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先日、民間企業が全国の経理業務に関わる約400名を対象に経理業務のDXに関するアンケート調査*の結果を公表しました。それによると、経理業務のDX化について「実施・検討していない」との回答が46.6%に上っています。近年、業種業態を問わずDXが注目されていますが、経理部門におけるDX化はまだまだこれからという状況のようです。
今回は経理業務のDX化とは具体的に何を意味するのか、その導入によるメリットと進め方について解説します。
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*調査概要
調査期間:2023年3月6日~2023年3月7日
有効回答数:421
調査方法:インターネット調査
調査対象:20代~60代の経理部門に所属する方
目次【本記事の内容】
そもそもDX化とは「社会にデジタル技術が浸透することにより、人々の生活に良い変化・影響がもたらされること」を意味します。ビジネスの場であれば「デジタル技術によって企業活動に良い変化・影響を生じさせること」という意味になるでしょう。
デジタル技術を活用することで、それまでの人力・手作業などのアナログ作業を大幅に効率化できます。現在日本では少子高齢化が進んでおり、将来的に現在よりも労働量人口が減っていくことは避けられません。もしDX化を進めないままでいると、2025年以降の5年間において、日本の経済界で年間最大12兆円もの経済損失が生じるとの試算を経済産業省が発表しています。この問題は「2025年の崖」とも呼ばれ、現在日本政府は国を挙げてDX化を推進しています。
こうしたDX化の重要性は、バックヤード部門である経理業務もその例外ではありません。経理では請求書発行・受取業務、給与計算業務、決算業務などが負担の大きい業務です。DX化を進めることで、それぞれの業務の大幅な効率アップを図ることが可能になります。
請求書に関わる業務であれば、DX化によりプリントアウトや郵送のための手間がかからなくなります。給与計算業務は、同じくデジタル化された勤怠管理システムや人事労務管理システムと連動させることで、一人ずつあらためて計算していく必要がありません。さらに最も重要な業務である決算業務も、デジタル化された会計ツールを活用することで、日々の取引内容と会計データの内容が常時同期できます。業務の正確性、スピードの両方において効率化が可能です。
経理業務のDX化を進めることには、業務の効率化以外にも次のようなメリットがあります。
経理業務のDX化を進めることで紙の書類が要らなくなり、印刷代、紙代、プリンターのリース料、電気代などをカットできます。また、ファイリングされた紙の資料を保管する場所も必要なくなり、別の用途へ活用が可能です。
経理部門のDX化を進めてペーパーレスを実現すれば、紙を使わない企業としてクリーンなイメージを社会から得られます。実際、DX化を進めることは、紙・消耗品類の使用量を減らし、さらに紙を輸送するための運搬車両が排出する二酸化炭素を減らすことにもつながります。
DX化された財務データは定量的な情報としていつでも財務分析が可能です。経営者・従業員がリアルタイムで最新のデータを確認でき、社内全体で数値目標・現状数値を共有できます。経営者も現場の社員も、財務状況をタイムリーで把握できるのです。
経理部門のDX化は具体的には次のような作業により実施されます。
経理業務で使用していた紙の帳票類をデジタル化することがDX化の手始めです。PCで作成した書類は紙に印刷せずにPDFとしてデータ化します。まずは社内において紙媒体でのやり取りをなくしていき、少しずつ社外・取引先も巻き込んでペーパーレス化を実現していきます。
経理部門でペーパーレス化を実現するには、対応するクラウド会計ソフト、業務の自動化を実現できるRPA(ロボティックプロセスオートメーション)システム、経費精算システム、請求書発行システム、BIツール(社内データを一元化できるツール)、を導入することが必要です。
またペーパーレス化を進める上では、印鑑のデジタル化=電子印鑑への対応も不可欠です。電子印鑑とは第三者機関である電子認証局が発行した電子証明書によって書類データの安全性・信頼性を担保するものです。PDFファイルなどの形でデジタル化された書類に利用できます。
経理業務におけるDX化を進めるには、販売や製造、人事といった他の部門のシステムと連携する必要があります。かつて日本企業の傾向として、包括的な一つのシステムを用いるのではなく、部門ごとに個別化したシステムを利用していることが多く見られました。
この場合、業務を横断したシステムがなく、部門間の連携がうまく取れません。そのため、たとえ経理部門だけでDX化を取り組もうとしても、他の部門が進めていないので導入が進まないという事態も起こります。
もし経理業務のDX化を図るなら、企業全体のシステムを見直し、包括的なシステム導入を検討することも重要です。一貫性のあるシステムを構築することで、経理部門のDX化も進められます。
経理業務のDX化を進めるにあたっては、自社に合ったシステムの導入すること、DX化の意識を経理部門員で共有することも大事です。経理業務のDX化と一口に言っても、経理業務の取り組み方業種や業態、あるいは企業ごとによっても違ってきます。どのシステムが自社にとって有効であるのかを十分に検討する必要があります。
また、DX化はそれまでの経理業務のあり方を一変させることにもなるため、DX化に適用できるように研修・教育することも重要となるでしょう。
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■参考サイト
経済産業省|DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~
PR TIMES|46.6%が経理DXに未着手、最も無駄の多い業務は「紙のファイリング」
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