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IR領域のDX支援事業や、IPOに関するエデュケーション事業を展開する株式会社IR Robotics。
2015年にIRリリースの動画配信サービス「IRTV」を立ち上げ、2017年に会員制IPO勉強会「Next IPO Club」を開始するなど、着々と事業を拡大して数多くの会員を獲得しています。現在の代表取締役である金成柱氏は、YouTubeチャンネル「Japan Stock Channel」に自らモデレーターとして出演するほか、他の有名のチャンネルにも活発にゲスト出演しており、現在注目の人物です。
その金氏の欠かせない右腕として活躍している取締役CFO、孫大基氏にお話を伺いました。
孫大基(そん だいき)/ 株式会社IR Robotics 取締役CFO/ 公認会計士
2015年2月に有限責任監査法人トーマツに入社し、トータルサービス事業部に所属してIPO監査を中心に活動。2018年6月より株式会社IR Roboticsに入社し、2020年10月から取締役CFO 管理本部長に就任。
――(清水)現在は公認会計士でベンチャーCFOとしてご活躍されていますが、どんな学生時代を送られていましたか?
実は、学生の頃は公認会計士にもCFOにも特別関心があったわけではありませんでした。
大学で経営学部を選びましたが、それも「特に何かやりたいことがあるわけでもないので、勉強する範囲が広い学部なら、将来やりたいことも見つかるかな」という動機からでした。
――(清水)公認会計士を目指したのはいつ頃ですか?
大学4年になって同級生が就職活動を始めた頃でした。
「事業再生」という本を読む機会があり、そこに経営コンサルタントが出てきて、漠然と「カッコいい職業だな」と思い興味を持ちました。そこで、自分もそういう仕事をしてみたいと思って、どうすればなれるか学部の教授に相談してみたんです。その時に公認会計士という資格があり、経営に関する専門性を身に着けることができると教えてもらいました。
資格を取得すれば経営コンサルタントになれると考えて、就職活動はせずに卒業後は専門学校に入って勉強しました。
しかし半端な気持ちで挑戦したので、その厳しさをわかっていなかったこともあり、挫折して24、25歳の頃に資格取得を断念しました。
――(清水)就業経験がない第二新卒で、無資格となると初めての就職はなかなか厳しかったのではないでしょうか?
実は、私はこのタイミングでも就職活動はせず、友人と起業しました。
当時はホットペッパービューティーのようなWebサービスはなかったのですが、異業種では同じようなWebサービスが出始めていたので、美容院の予約をネット上で可能にするサービスで起業することにしました。
しかし、実際にはビジネス経験不足だったと思いますが、これも最後までやり通すことができませんでした。その時点でもう20代後半で、さすがに真剣に将来を考えなくてはならないなと焦りを感じました。就職するという選択肢もあったのですが、起業の経験を経て経営の難しさを実感したことで、改めて経営コンサルタントへの興味が強くなり、もう一度、公認会計士に挑戦しようという気持ちになりました。
今回は、背水の陣だと意識して勉強して、一次試験は2年目で合格できましたが、二次試験合格まではトータル5年近くかかって、受かったときは32歳になっていましたね。
――(清水)実務経験がなく32歳だと、監査法人の就職も難しかったのではないですか?
タイミング的には非常に幸運で、私の合格時はどこの監査法人も採用数が多く、いわゆる「売り手市場」でした。結果的に有限責任監査法人トーマツに就職しました。トーマツを選んだ理由としては、トータルサービス事業部というIPO監査に特化した部門があったことが大きかったです。IPO監査であれば、自分では叶えられなかったベンチャー企業の成長を支援する経験ができると思いました。
まずは、監査法人で実務経験を積みながら修了考査を受けようと考えていたわけですが、ずっと監査法人に残りたいとは思っていませんでした。そこから事業会社に移るか、独立するか、いずれ自分が事業運営側に行きたいという気持ちがありました。
――(清水)実際にトーマツでは、どんな経験を積めましたか?
上場会社2~3社を担当しており、並行してIPO準備中のクライアントを持てるチャンスもありましたね。上場会社はやはり内部統制が綺麗に整備されているんですが、上場準備中の企業ですとそこまでに至っていません。そのような企業が、上場を目指し組織が整備されていく様子を経営陣に近いところで見ることができて、非常に勉強になりました。
トーマツでは上場企業からIPO準備企業まで幅広く担当することができ、今のキャリアに繋がるヒントをたくさんもらいました。
――(清水)修了考査に合格して公認会計士になるまでは、スムーズに行きましたか?
はい。トーマツには3年半ほどいたんですが、修了考査の結果が出てからは、比較的すぐに現職に転職しました。
本当はもう少し監査法人にいるつもりでいましたが、弊社代表取締役の金に誘いを受けたことがきっかけでした。金は同じ大学・同じ学部の1学年下の後輩だったんですが、その頃、何度も食事に誘われまして、その席で、「IPOを目指したいから、ぜひ入社して協力してくれないか」と提案してくれました。紆余曲折あってキャリアのスタートが遅れていた私にとって、これはチャンスかもしれないなと思い、転職を決意しました。
――(清水)実際に事業会社に飛び込んで、いかがでしたか?
良い意味で、入社した時点でIPOの準備はほとんど進んでおらず、管理部門の体制整備や、幅広い業務を経験できる環境でした。
IPO準備についても、監査法人や証券会社の選定前だったので、初期段階の準備から自分が主体となって対応することができました。
手を取られたところで言うと、上場準備に耐えられる内部統制を構築していく部分です。当時は人数も少なく、限られたリソースで効率の良い業務フローを追求しなくてはならず、その作り込みでかなりハードな日々を送っていましたね。今となっては良い思い出です。
――(清水)期待以上にやりがいのある状況でしたね。実際にはどのようなサービスをご提供されているのですか?
弊社では「成長企業がより成長するためのビジネスプラットフォームになる」というビジョンを掲げています。
サービスとして「Next IPO Club」というコミュニティを運営しています。簡単に言えば「上場準備企業向けの会員制コミュニティ」ですね。IPOは本来、個別性が高いものです。その企業の業種や規模によって、やるべき施策に大きな差が生まれてしまいます。
しかし、今、世間で開催されているIPOのセミナーでは「IPOは最初の手続きさえうまくいけば、あとは簡単です」といった安直な内容が多くて、誤解を招いているように思えてなりません。
「会員企業様すべての方に、最適な答えを見つけていただきたい。」
そこで弊社が考えたのは、さまざまな上場企業の経営者の方々をお迎えすることでした。毎月、直近2年以内に上場した企業の社長にご自身のIPOプロセスの体験談を語っていただくセミナーを開催しています。
――(清水)確かにIPOに関しては、サクセスストーリーが中心に語られているので、参加するコミュニティによっては偏った情報や誤った理解をしてしまう可能性がありますね。その点に関しては、いかがお考えですか?
その傾向は否定できません。特に実際にIPOを経験した経営者本人ならまだしも、第三者の又聞きを実体験のように語るセミナーには注意が必要だと思います。
しかも先ほどお伝えした通り、IPOは個別性が高いところがあります。
自社と条件が異なる経営者の体験談をお手本にしてもうまくいかなくて当然なんです。だからこそ、IPOに関する豊富かつ詳細な情報をお届けする弊社の事業にははっきりとしたニーズがあり、社会貢献にもつながると感じています。
また、同コミュニティの中で、「ビジネスグロース講座」という講座も開いております。これも上場企業の代表の方々に登壇していただくもので、上場に至った事業が大成長を遂げるまでの経緯がメインテーマです。出席される成長企業の方々には、ぜひ今後の経営に向けてのヒントをつかみ取っていただく機会にしていただきたいです。
――(清水)IR Roboticsのそのほかのサービスについても教えてください。
一つは、「上場企業倶楽部」という上場企業の社長・役員に特化した学びのコミュニティを運営しており、毎月セミナーを開催中です。
会員は上場企業だけですが、登壇していただく講師の方々は百戦錬磨の方々ばかりです。上場して10年以上経っている経営者や時価総額1,000億円以上の企業の経営者にご自身の過去の実体験をもとにした、ファクトベースの講義を会員限定で実施しております。IR活動やM&Aといった、上場後によく出てくる課題について率直に語っていただいております。
そして、弊社は「IRTV」という動画サービスも立ち上げています。これは上場企業のためのIRリリース動画撮り放題サービスです。
動画という形式を選んだのは、とてもわかりやすくなるからです。IRに関しては「紙ベースで提供されるもの」という固定観念がありますが、それだと必要な部分を探すだけで骨が折れてしまいますよね。そのため、確実に投資家や株主側にはニーズがあると考えていました。ただ、どこもやっていなかったのは、信頼の積み重ねが必要だったからです。
IRの情報発信においては、インサイダー規制やフェアディスクロージャールールといった縛りが多いですから。動画の準備にしても、どんな制作会社に依頼しても良いわけではないんです。弊社はこのサービスを2017年から続けていて、すでに一定の信頼を築くことに成功しているものと自負しています。
――(清水)紆余曲折ありましたが、結果的には最初に憧れを持った経営コンサルティングと関連があるキャリアになっていますね。これから先はどのようなキャリアを積んでいきたいとお考えですか?
毎月のようにIPOをテーマとしたセミナーを開催しているわけですが、そこを通して私自身が毎回、数え切れないほどの発見をしています。
その経験と情報を、IPOを準備している経営者の皆様方にどんどん還元していきたいと思っています。それが当面の希望ですね。
――(清水)孫さんのように、CFOや経営幹部を目指している方々に向けてアドバイスをお願いします。
今、日々の仕事に取り組んでいて実感するのは「巻き込んでいく力」の重要性です。
やはり、単独ではできない作業がとても多いので、周囲の人々と円滑にコミュニケーションをとって、協力してくれるように働きかけていかなければなりません。この点は常に意識していただきたいです。
それと、公認会計士を目指している方もいると思いますので、そのような方にもお伝えしたいことがあります。
公認会計士の資格はなかなか特殊で、もし取得できたら有望な就職先を確保できるチャンスに恵まれています。私自身、20代の間はコアキャリアがない状態でしたが、資格をきっかけに、”逆転”のチャンスを手に入れることができてよかったと思います。
CFOについてよく言われる「攻めのCFOか、守りのCFOか」というフレーズがあります。公認会計士としてのスキルがある場合は、自然と「守り」が中心になる傾向があると感じています。そこをしっかり固めていただいた上で、さらに実務を通してチャレンジを繰り返して「攻め」の部分もマスターしていくといいのではないでしょうか。
――(清水)本日は貴重なお話しをいただき、ありがとうございました。
IPOとは切っても切れない関係にある監査法人での経験を経て、今ではIPOの情報発信に心血を注いでいる孫さん。成長企業の上場をサポートする事業にも余念がありません。
今回のインタビューで企業支援への真摯な取り組みについてお伺いし、数多くの経営者の方々が孫さんの周囲に集まるのもごく自然なことである、そう納得させられるお人柄でした。
インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ マーケティングDivision / 執行役員
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