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10月にインボイス制度がスタートするが、いまだに制度に反対する声が多く、適格請求書発行事業者への登録も、なかなか進んでいなかった。ところが、3月末のインボイス制度登録数が268万件に達したことが、東京商工リサーチの分析で明らかになった。
この登録数は、国税庁の適格請求書発行事業者サイトの公表データを基に分析したものだ。3月に登録数が急増したのは、個人事業主が法人の2倍超となる18万1,032件(累計85万6,060件)登録したことが、全体の登録数を押し上げる結果となったようである。
売上1,000万円以下の免税事業者だった個人事業者が、3月に駆けこむように適格請求書発行事業者へ登録を申請したのは、当初、申期限は3月末(9月末まで延期)だったことが影響しているようだ。
それは、適格請求書発行事業者に登録しなければ、これまでの取引先との関係を継続できなくなるという不安があったからだ。
ところが、サブスクリプション型基幹業務システムを開発・販売するピー・シー・エーが実施した「中小企業のインボイス制度対応に関する実態調査*」によると、インボイス制度がスタートした後も、およそ半数が取引のある免税事業者とは、取引を継続する意向があることがわかった。
これまで通り取引を「継続する予定」が最多の46.1%で、取引を継続するか中止するかを「検討中」という企業も33.4%である。一方、取引中止の可能性が「非常にある」が7.8%で、「ややある」は25.6%だった。
インボイス制度導入に反対する声で一番多いのが、適格請求書発行事業者でなければ、仕入控除に必要な適格請求書を発行できないことで、免税事業者がこれまでと同じように仕事ができなくなる可能性が、きわめて高くなることである。
しかし、導入による混乱を避けるための経過措置が設けられたことや、およそ半数の企業が未登録企業との取引継続意向を示していることから、当初懸念されていたような大混乱は避けられそうだ。インボイス制度の運用は間もなく始まる。早めに新制度への対応準備はしておいた方がよさそうだ。
*調査概要
調査は、「インボイス制度」について知っている、従業員数50~500人の企業の経理、営業事務担当者317人を対象に実施。調査期間は23年1月20~21日。
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