数:2,880社(回答率:47.9%)
(7)調査の目的:多様な人材(女性、外国人材)の活躍に関する状況等を把握し、 今後の意見・要望活動に活かしていくため。
その中小企業の実状に向き合った新しい保険商品の登場が、男性の育休取得率の向上につながることに大いに期待したいところです。
育休取得者本人には、給付金支給や保険料の免除などもあります。そこに企業を支援する保険が加われば、男性の育休取得の環境はかなり整うことになりそうです。はたして、政府が目標に掲げる取得率30%に、どこまで近づけるのでしょうか。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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