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埼玉県川口市で地元愛を大声で叫ぶ「プライド条例」が施行

公開日2023/05/22 更新日2023/05/20


地元愛を大声で叫ぶ「プライド条例」を制定する動きが各自治体に広がっていますが、埼玉県川口市でも「大きな声で川口が大好きだと叫んでみませんか」という“川口プライド条例”が4月1日に施行となりました。はたしてこのプライド条例は、何を目指しているのでしょうか。



「川口に住み続けたい」が過去最高の85%

川口プライド条例の第1条に目的として掲げられているのは、「~川口の魅力の認知を広めることで、多様な価値観をもつみんながひとつになれる川口プライドを育む~」というものです。


この条例は、昨年12月の市議会定例会で議員提案により制定されたものです。条例制定に至った理由は、市民意識調査で「川口に住み続けたい」が過去最高の約85%となったものの、「川口に誇れる魅力がある」の回答が35%前後に低迷していたことが挙げられます。


川口市は埼玉県の南端に位置し、荒川を隔てて東京都に接し東京都心までのアクセスに恵まれているため、都内よりも住居費の安い川口に住む人も多く、いまや人口60万人超のさいたま市に次ぐ埼玉県第2の都市で、ベッドタウンとしても人気が高まっています。


しかし、その川口市に誇れる魅力があるかといえば、市民でさえ「さて、何があるだろうか」と、答えに詰まる状態のようです。そこで、“誇れる魅力の再発見”と、それを広く発信していくために「大きな声で川口が大好きだと叫んでみませんか」となったようです。


各地で広がるプライド条例制定の動き

同じようなプライド条例は福井県鯖江市の「鯖江市民条例」(2010年)、愛知県豊田市の「WE LOVE とよた条例」(2017年)、神奈川県相模原市の「さがみはらみんなのシビックプライド条例」(2021年)などがあります。


産まれた地域や住んでいる地域への愛着や郷土愛は、誰もが抱いているものであり、何も条例で定める必要はないのではないか、という声もあります。にもかかわらず、各地にプライド条例を制定する動きが広がっているのは、なぜなのでしょうか。


プライド条例の原点はシビックプライド

プライド条例の原点は、シビックプライド(Civic Pride)と呼ばれる「都市に対する市民の誇り」という概念で、19世紀のイギリスで生まれた考え方とされています。


当時のイギリスは、産業革命による商工業の発展に伴い、各地に多くの都市が誕生していましたが、その原動力となったのは、市民が自分たちの手で地域を活性化しようという動きです。


市民の力が地域や経済の発展に大きな役割を果たすという考え方は、イギリスだけにとどまらず世界中に広がりをみせ、地域住民が自分の住む地域に誇りをもち、地域づくりに積極的に取り組むことが、地域の活性化につながると考えられています。


プライド条例制定で得られるメリット

では、地域住民が地域創生に積極的になることで、どのような効果が得られると考えられているのでしょうか。


まず、自分がいま住んでいる地域への愛情や誇りが高まれば、転勤などの事情がない限り、長く住み続けようと思うのではないでしょうか。つまり、住民の転出防止につながり、働く場所ができれば若年層の流出も防げるようになります。


若年層が地元に残れば、少子高齢化を改善することにもつながる可能性があります。地方都市が抱える最大の課題は、地元で生まれ育った若者が、進学や就職のために外部へ流出することによる、人口減と経済の衰退です。


ところで、川口市といえば、都心から楽々の通勤圏内にあり、東京のベッドタウンとして知られていますが、昭和世代が真っ先に思い浮かべるのは吉永小百合主演の映画「キューポラのある街」(1962年)の舞台だった川口の姿です。


映画で描かれていたように、川口は鋳物産業で栄えた街ですが、その鋳物産業もいまではすっかり衰退しています。大きな声で“川口が大好きだ”と叫ぶことが、地域活性化につながるかどうか、その成果が出るまでにはかなり時間がかかりそうです。


まとめ

地方都市の共通の課題が人口減少と少子高齢化です。その歯止めになると期待されているのが、シビックプライドの概念をベースとするプライド条例ですが、条例を制定するだけでなく、どのような地方創生施策を示すかにかかっているのではないでしょうか。


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